メッセージ:2015年1月〜3月  

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関西フィルハーモニー管弦楽団第263回定期演奏会
〜ブルックナー交響曲全曲ツィクルス第5回(2015/3/14)に向けて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。明日3/14は、関西フィルと2011年から十年がかりで進めているブルックナー交響曲全曲ツィクルスの第5回で、交響曲第5番変ロ長調を指揮いたします。
コンサートの前半は、清永あやさんの独奏でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲をお聴きいただきます。

ブルックナーの交響曲第5番は特別な大曲です。リハーサルの様子は関西フィルの公式ブログで紹介されておりますが、このホームページでもお読みいただけるように、以下におもな部分を掲載いたします。
それでは、ザ・シンフォニーホールでお会いしましょう!

* * *

リハーサルも長時間
長時間に及ぶリハーサル

「(ブルックナーの交響曲の)1・2・3番はいわゆる発展期の作品、4番で一般的に“聴きやすい”名曲になりました。6番はとてもロマンティックですね。7番もどちらかといえば聴きやすい。8番はブルックナーの交響曲の中でも人気のあるスケールの大きな曲、9番は“死”に至るまでの総集ですね。」

「この偉大な交響曲群の中で、第5番は最も宗教的でブルックナーの“信仰告白”と考えられます。信仰や哲学に深く入り込んだ曲、という意味で一番難しい曲なのです。」 

「ご存じの通り、関西フィルとは長いお付き合いで、重厚な音楽、例えばリヒャルト・シュトラウス、ワーグナー、マーラーなどの作品はずいぶん取り上げ、慣れてきたと思っています。  しかしブルックナーは重厚なだけでなく、心の深い部分を吐露する音楽なのです。この深い部分に踏み込むことが必要なのです。  第5番は、今まで演奏してきた1番から4番までとは世界が違います。オーケストラにとっては大きな挑戦になると思います。」

関西フィル練習場にて
関西フィル練習場にて

「第1楽章は、対位法がとても入り組んでいます。スケールが大きくて壮重、巨大な時間と空間が広がります。

第2楽章は全体が祈りの音楽ですね。オーボエなど木管楽器が祈りを奏でます。ブルックナーの純粋さが結晶化されていて、心の奥底まで揺さぶられます。

第3楽章、大教会の信仰の世界から離れ、農夫が軽やかなドイツ舞曲に戯れます。ブルックナーのドイツ民族としての血がさわいでいるようです。この楽章で音楽も聴衆も少しほっと心がほどけますね。

そして第4楽章、この楽章は2つの要素に支配されています。 ひとつは入り組んだフーガ、もうひとつはコラールです。フーガは二重、三重ととても入り組み、コラールは金管楽器だけでなく弦楽器にも、また、ホルンとファゴット、のようにさまざまな楽器で演奏されるコラールです。
最後には、このふたつの要素が一体化するのです。その迫力は想像を絶するものがあります。巨人が堂々と歩いてくるように、フーガとコラールが互い違いに押し寄せてきます。そして、1・2・3楽章のメロディーも出てきます。まさにフィナーレ。」

「現代の社会はとても忙しいですね。若い方々が、長い時間スマートフォンを見ないでいることは難しい、というのを聞いたことがあります。生活の中に情報が溢れていて、何も考えず、何もしないでいることは不可能なのかもしれません。
14日は、音楽ホールという非日常の空間で、時間を忘れてブルックナーの音楽空間に身を任せていただきたいと思います。」

 
(取材とまとめ:関西フィルハーモニー管弦楽団事務局)

飯守泰次郎

 

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ホームページをご覧の皆様へ
東京フィルハーモニー交響楽団「午後のコンサート」第62回〜
マイスター飯守の「ドイツ・ロマンチック街道」〜(2015/2/1)によせて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。2/1は東京フィルハーモニー交響楽団の「午後のコンサート」で、“マイスター飯守の「ドイツ・ロマンチック街道」”と題されたコンサートを指揮します。

このシリーズは、休日の昼下がりに演奏家の話をはさみながら音楽をお聴きいただく、という趣向で大変人気があるそうで、私も以前にも出演したことを思い出しました。

今回は、コンサートのタイトルどおり、ドイツ音楽の実にさまざまな曲をお楽しみいただけるプログラムです。
最初と最後はワーグナーで、まず楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への前奏曲で始まり、コンサートの締めくくりは歌劇『タンホイザー』序曲です。ベートーヴェンからは、仲道郁代さんをお迎えしてピアノ協奏曲第5番『皇帝』の第1楽章、それから非常に演奏機会の少ない『ウェリントンの勝利』を演奏します。

休憩の後は、R. シュトラウスの交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』、J. S. バッハ『G線上のアリア』、そしてオッフェンバックの喜歌劇『天国と 地獄』序曲で、その間には聴衆の皆様からいただいた質問にその場でお答えするコーナーもあるようです。

東京フィルとは昨年もワーグナーやR.シュトラウスなど何度もご一緒しておりますが、オペラシティで共演する機会は意外と少ないので、今日の本番も楽しみです。
 

飯守泰次郎

(※お知らせ:この公演は全席完売しております)

 
 

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ホームページをご覧の皆様へ
2015年を迎えて新年のご挨拶
−飯守泰次郎−

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新国立劇場『パルジファル』
              演出家ハリー・クプファー氏と(2014/10/2公演初日の打ち上げにて)
新国立劇場『パルジファル』 演出家ハリー・クプファー氏と
(2014/10/2公演初日の打ち上げにて)

皆様、明けましておめでとうございます。 飯守泰次郎です。

昨年は、9月に新国立劇場オペラ芸術監督に就任し、4年の任期の最初のシーズンを開幕公演『パルジファル』で始めることができました。
また、12月には日本芸術院会員になることが決まりました。

新国立劇場『パルジファル』の成果により、このたび第56回毎日芸術賞をいただくことになりましたことを、皆様にご報告いたします。
共演してくださる皆様、支えてくださる皆様、そして応援してくださる皆様に、心から感謝申し上げます。
新国立劇場『パルジファル』
              クンドリー役の            エヴェリン・ヘルリツィウスさんと(2014/10/2公演初日の打ち上げにて)
新国立劇場『パルジファル』 クンドリー役の
エヴェリン・ヘルリツィウスさんと(2014/10/2)

2015年は、お正月早々から、私が指揮する新国立劇場公演『さまよえるオランダ人』の稽古が始まることになっております。

新国立劇場オペラ芸術監督としての仕事はまだまだ始まったばかりですが、今年もいっそうの努力を続けてまいります。

桂冠指揮者を務める東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団と、それぞれ続けておりますブルックナー交響曲の演奏も、回を重ねてまいります。
今年は特に、関西フィルとは第5番(3/14、ザ・シンフォニーホール)、東京シティ・フィルとは第8番(5/9、東京オペラシティ・コンサートホール)と、いずれも大曲に取り組みます。
さらに、国内のさまざまな素晴らしいオーケストラへの客演も楽しみです。

2015 年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう、お祈り申し上げます。新国立劇場で、また各地のコンサートホールで、皆様をお待ちしております。

東京シティ・フィル第九特別演奏会(2014/12/28)終演後の楽屋にて、歴代指揮研究員の若い優秀な指揮者と              (左から、佐々木新平さん、私、海老原光さん、平川範幸さん) 東京シティ・フィル第九特別演奏会(2014/12/28)終演後の楽屋にて、歴代指揮研究員の若い優秀な指揮者と (左から、佐々木新平さん、私、海老原光さん、平川範幸さん)
 

飯守泰次郎

 
 
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