メッセージ:2017年1月〜  

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
仙台フィルハーモニー管弦楽団
第314回定期演奏会(2017/11/17、18)によせて

−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 


飯守泰次郎です。このホームページでのご報告が遅くなってしまいましたが、すでに先ごろ報道発表されております通り、2018年度より仙台フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任することになりました。私の常任指揮者就任と同時に、レジデント・コンダクターに高関健さん、指揮者に角田鋼亮さんが同時に就任されます。

仙台フィルとは、今月上旬も秋田県大仙市の音楽祭で一緒に演奏しました。 そして今週は、私も仙台に滞在しております。仙台はすでに真冬の寒さですが、私は満州生まれなので、寒いところのほうがむしろ元気です。

本日11/17と明日11/18は、第314回定期演奏会で、モーツァルトの「三大交響曲」、すなわち第39番変ホ長調、交響曲第40番ト短調、交響曲第41番ハ長調の3曲のみという、特別に美しいプログラムを指揮いたします。
今回は、演奏曲目とオーケストラの編成、そして定期演奏会場である日立システムズホール(客席数802)の響きを総合的に判断して、弦楽器の配置をいわゆる「対抗配置」で演奏いたします。
来年度に向けた新たな一歩として、私も仙台フィルともども張り切っております。皆様のお越しを、日立システムズホールで心よりお待ちしております!


飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場『神々の黄昏』を終えて(2017年10月)
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

『神々の黄昏』千秋楽終演直後の記念写真
新国立劇場『神々の黄昏』楽日終演後(2017年10月17日)〜私の左から、ぺトラ・ラング氏(ブリュンヒルデ)、ステファン・グールド氏(ジークフリート)、アルベルト・ペーゼンドルファー氏(ハーゲン)、安藤赴美子氏(グートルーネ)、一人おいて島村武男氏(アルベリヒ)、三澤洋史氏(合唱指揮)、私の右方にノルン3姉妹、最前列にラインの乙女とその右隣に読響コンマスの小森谷巧氏、そして音楽スタッフ、助演の俳優の方々ほか支えてくださった方々と共に
 


飯守泰次郎です。 ついに、新国立劇場2014年〜2017年のワーグナー『ニーベルングの指環』が完結しました。四部作の各作品6公演で全24公演をすべて終えることができました。応援してくださった皆様、支えてくださったすべての皆様に、改めて心から御礼を申し上げます。

上記の写真は、10/17千秋楽終演直後の舞台裏で、喜びの乾杯に集まった出演者の皆さん(グンター役のアントン・ケレミチェフ氏だけがお着替えで写っていないのが残念ですが!)、そして、この気が遠くなるような仕事に取り組み続けて支え続けてくださった、どんなに感謝しても感謝しきれない方々です。

ペトラ・ラング氏(ブリュンヒルデ)と
ペトラ・ラング氏(ブリュンヒルデ)と

上演時間約6時間に及ぶ『神々の黄昏』を、ほぼ中2日で6回、という公演日程は、世界的にもなかなかないハードスケジュールでしたが、歌手もオーケストラも合唱団も、私を含めた出演者が無事完走することができました。ソリストに世界最高のワーグナー歌手陣を迎え、また『指環』で初めて合唱団も登場し、客席も毎回非常に沸き立ちました。

特に、ステファン・グールド氏が『指環』四部作すべての主要テノールを歌って全公演にフル出場を遂げたことは、往年のヴォルフガング・ヴィントガッセンやジークフリート・イェルザレムにも匹敵する、歴史的にもめったにない偉業です。しかも4役とも見事な歌唱で、何といっても声が素晴らしく、毎回まさに最高の声で聴衆を魅了し尽くしたことは、この偉業の芸術的な価値をいっそう高めたと思います。

初めて新国立劇場のピットに入った読売日本交響楽団も、ワーグナー後期の重厚な管弦楽を、持ち前の大変充実した響きと安定した積極的なアンサンブルを活かして、存分に表現してくれました。

ワルトラウト・マイヤー氏(ワルトラウテ役)と
ワルトラウト・マイヤー氏(ワルトラウテ役)と

上演時間6時間というと、演奏する側だけでなく聴く側も相当な覚悟を必要とすると思いますが、毎回客席もほぼ満員で、熱い声援に大変励まされました。さらに、全曲の最後の和音が消えたあとの魔法のような長い静寂も、決して忘れ得ぬ素晴らしい経験となりました。
新国立劇場で「劇場の温度を上げたい」、つまり舞台と客席が一体となってもっともっと熱気溢れる劇場にしたい、という、芸術監督として私が目指していることが実現できていることも大変うれしく思い、残る任期もさらに力を尽くしたいと思います。

新国立劇場オペラの次の公演は、私がオペラの道を志すきっかけとなった『椿姫』です(指揮:リッカルド・フリッツァ氏、演出:ヴァンサン・ブサール氏。11/16・19・23・25・28)。ステファン・グールド氏と私は、来年の新制作『フィデリオ』(2018/5/20・24・27・30・6/2)に出演いたします。新国立劇場へ、皆さまのお越しを心からお待ちしています。


飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場2017/2018シーズン『フィデリオ』(新制作)
制作発表記者会見(2017/10/12)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

左からダニエル・ウェーバー氏(ドラマツルグ)、カタリーナ・ワーグナー氏、ステファン・グールド氏(フロレスタン役)、私
左からダニエル・ウェーバー氏(ドラマツルグ)、カタリーナ・ワーグナー氏、ステファン・グールド氏(フロレスタン役)、私

飯守泰次郎です。新国立劇場2017/18シーズン開幕公演『神々の黄昏』も、残すところ10/14(土)と10/17(火)の2公演のみとなりました。
一昨年の今頃から始まった新国立劇場の『ニーベルングの指環』の物語も、いよいよ大詰めを迎えています。上演時間計約6時間という大変な長時間の公演にもかかわらず、毎回非常に多くのお客様がいらしてくださり、その熱気に励まされております。千穐楽10/17はまだ多少残席があるようです。オペラパレスへのお越しを心よりお待ちしております。

先日、『神々の黄昏』4回目の公演翌日の10/12に、来年5月プルミエの『フィデリオ』(2018/5/20・24・27・30・6/2)の制作発表記者会見を行いました。

演出を依頼しているカタリーナ・ワーグナー氏、ドラマツルグのダニエル・ウェーバー氏、そして前日も上演時間6時間の長丁場でジークフリート役を大変見事に歌ったばかりの、フロレスタン役 ステファン・グールド氏と、私が登壇いたしました。

会見中に私からお話しした内容の要旨を、ホームページをご覧の皆様にもお読みいただけるように以下に掲載いたします。『フィデリオ』は、私が新国立劇場のオペラ芸術監督として指揮する最後のプロダクションです。どうぞご期待ください。

***

新国立劇場『フィデリオ』制作発表記者会見(2017/10/13)でのご説明要旨:

2017、18シーズンの3本目の新制作『フィデリオ』は、開場20周年記念特別公演として上演いたします。
『フィデリオ』と聞いただけで私は身が引き締まります。ベートーヴェンの唯一のオペラであり、彼の理想主義と、最も深い哲学が表現され、人の心に深い感動をもたらす、特別な作品です。欧米では、大きな節目や重要な記念日を祝うために取り上げられる伝統があります。新国立劇場開場20周年に最もふさわしい作品、といえると思います。

『フィデリオ』の内容は、理想的な気高い夫婦愛です。これは一番オペラになりにくい題材でしょう。身を焦がすような恋も、浮気も裏切りも出てこないので、刺激が足りない・・・といわれることもありますが、もちろんこの作品はそういう俗世をはるかに超越しているのです。
ベートーヴェンが生涯をかけて追い求めた、自由、平等、博愛、という、民主主義の土台となる精神が、凝縮されています。そして、ベートーヴェンからウェーバー、ワーグナーと発展していくドイツ・オペラの原点となった、重要な作品です。

今回の『フィデリオ』は、演出家のカタリーナ・ワーグナーさんに演出をお願い致しました。
カタリーナさんは、バイロイト音楽祭の総監督を務めておられて、リヒャルト・ワーグナーの ひ孫にあたります。ドイツ各地の歌劇場で、ワーグナーを始めとするさまざまなオペラを演出しておられますが、最近では特に2015年のバイロイト音楽祭の『トリスタンとイゾルデ』で、高い評価を集めています。世界のオペラの次世代をリードしていく、特別な立場にある演出家です。
ベートーヴェンの音楽は、今でこそ「古典」といわれていますが、作曲当時は大変センセーショナルで革命的だったのです。今回、新国立劇場から世界に発信する『フィデリオ』にふさわしい、カタリーナさんならではの新鮮な舞台を期待しております。

このプロダクションは新国立劇場20年の歴史を象徴する、特別な魅力を持っています。
というのは、カタリーナさんは、新国立劇場オペラでおそらく初めて、親子2世代にわたって登場される方だということです。1997年に、新国立劇場のこけら落とし公演『ローエングリン』を演出したのが、カタリーナさんの父親のヴォルフガング・ワーグナーさんでした。娘であるカタリーナさんが今回、20周年記念の『フィデリオ』を演出してくださることに、不思議なご縁を感じております。

キャストについてご説明します。

『フィデリオ』は、私が新国立劇場の芸術監督として指揮する最後の作品となります。ベートーヴェンは、ワーグナーと並んで、指揮者として私が最も深く掘り下げてきた作曲家です。任期の締めくくりとしてベートーヴェン唯一のオペラに取り組めることを、大変嬉しく思います。オーケストラは、東京交響楽団です。

ベートーヴェンは、交響曲やピアノ曲、弦楽四重奏曲と同じように、オペラでも、「より深く、より高貴な人間像」という理念を追求しました。そして、声や楽器の事情に配慮するよりも、理念が常に先に立つ人でした。
『フィデリオ』も、声楽的オペラというよりは、むしろ器楽的で、歌手にも高度な技術が要求されます。それだけでなく、気品とパワーも持ち合わせていなければなりません。ある意味、ワーグナーを歌うよりも難しいといえます。

フロレスタンのステファン・グールド氏は、『ニーベルングの指環』のヘルデンテノール4役を歌ってくださっていて、もう説明の必要もないでしょう。望み得る最高のフロレスタンです。

レオノーレはリカルダ・メルベート氏で、この役に求められる徹底的な技術を持っている、まさにレオノーレ歌いです。今回もウィーンでレオノーレ役を歌った後、新国に駆け付けてくださいます。

ロッコは妻屋秀和氏で、声も演技も、国際的にもトップクラスの歌手です。

ドン・ピツァロはミヒャエル・クプファー=ラデツキー氏です。世界の歌劇場で、ドイツ・オペラの主要なレパートリーで引っ張りだこの歌手です。

ドン・フェルナンドは黒田博さんで、舞台に素晴らしい緊張感を作り出すヴェテランです。フィナーレを立派に飾ってくれることと思います。

自由と解放を求める囚人のコーラスも、ほかに類を見ないくらい感動的な響きで、大きな聴きどころです。世界的にも評価されている新国立劇場合唱団の力が、存分に発揮されることでしょう。

 

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
NHK「ラジオ深夜便〜明日へのことば」
(2017/9/27朝放送)
に出演して〜”オペラこそ私の人生”
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

飯守泰次郎です。新国立劇場『神々の黄昏』がいよいよ明日、初日を迎えます。オペラパレスのピットで、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
先日、リハーサル大詰めの9/27早朝、NHK「ラジオ深夜便」の「明日へのことば」というコーナーに、「オペラこそ私の人生」(聞き手:村島章恵ディレクター)というタイトルで出演いたしました。10/4の18時まで“聴き逃しサービス”でお聴きいただくことができるようですが、その機会のない方もいらっしゃると思います。 約40分の長丁場のインタビューで、色々なお話をした中から、ごく一部ではございますが、ホームページをご覧くださる皆様にもかいつまんでご紹介いたします。

NHK「ラジオ深夜便〜明日へのことば」(2017/9/27朝放送)より
”オペラこそ私の人生”
(聞き手:村島章恵ディレクター)

幼少の頃の家庭の雰囲気

――私の父は裁判官でしたがとてもクラシック好きで、仕事から帰ってくると応接間の窓を開けて、よくピアノを静かに弾いていました。ピアノはまったく独学で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの、「月光」などをゆっくりゆっくり・・私はまだ3〜4歳の小さな子供でしたが、すごく印象に残っています。
私は四人兄弟の末っ子で、兄も姉もピアノやヴァイオリンを習っていて、いつも音楽のある家庭でした。
それから、母方の祖母は日本舞踊の林流の家元で、私も子供の時から国立劇場の楽屋によく行きました。楽屋の雰囲気や、邦楽の響きなどになじんでいて、その華やかな雰囲気やおしろいのにおいなどに惹かれていました。
今から思えば、オペラと共通点がある世界に子供の頃から親しんでいたのですね。

音楽大学に進んだ動機

―― 桐朋学園の「子供のための音楽教室」に通ってピアノのレッスンを受けるようになったのですが、練習するよりも、昆虫採集、鉱石ラジオや天体望遠鏡を自分で作ったりして、遊ぶ方が先でレッスンをさぼったりする時期もありました。普通高校に進もうとも考えたのですが、すでにいわゆる受験戦争が始まっていて、友人たちは塾に通って必死に勉強していて、それも私はかなわないなぁ、と。どちらにしろ競争を避けられないのなら好きな音楽の道に進もう、と桐朋のピアノ科に入学しました。
最終的には、音楽が好きだった、ということが決め手だったのでしょう。

国際指揮者コンクールに出場

―― 留学してコンクールに出るより前に、まだ東京にいた頃にオペラとの出会いがありました。
名テノールの藤原義江さんが主宰されていた藤原歌劇団で、まだ学生だったのですがピアニストをしていたことがきっかけで、藤原先生に認められ、プッチーニの『修道女アンジェリカ』という小さいオペラで指揮者としてデビューしました。
そして労音の公演で『椿姫』を51回も指揮して全国をまわる体験に恵まれて、指揮者として大事なのはやはりオペラだ、ということにハッキリ気が付いたのです。オペラの育った国、つまりヨーロッパで、実際にオペラハウスで仕事をしたい、と思い始めました。

ただ、若いうちはできるだけいろいろな価値観に触れたい、と考えていました。ロンドン、パリ、ローマ、ウィーン…といった街にいきなり行って視野を限定されないよう、すぐヨーロッパには渡らず、最初は全体的な視野をもちたい、と人種のるつぼであるニューヨークに留学しました。
留学当時はとにかくお金がなかったので、実は賞金が目当てで、ミトロプーロス国際指揮者コンクールに出場したら、4位に入賞しました。そこに偶然、リヒャルト・ワーグナーの孫のフリーデリンド・ワーグナーが、若い才能を求めて来ていました。彼女が、コンクールでの私を評価してくださり、彼女の主宰するバイロイト音楽祭のマスタークラスに誘われてドイツに行くことになったのです。

バイロイトのマスタークラス

――私が学んだバイロイトのマスタークラスを主宰していたフリーデリンド・ワーグナーは、ヴィーラント・ワーグナーの妹でした。このマスタークラスは、もともとはリヒャルト・ワーグナー本人と妻のコジマの基本構想によるものです。1960年代のバイロイト音楽祭の総監督だったヴィーラント・ワーグナーは、マスタークラスの学生はリハーサルを見たいだけ見学してよい、とオープンにしていました。なかなか今ではそういうことはないですね。そして、実際のリハーサルを見ることがオペラの全体を学ぶ上でどれほど素晴らしい経験になるか、実際に観てみてわかりました。

バイロイトでの仕事内容と得たものは?

―― バイロイトで得たものは…無限です。
バイロイト音楽祭は練習期間が非常に長く、歌手は入れ替わり立ち替わり6月の頭くらいから、オーケストラは7月からです。本番を振る指揮者が来るのはオーケストラの練習の直前くらいで、それまでの歌手の音楽稽古、立ち稽古はすべてアシスタントに任されます。音楽をほとんど全部作り上げておくようなかたちになります。稽古で欠けている歌手がいれば代わりにガラガラ声でも構わないので歌いながら、ピアノを弾いたり指揮したり。歌詞はもちろん、歌えて弾けて棒が振れる、ということが完全にできなければならないのです。こうして音楽の基礎を作って、本番指揮者が来たら通し稽古ができるまで仕上げておくのです。
バイロイト音楽祭の朝昼晩、まさにワーグナー漬けで、最初1週間くらいそれをやっていたら高熱を出してしまいましたね。ただ3日間寝込んだらワーグナーの免疫(笑)がついて、大丈夫になりました。

ワーグナー音楽世界の魅力  

――私がかつて取り憑かれたように高熱が出たのも、ワーグナーの魅力と同時に毒ともいえるのですね。
ワーグナーは、作曲家であるだけでなく、すべての作品の台本を自分で書いています。そのような作曲家は稀です。さらにキャストを選び、自作の上演にふさわしい環境を求めて専用の劇場まで建ててしまいました。一人の人間に、とてもそんな時間がないはずなのですが、彼にはそれが実現できたのです。
ワーグナーは、音楽のもつ機能的な力を最大限に使いこなし、極端にいえば人の心を操作する表現に到達しています。それだけに、ワーグナーに心酔する人たちと、拒否反応を示す反ワーグナー派がつねに存在するのも、無理からぬことです。ワーグナーは生前から、敵が多かったのです。
しかし、たしかなことは、ワーグナーの残した作品に、いつの時代にも通じる驚くべき有機性と普遍性、説得力がある、ということです。

ワーグナーを中心にオペラ指揮者という人生を送ってきて良かったと思うことは?

―― そうですね…。やはり、オペラというのは思い切ったこと、どんなことが表現されていても、それが芸術であるということです。犯罪であろうと、愛であろうと、自分では実行できないようなことを、舞台では芸術の名のもとに堂々と行えるところにオペラの醍醐味があるのです。
指揮者としての私は、華やかなキャリアを追うよりも、本当に納得のゆく充実した活動をしていくのが自分の務めであると思っていました。あまり目立ちすぎないところで好きな仕事に力を注いできたので、このような年齢になって急に、新国立劇場の芸術監督というような大役を仰せつかるとは、全く予想していなかったことです。
でも、2014年の任期最初の『パルジファル』で、ドイツの宝ともいえるハリー・クプファー氏が演出を引き受けてくれたこと、そして、この宗教的で難解な作品が日本の聴衆に熱狂的な反応で受け入れられたことに、励まされました。クプファー氏も私の音楽を理解してくださって、彼の演出と素晴らしい装置が圧倒的な説得力で迫ってくる舞台と一体となって、ピットで上を見て指揮していた瞬間にふと、このような瞬間のために自分は人生を賭けてきたのだ、と確信いたしました。
つまり、日本におけるクラシック音楽は、交響曲に代表される、いわゆるシンフォニックな音楽が先行して受け入れられてきた歴史があるのですね。でも、オペラの中には人生のまさに全部が入っています。ヨーロッパにはそのようなオペラの歴史がまずあって、そのあとで序曲などからシンフォニックな音楽が発展してきたのです。 今、日本でもプロ・オーケストラが競ってオペラを演奏する、という機運が高まっています。もっともっと日常の中にオペラを浸透させていくことが大事で、このことにさらに力を尽くそう、と心に誓っております。

オペラを楽しむには

――華やかな劇場の雰囲気を感じていただくことが、オペラを楽しむきっかけになるかもしれません。そして、未知の作品、未知の作曲家の新しい作品にも、ぜひ好奇心をもって体験していただきたいと思います。だまされたと思って一度来てくださって劇場の醍醐味を味わえば、絶対とりこになるに違いないのです。名曲の中には素晴らしい価値がたくさん隠されています。音楽の道に終わりはないのです。肉体は衰えても、瑞々しい感受性を失わず、情熱を抱き続けていれば、心はいつまでも新鮮でいられる、と思っています。

芸術監督の任期はあと1シーズン。今後やりたいことは?

―― やはり、今まで自分が歩んできた、ベートーヴェンを始めとするドイツ・ロマン派の道、これも終わりがないので、さらに深く掘り下げていきたいと思います。たとえば『英雄』や『第九』を始めとして、何度指揮しても、そのたびに楽譜が新しく見える、新しい発見があるのですね。最近、楽譜を読むのに時間がかかって、年のせいかと思いましたが、色々なことを知れば知るほど、時間がかかるんですね。ですから、私が50年前に演奏した『運命』と、いまの『運命』では解釈もだいぶ違いますし、前よりもっと深くありたい、と常に思っています。
それから、新たな挑戦としては、昔からとても魅力を感じているのが民族楽派の作曲家です。チェコのドヴォルジャーク、フィンランドのシベリウス、ロシアのムソルグスキー、それからショスタコーヴィチなど、もちろん今までも演奏していますが、これらのレパートリーにもっと深く入りたいと思っています。
こういうことをやっていると元気になります。作曲家からエネルギーをもらう、ということです。そしてお客様にそれを伝える、その伝わったときの嬉しさは、やはり特別な喜びなのです。

 

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
読売日本交響楽団 第604回名曲シリーズ(2017/7/7)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

ネルソン・フレイレ氏と
ネルソン・フレイレ氏と

飯守泰次郎です。7月7日の読売日本交響楽団の名曲シリーズに向けて、連日リハーサル中です。

コンサートの前半はブラームスのピアノ協奏曲第2番で、ピアノ独奏にはネルソン・フレイレ氏をお迎えします。
後半は、ワーグナーの『パルジファル』から第1幕への前奏曲と「聖金曜日の音楽」、『ワルキューレ』から「ワルキューレの騎行」、そして歌劇『タンホイザー』序曲、というプログラムです。

協奏曲第2番は、ブラームス後期の円熟した作品で、協奏曲というよりほぼ交響曲と同様のスケールの大きさと内容を持っています。

フレイレ氏は、もはや申し上げるまでもない大変素晴らしいピアニストで、確固たる自身の音楽性がありながら、この上なく自由です。 70歳を過ぎているそうですが、非常に楽々とこの難曲を弾いていることに驚きます。

この作品は、ともすればメカニックな技巧やパワーを誇示するように演奏されがちですが、彼の音楽はフレーズの流れが雄大で幅が広く、コンチェルトというよりソリストとオーケストラが (ドイツ語でいうところの) zusammenspielen、つまりいつも大きなアンサンブルをしているような感覚です。表現が極めて豊かで、ブラームス後期ならではの音の重厚さはもちろんのこと、音色に気品があり、ただ感動するばかりです。
第3楽章では、読響のソロ・チェロ奏者である遠藤真理さんの美しいソロも、お聴きいただきたいと思います。

読響は非常に高い力量を持つオーケストラで、今回のこの重々しいプログラムを、リハーサルの初日から見事に弾きこなし、しかも余裕があり落ち着いています。各セクションが非常によくまとまっていて、大変立派な音を出してくれて嬉しく思います。 読響とはこの秋、新国立劇場『神々の黄昏』のピットでも共演するので、大変楽しみになってきました。

ワーグナーは、今回のような管弦楽だけのコンサートであっても、立派に美しく演奏するだけでは表現として十分ではありません。『パルジファル』でいえば”聖なる槍”、”信仰”、”罪の苦しみ”などのライトモティーフ (示導動機) を、単なる楽曲上のテーマを超えたひとつの理念として提示する、という意志が求められるのです。そういう意味では、後期ロマン派ではありますが非常にモダンな要素を持った音楽なのです。宗教性あるいは自然の美しさを表現するために、強さや重さよりも透明感や優しさが求められる部分も少なくありません。
こうした音楽の内容についても、読響は好奇心旺盛で、リハーサルを重ねるごとにさらに表現も深まってきています。

明日は、東京芸術劇場で、皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場『ジークフリート』を終えて(2017年6月〜音楽スタッフ編)
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

「『ジークフリート』音楽スタッフ打ち上げにて
『ジークフリート』音楽スタッフ打ち上げにて
 


飯守泰次郎です。 新国立劇場『ジークフリート』全6公演を支えてくれた、音楽スタッフの皆さんについても、ぜひお伝えしたいと思います。

『指環』に取り組むたびにいつも思うことは、音楽的にも劇的にもここまで複雑な作品はないのではないか、ということです。いかにワーグナーが自分の世界観をひとつにまとめていくのに苦労したか、スコアを読めば読むほどわかるのです。 このような“総合芸術”を上演することは、容易ではありません。キャストはもちろんオーケストラ、コーラス、演出スタッフ、裏方さん等々、本当に様々な力が結束することが必要です。

音楽に関しては、お客様からは見えにくいところではありますが、音楽スタッフの力なくしては成り立ちません。 新国立劇場の音楽スタッフの皆さんは、世界に数ある歌劇場のなかでも特に素晴らしい能力と経験を持っており、私も全面的に信頼しています。

今回の『ジークフリート』は特に音楽面の複雑さが際立つ難しい作品ですが、音楽ヘッドコーチの石坂宏さん、音楽チーフ、プロンプターの城谷正博さん、副指揮の根本卓也さん、コレペティトゥールの小埜寺美樹さん、木下志寿子さんの見事なチームワークの力に支えられ、私も非常に集中して仕事をすることができました。

次回の『神々の黄昏』はさらに大作になりますが、このチームの結束力できっと乗り切れると信じています!


飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場『ジークフリート』を終えて(2017年6月)
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

『ジークフリート』終演後の記念写真
新国立劇場『ジークフリート』楽日終演後(2017年6月17日)〜私の右からクリスタ・マイヤー氏(エルダ)、リカルダ・メルベート氏(ブリュンヒルデ)、アンドレアス・コンラッド氏(ミーメ)、ステファン・グールド氏(ジークフリート)、グリア・グリムスレイ氏(さすらい人)、トーマス・ガゼリ氏(アルベリヒ)、クリスティアン・ヒュープナー氏(ファーフナー)と共に
 


飯守泰次郎です。 皆様の応援に支えられ、新国立劇場『ジークフリート』全6公演を終えることができました。ホームページをご覧くださっている皆様、改めて御礼を申し上げます。

『ジークフリート』は、『指環』の中でも特に技術的にも、またリズム的にも複雑で、歌手にも管弦楽にもスピード感ある表現と並外れたエネルギーが求められる作品です。

ステファン・グールド氏がローゲ(2015年『ラインの黄金』)、ジークムント(2016年『ワルキューレ』)に続いて、今回はタイトルロールであるジークフリートの成長する姿を見事に歌ってくれました。上記の写真でご覧いただける通り、大変すぐれたワーグナー歌手の皆さんが勢揃いし、毎回の公演でお客様からいただく拍手と声援も熱気に溢れていました。
森の小鳥は、今回は4人の歌手が樹上にとまってかわるがわる歌う演出で、新国立劇場バレエ団の花形ダンサーとともに軽やかな色彩を添えてくれました。

東京交響楽団は、新国立劇場ではこれまでワーグナーの前期作品を担当しており、後期の『指環』のピットには初めて入ったオーケストラです。 『ジークフリート』は、上演時間も6時間と特に長く、ワーグナーの中でもオーケストラの機能性への要求が最も高い作品のひとつでもあり、大きな挑戦だったと思いますが、巨大な楽劇の表現をオーケストラが主体的に担うことへの新鮮な好奇心と、オーケストラ内部の精密なアンサンブルの力をフルに発揮して、献身的な演奏をしてくれたことに感謝しています。

『ジークフリート』を単体としてみるとハッピーエンドですが、今回の公演プログラム巻頭のご挨拶でも触れたとおり、幕切れの二重唱にはこの後の『神々の黄昏』へとつながる陰りが忍び寄っています。
『神々の黄昏』は、新国立劇場開場20周年を記念する2017/18シーズンの開幕公演として、10月に上演いたします。キャストは引き続きジークフリートにステファン・グールド氏、ブリュンヒルデには『ローエングリン』(2016年)のオルトルートで大変評価が高く最近はグールド氏との共演も多いペトラ・ラング氏、ハーゲンにアルベルト・ペーゼンドルファー氏(2016年『ワルキューレ』のフンディング)、そしてヴァルトラウテにはヴァルトラウト・マイヤー氏がついに新国立劇場に初登場します。さらに、新国立劇場の誇る合唱団がいよいよ登場するほか、ピットには初めて読売日本交響楽団が入ります。

間もなく約3カ月後、この巨大な物語をしめくくるにふさわしい上演をお届けできるよう、引き続き力を尽くしてまいります。


飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場『ジークフリート』(2017/6/1・4・7・10・14・17)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

グリア・グリムスレイ氏(”さすらい人”)、ステファン・グールド氏(ジークフリート)、リカルダ・メルベート氏(ブリュンヒルデ)と
グリア・グリムスレイ氏(”さすらい人”)、ステファン・グールド氏(ジークフリート)、リカルダ・メルベート氏(ブリュンヒルデ)と

飯守泰次郎です。このホームページをご覧になってくださる皆様に、しばらくごぶさたをしてしまいましたが、ゴールデンウィーク明けからずっと、新国立劇場2016/17シーズンを締め くくる『ジークフリート』に集中しております。

上演時間が5時間半を超え、ワーグナーの中でも特に長丁場で、演奏する側にとってもお客様にとってもタフなこの楽劇を 、これまで中2日で4回上演してまいりました。中3日をはさみ、残すところ6/14(水)と6/17(土)の2公演のみとなりました。
世界最高のワーグナー歌手陣と並んで、今回ピットに入っている東京交響楽団もワーグナー・オーケストラとしての新たな魅力を存分に聴かせてくれています。
新国立劇場2016/17シーズン・エンディング・パーティーでのご挨拶
新国立劇場2016/17シーズン・エンディング・パーティーでのご挨拶

4回目の公演翌日の6/11には、新国立劇場で「シーズン・エンディング・パーティー」が開かれました。このようなハード・スケジュールの中、タイトルロールのステファン・グールド氏、“さすらい人”役のグリア・グリムスレイ氏、ブリュンヒルデ役のリカルダ・メルベート氏、という“神々族”ゆかりの3歌手も参加して華やかな席となりました。

やはり、これだけ長い作品をどう乗り切るか、ということにお客様も関心をお持ちのようで、歌手も私もそれぞれの乗り切り方をお話ししました。
私は、もともと代謝が良いのか汗かきで、普段からかなり多くの水分を摂りますが、特に『ジークフリート』となると毎回何リットルもの水を飲みます。本番が終わると燕尾服がズッシリと重たくなります。
それでも、このような世界最高のワーグナー歌手とともに素晴らしい舞台を上演でき、聴衆の皆様に作品の内容をお伝えできることは幸せであり、そのためならどんなに汗をかいてもいい、と私は思います。

新国立劇場の『ニーベルングの指環』は、2015年の『ラインの黄金』で全てが始まり、1年後の2016年10月に『ワルキューレ』で内面的な愛の物語が、そして8カ月後の現在上演中の『ジークフリート』では英雄の成長が行動的に描かれています。約3カ月後の今秋10月には『神々の黄昏』が迫っており、登場人物の今までのすべての行動が最後にどのような結果を生むのかが示されます。

『ジークフリート』第3幕は『指環』四部作における幸福と勝利の絶頂であり、ブリュンヒルデの目覚めの場面の音楽は、形を変えて『神々の黄昏』でも2回再現されます。現在上演中の『ジークフリート』と、10月に始まる2017/18シーズン開幕公演『神々の黄昏』を続けて聴いていただければ、この巨大な作品の内容をいっそう深く感じ取っていただけるのではないかと思います。

これまでの4公演にお越しくださったお客様から贈られた熱い拍手とご感想を、残る2公演の支えとして力を尽くしたいと思います。
新国立劇場『ジークフリート』特設ページに寄せた私の文章をこちら(ページの下方)からお読みいただけます。皆様のお越しを、新国立劇場のピットで心よりお待ちしております。

   

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
関西フィルハーモニー管弦楽団第282回定期演奏会(2017/4/29)
ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」(荘厳ミサ)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

飯守泰次郎です。4/29は、関西フィルの定期演奏会で、ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」(荘厳ミサ)を指揮いたします。

「ミサ・ソレムニス」の作品番号は123、交響曲第九番は作品125で、同じ頃に作曲されました。この後、彼はもうオーケストラの作品は書いておらず、第九と「ミサ・ソレムニス」は、ベートーヴェン後期に並び立つ大作です。
第九は、ベートーヴェンの思想の集大成であり、全人類・全世界へ力強く訴えかけるメッセージです。一方、「ミサ・ソレムニス」は、ベートーヴェンの信仰心の集大成であり、彼の一生の心のすべてが入っている、非常に内面的な深さをもつ音楽です。交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノ・ソナタを究める一方で彼は、宗教音楽を書きたいという願いを持ち続け、教会の典礼音楽の研究もしており、その長い願いをついに実現させたのが「ミサ・ソレムニス」です。

「ミサ・ソレムニス」は、宗教音楽ではありますが、ベートーヴェンという人の性格が大変よく表れていて、ミサ曲としては一風変わっています。
ベートーヴェンは人間的にとても正直なところがあり、喜び、悲しみ、怒りといった感情を、直接的に音楽としてスコアに書きました。もちろん、どんな作曲家にもそのような要素はありますが、ベートーヴェンほど生(なま)の人間性を音楽に表現した人は類を見ない、と思います。「ミサ・ソレムニス」は、まさにベートーヴェンならではの特別なミサ曲です。

この偉大な作品のスコアを読んでいると、生身のベートーヴェンから語り掛けられているような感じがしてきます。関西フィルとは、15年ほど前にこの作品を演奏したことがあり、長い時間を置いてふたたび、関西フィルハーモニー合唱団と一緒に素晴らしいソリストをお迎えして演奏できることを、幸せに思います。
指揮者の岩村力さんがいらっしゃり、バランスの確認等々で大変助けてくださいました
指揮者の岩村力さんがいらっしゃり、バランスの確認等々で大変助けてくださいました

連休初日ではありますが、ザ・シンフォニーホールへ皆様のお越しをお待ちしております.。

 
飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
関西フィルハーモニー管弦楽団第281回定期演奏会
〜ブルックナー交響曲全曲ツィクルス第7回(2017/3/31)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

リハーサル風景
オークホール(関西フィル練習場)でのリハーサル風景

飯守泰次郎です。関西フィルとのブルックナー交響曲全曲ツィクルスを2011年にスタートした当初は、1年に1曲というペースで十年がかり、という何とも気の長いプロジェクトだと思いましたが、今年はもう第7回を迎えます。3/31のコンサートは交響曲第7番ホ長調を演奏します。

ブルックナーと組み合わせるプログラムは、やはりモーツァルトのピアノ協奏曲がよく合います。ブルックナーの交響曲が後半に控えているとなると、前半のモーツァルトのソリストにもぜひ相応の格を備えた方をお招きしたいと思い、ヴェテランの若林顕さんにお願いしました。若林さんという素晴らしい名手をお迎えして、作曲家後期の第25番ハ長調をとりあげることを大変嬉しく思っております。
終演後に若林顕さんと
終演後に若林顕さんと

この曲はティンパニとトランペットも加わる編成で、ハ長調で堂々と始まります。ピアノ独奏も普通ならば両手で堂々と入るところですが、右手のみで即興的にごく軽く、まるでアマデウスのおしゃべりのように入ってくるところがまさしく天才的であり、やはりモーツァルトにしか書けない自由さで、大変素晴らしいのです。 若林さんはごく自然に本当に楽しそうに演奏してくださる、私の大好きなピアニストです。

ブルックナーの交響曲第7番は、ホ長調という「愛」の調性です。

第1楽章冒頭は、「原子霧」とも呼ばれる弱音の弦楽器のトレモロで、典型的な「ブルックナー開始」で始まります。オルガニストである彼の内面に巨大なカテドラルの空間があり、その空間をpp(ピアニシモ)の弦楽器のトレモロの響きで満たして、テーマの出現を準備する、という彼独特の着想です。チェロとホルンが奏するテーマは、ホ長調の旋律が上行していき、メロディの後半に官能的な半音が出てきて、天上の世界と、地上の人間の世界の両方が象徴的に表現されているともいえます。

第2楽章の長大なアダージョは、尊敬するワーグナーの死が迫る中で作曲され、ワーグナー・テューバをとりいれています。終わり近くまで書いたときにワーグナーの訃報が届き、まさにすすり泣くような音楽となり、最後は嬰ハ短調の異名同音の長調である変ニ長調という、神がかった調性で終わります。

第3楽章はブルックナーにしては気品のあるスケルツォで、第4楽章は第1楽章と同じホ長調です。

ブルックナーは、西洋音楽の歴史における最後の純粋音楽の作曲家であると私は考えています。純粋音楽(絶対音楽)とは、音楽が情景や物語を描写したりするのではなく、古典的な精神にもとづいて音楽それ自体のみで成り立つ音楽のことです。彼は、本当の意味で内面的で純粋な音楽として交響曲を書いた最後の作曲家なのです。

しかし、あまり難しく考える必要はなく、長大で偉大な音楽に身を任せていただければと思います。 関西フィルは、ブルックナー・ツィクルスを共に歩んでくるなかで、ブルックナーに対する好奇心と経験をいっそう豊かに蓄積してきており、明日の本番が楽しみです。
皆様のお越しをザ・シンフォニーホールでお待ちしております。

   

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場2016/2017シーズン新制作『ルチア』
(2017/3/14・18・20・23・26)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

〔左から〕演出のグリンダ氏、指揮のビザンティ氏、ペレチャッコ=マリオッティ氏(ルチア)、私、ルチンスキー氏(エンリーコ)、ジョルディ氏(エドガルド)
〔左から〕演出のグリンダ氏、指揮のビザンティ氏、ペレチャッコ=マリオッティ氏(ルチア)、私、ルチンスキー氏(エンリーコ)、ジョルディ氏(エドガルド)

飯守泰次郎です。いよいよ、新国立劇場の新制作『ルチア』が3/14に初日を迎えます。
先日3/6に行われた、制作発表記者会見冒頭での私のご挨拶の要旨を、ホームページをご覧の皆様にもお読みいただけるように以下に掲載いたします。 オペラ芸術監督3シーズン目の新制作演目であり、新国立劇場が満を持して発信するこの新プロダクションを、ぜひとも皆様にご覧いただきたいと願っております。

3/14(火)、18(土)、20(月・祝)、23(木)、26(日)の計5公演で、まだチケットがございます。U25優待メンバーズ、U39優待メンバーズ(26〜39歳対象)、学生当日割引などのサーヴィスも用意されております。ご来場を心よりお待ちしております。

***

新国立劇場『ルチア』制作発表記者会見(2017/3/6)でのご挨拶:

皆様、本日は新国立劇場『ルチア』制作発表においでくださいまして、ありがとうございます。
『ルチア』は新国立劇場2016/17シーズンの2本目の新制作として、ここにいらっしゃる演出家のジャン=ルイ・グリンダさんに演出をお願いいたしました。

グリンダさんは、2007年からモンテカルロ歌劇場総監督を務めておられますが、「新国立劇場のために新制作する『ルチア』を、ぜひモンテカルロでも上演したい」とのお話があり、新国立劇場とモンテカルロ歌劇場で共同制作することとなりました。
共同制作は、希望しても、両劇場の時期や条件などがなかなか一致せず、難しいことがあります。それだけに、今回、共同制作が実現したことを大変嬉しく思います。新国で初演したあと、2019年11月にモンテカルロ歌劇場で上演されます。モンテカルロは世界的な観光都市であり、新国が発信する舞台を、モンテカルロに集まる世界のお客様に観ていただけることは、素晴らしいことだと思います。私も大変楽しみにしています。

『ルチア』は言うまでもなくベルカント・オペラの代表作です。ベルカント・オペラは、歌姫というスターがいないと成り立たないので、なかなか手を出すことができません。今回は、世界のメジャー劇場を駆け巡るコロラトゥーラのスター、オルガ・ペレチャッコ=マリオッティさんのスケジュールを幸運にもキャッチして、新国の日程と合わせることができました。
今回はウィーンで愛の妙薬を歌ってからすぐ東京に飛ぶという、強行軍でお願いしました。オルガさんはローザンヌでグリンダさんと『椿姫』の新制作でも共演していて、お互いに良くご存知です。 新国初登場のオルガさんの、完璧で洗練されたコロラトゥーラの歌唱を、皆さまにぜひ堪能していただきたいと思います。

指揮者のジャンパオロ・ビザンティさんは、ベルカント・オペラに特に定評があり、オルガさんとよく共演されており、今回もイタリアで一緒にリハーサルをしてから来日してくださいました。 エドガルドのイスマエル・ジョルディさんも オルガさんの相手役として、よく共演されています。 エンリーコのアルトゥール・ルチンスキーさんは、世界のメジャー劇場で歌っている、美声で名高いベテランのバス・バリトンです。皆さん、新国初登場ですが、望みうる最高のキャストで上演できることを大変嬉しく思います。このキャスティングには本当に力を入れました。

なお、有名な“狂乱の場”のアリアは、ドニゼッティが最初に書いた通りグラスハーモニカで演奏いたします。グラスハーモニカは当時大流行していた楽器で、特別デリケートで美しい音色を持ち、不思議な雰囲気を醸し出します。
今回は奏者のサシャ・レッケルトさんが、自らグラスハーモニカを大劇場で演奏するために進化させた「ヴェロフォン」という楽器で演奏します。オルガさんの歌とヴェロフォンとの共演を堪能していただければと思います。

それでは、間もなく14日に初日を迎える新制作『ルチア』に、皆様どうぞご期待いただきたいと思います。ありがとうございました。

***

新国立劇場『ルチア』公演情報はこちら

 
飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
東京都交響楽団 第826回 定期演奏会Cシリーズ
「ドイツ音楽の名曲を楽しむ優雅なひととき」(2017/3/9)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 


飯守泰次郎です。3/9は、東京都交響楽団の定期演奏会で、前半がベートーヴェンの序曲『レオノーレ』第3番と交響曲第8番、後半がワーグナーの歌劇『さまよえるオランダ人』序曲、歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲、楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー 』第1幕への前奏曲という、まさにドイツ音楽の名曲が盛りだくさんのプログラムを指揮いたします。
リハーサル風景
リハーサル風景
都響のこの「Cシリーズ」という定期演奏会は、週末でも平日でも午後に開演するコンサートのシリーズです。今回のプログラムは、交響曲が1曲、それ以外はすべてがオペラ(または楽劇)の序曲・前奏曲です。

ベートーヴェンの交響曲第8番はヘ長調で、特にハーモニーの美しい調性であり、しかもベートーヴェンらしい力強さの中に常にユーモアが含まれている、特別な魅力に溢れた作品です。
序曲『レオノーレ』第3番は、ベートーヴェン唯一の歌劇である『フィデリオ』のために書かれた4つの序曲の中でも、特に完成度の高い名曲です。序奏の木管の旋律は、歌劇の第2幕でフロレスタンが歌うアリアであり、このような部分ではオーケストラの楽器というよりは歌手のように歌うという意識も求められます。

『さまよえるオランダ人』序曲は、今回演奏するワーグナー3曲の中で最も野性的で、オランダ船が遭遇する嵐、荒れ狂う海の自然描写が作曲家の発想の源にあることを、全身で表現する必要がある作品です。
一方『ローエングリン』第1幕の前奏曲は、天上の世界から聖杯騎士ローエングリンが地上に降りてきて、また天上に帰っていくという宗教性の表現が最も重要です。
『マイスタージンガー』第1幕の前奏曲は演奏機会は非常に多いのですが、5時間に及ぶ楽劇の中の各場面をよく理解し、体に入れて演奏することにより、表現に幅と深みが生まれるのです。

東京都交響楽団とは、以前にも『指環』の抜粋などワーグナーの名曲・名場面を演奏しており、CDにもなりました。シンフォニー・オーケストラとして大曲を日常的に演奏しているので、大編成のワーグナーでも余裕があり、本番も大変楽しみです。皆様のお越しを心からお待ちしております。

   

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
東京シティ・フィル第48回ティアラこうとう定期演奏会
「飯守泰次郎の十八番」(2017/3/4)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

飯守泰次郎です。 3/4は、東京シティ・フィルのティアラこうとう定期演奏会を指揮いたします。プログラムは、ワーグナーの「タンホイザー」序曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調、そしてベートーヴェンの交響曲第7番です。

このコンサートには「飯守泰次郎の十八番」というキャッチフレーズがついていて驚きましたが、「タンホイザー」序曲とベートーヴェンの交響曲第7番は名曲中の名曲で、たしかに私が指揮する機会の多い作品です。特に東京シティ・フィルとは、長年の協同作業の中で幾度となく演奏を積み重ねているレパートリーです。とはいえ、オーケストラのメンバーも少しずつ入れ替わりますし、私自身も何度指揮しても毎回必ず新しい発見があり、だからこそ名曲なのだと思います。オーケストラもそのことをよく理解していて、いっそう幅広く深い表現を目指し、リハーサルでも高い集中力を発揮してくれています。

ピアノ独奏の篠永紗也子さんと
ピアノ独奏の篠永紗也子さんと

ラフマニノフのピアノ協奏曲といえば第2番が有名ですが、今回は、独奏の篠永紗也子さんの意向で第1番(改訂版)を取り上げます。
この作品はラフマニノフが学生の頃に書かれ、その後20年以上経って改訂された版が一般的に演奏されています。改訂版とはいえ、やはり、完成され成熟しているというよりは、若きラフマニノフの魅力がはっきり出ています。彼がこれから先、自分がどんな作曲家になろうか、冒険してはばからない、という良さが感じられるのです。
演奏する側は技術的にも非常な挑戦が求められますが、篠永紗也子さんは、あのような若さと可憐さにもかかわらず大変ドラマティックな音楽作りで、いったいどこからあのようなエネルギーが湧いてくるのだろう、と思うほどです。

この演奏会に関連して、東京ベイ・ネットワーク発行の「Channel Bay」3月号にインタビュー記事(こちらからご覧いただけます:PDF2285KB)が掲載されております。合わせてご覧いただき、ぜひコンサートにお越しください。ティアラこうとうで、皆さまをお待ちしております。

   

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団第327回定期演奏会(2017/2/18)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

かながわアートホールでのリハーサル
かながわアートホールでのリハーサル
飯守泰次郎です。久し振りに神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会を指揮いたします。明日の本番に向けて、毎日リハーサル中です。プログラムはベートーヴェンの交響曲第8番ヘ長調と、シューベルトの交響曲第8番ハ長調「グレート」(以前は9番と呼ばれていたこともありました)です。

約3年ぶりに来てみると、神奈川フィルの皆さんが大変進歩して力強いオーケストラに発展していて、とても嬉しく思っております。今回は決して簡単なプログラムではありませんが、楽員の皆さんの楽譜の読みの深さが見事で、素晴らしいコンサートになる予感がしています。

シューベルトの「グレート」はとても良く知られている名曲で、スケールが非常に大きく、しかもシューベルトの魅力のすべてが表れています。非常に明るいハ長調で、カンタービレで歌うシューベルトの心と、リズム的な部分のコントラストが豊かであり、この交響曲を聴けばシューベルトのすべてがわかる、と言っても言い過ぎではないかもしれません。

ベートーヴェンの交響曲第8番は、「英雄」「運命」「田園」のような呼称のある曲ではありませんが、9曲の交響曲の中でも4番とならんで特別の魅力に満ちた作品です。
第8番は「田園」と同じヘ長調で、これは非常に明るい調性です。序奏がなく、いきなり冒頭からオーケストラ全員のフォルテでテーマが奏され、この数小節を聴いただけでも、ベートーヴェンの素晴らしいエネルギーが聴き手に与えられるのです。
いわゆるベートーヴェンのイメージである「苦悩を通して歓喜へ」といった哲学的な面よりも、彼独特のユーモアと明るさ、という別のキャラクターがストレートに表現されている作品なのです。

このような、明るく肯定的でエネルギーに溢れたプログラムを、神奈川フィルの皆さんと一緒にできることはとても嬉しく、非常にやりがいを感じて心が燃え立つ思いがしています。みなとみらいホールで、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
 

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場2016/2017シーズン半ばによせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

『カルメン』を指揮したイヴ・アベル氏と
『カルメン』を指揮したイヴ・アベル氏と
飯守泰次郎です。新国立劇場の2016/17シーズンは、昨年10月『ワルキューレ』で開幕し、『セヴィリアの理髪師』『ラ・ボエーム』、そして年明けからは『カルメン』『蝶々夫人』を上演してまいりました。
しばらく前になってしまいましたが1/28の『カルメン』終演後、個人賛助会員の方々をお招きしたパーティーの様子をお伝えします。『カルメン』に出演したばかりの興奮冷めやらぬ指揮者、歌手、バレエダンサーとともに、個人賛助会員のお客様との交流の場をご一緒することができました。

私も短いスピーチをさせていただき、今年いよいよ開場20周年を迎える新国立劇場について、優れたスタッフと舞台機構が、出演したアーティストの口コミで世界に認知されつつあることなどをお話しいたしました。
『カルメン』第3幕のカルメンとエスカミーリョの衣裳も展示され、華やかな雰囲気で和やかなひとときを過ごすことができました。
カルメンとエスカミーリョの衣裳
カルメンとエスカミーリョの衣裳
2016/17シーズンはこのあと新制作の『ルチア』(3/14プルミエ)が控えております。4月には『オテロ』『フィガロの結婚』、いずれも充実したプロダクションの再演が続きます。
シーズンを締めくくる『ジークフリート』(6/1プルミエ)は私の指揮でお贈りします。ホームページをご覧の皆様、ぜひオペラパレスへのご来場をお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場2017/2018ラインアップ発表(2017/1/12)によせて
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

宮田慶子 演劇芸術監督(左)、大原永子 舞踊芸術監督(右)と
宮田慶子 演劇芸術監督(左)、
大原永子 舞踊芸術監督(右)と
飯守泰次郎です。本日1/12、新国立劇場2017/2018シーズンのラインアップ説明会と記者懇談会が開催され、報道関係者の皆様にご説明をいたしました。
詳しい内容は新国立劇場ホームページに本日発表されておりますので、ぜひご覧ください。

計10演目のうち、私はワーグナー「神々の黄昏」(2017年10月/計6回公演)と開場20周年記念特別公演・ベートーヴェン「フィデリオ」(2018年5月〜6月/計5回公演)を指揮いたします。

本日配布されたご案内のパンフレットに掲載した私のご挨拶は、上記「新国立劇場からのおしらせ」にも掲載されておりますが、ホームページをご覧の皆様にもお届けしたいと思います。

***

新国立劇場はこの2017/2018シーズンで開場20周年を迎えます。これまでの皆様の力強いサポートに深く御礼を申し上げたいと思います。

このシーズンはまた、芸術監督としての私の最後のシーズンでもあります。20周年に向けて、3年がかりでワーグナーの「ニーベルングの指環」四部作に取り組んでまいりましたが、いよいよ4番目の作品『神々の黄昏』(新制作)をもってこの巨大な物語を締めくくることになります。ここに至る3作品と同様、ドイツの名演出家ゲッツ・フリードリヒによるプロダクションを、引き続き上演いたします。これまで『ラインの黄金』『ワルキューレ』のそれぞれ主要なテノール役であるローゲ、ジークムントにおいて皆様を魅了し、今年は『ジークフリート』表題役に出演するステファン・グールドが、いよいよ本来のレパートリーのまさに中核である『神々の黄昏』のジークフリートを披露します。新国立劇場に集結するぺトラ・ラング、アルベルト・ペーゼンドルファー、ヴァルトラウト・マイヤー、という世界最高峰のワーグナー歌手陣による壮大なエンディングに、どうぞご期待ください。

内外の念願がついに叶い、細川俊夫の『松風』を新国立劇場で日本初演できることを非常に嬉しく思います。作曲家の意志である舞踊とオペラが融合した新しい作品形態を最も的確に実現すべく、モネ劇場で初演され絶賛された、サシャ・ヴァルツの演出・振付による初演プロダクションを上演いたします。

ベートーヴェンの唯一のオペラ『フィデリオ』は、最も深い精神性と高貴な理想を表現した、まさに特別な演目であり、大きな節目や重要な記念に際して取り上げられる伝統があります。開場20周年に最もふさわしいこの作品を、近年大きな注目を集める演出家で、バイロイト音楽祭総監督を務めるカタリーナ・ワーグナーを迎えて新制作で上演いたします。レオノーレはリカルダ・メルベート、フロレスタンはステファン・グールドという力強い組み合わせです。

再演演目は、ヴァンサン・ブサールによる美しい演出で大好評をいただいている『椿姫』をまずお楽しみいただきます。『ばらの騎士』では、オクタヴィアンとして人気絶頂のダニエラ・シンドラムが初登場します。『こうもり』はウィーンの香り溢れるお馴染みのキャストです。『ホフマン物語』の4つの悪役ではトマス・コニエチュニー、『愛の妙薬』では世界最高のアディーナ役の一人であるルーシー・クロウ、『アイーダ』のイム・セギョンおよびラダメスのナジミディン・マヴリャーノフ、そして『トスカ』のキャサリン・ネーグルスタッド...と世界を席巻する注目の歌手が続々と新国立劇場に初登場します。 新国立劇場の人気レパートリーを、最旬の歌手でお楽しみいただきたいと思います。

20周年にふさわしい2017/2018シーズンの華やかなラインアップで、皆様のお越しをオペラパレスで心よりお待ちしております。

新国立劇場オペラ芸術監督 飯守泰次郎

***

 

飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
2017年を迎えて〜新年のご挨拶〜
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

ワルキューレ終演後の記念写真
新国立劇場『ワルキューレ』終演後(2016年10月撮影)〜私の左からグリア・グリムスレイ氏(ヴォータン)、イレーヌ・テオリン氏(ブリュンヒルデ゙)、ジョセフィーネ・ウェーバー氏(ジークリンデ)、そしてワルキューレの皆さんと 共に
 


ホームページをご覧くださっている皆様、明けましておめでとうございます。 飯守泰次郎です。
ヴォータン役のグリア・グリムスレイ氏と
ヴォータン役(および2017『ジークフリート』さすらい人)のグリア・グリムスレイ氏と

皆様、新年をどのようにお迎えになられましたでしょうか。 私は、大変久し振りに少しだけ落ち着いて自宅で新年を迎えることができました。

皆様の応援に支えられ、現在、新国立劇場オペラ芸術監督として3シーズン目にあります。私の任期の最後のシーズンとして今秋に開幕する2017/18シーズンのラインアップも、間もなく記者会見で発表いたしますので、年末年始はその準備に忙しくしておりました。

1/22の『カルメン』終演後には、お客様どなたでもご入場いただける「新シーズン演目説明会」でも私がご説明いたしますので、ぜひお越しください。

この一年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう願っております。そして、新国立劇場のピットあるいはホワイエ、そして各地のコンサートホールで、皆様をお待ちしております。

クラウス・フローリアン・フォークト氏と
酉年にちなんで…というわけではありませんが
”白鳥の騎士”クラウス・フローリアン ・フォークト氏と
〜新国立劇場『ローエングリン』舞台裏にて(2016年6月撮影)
 

飯守泰次郎

 
 
− 当サイト掲載情報の無断転載を禁じます −
(c) Taijiro Iimori All Rights Reserved.