スイス旅行記 〜2008年6月〜 | ||
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泊まっていたシャレー(山小屋)からの風景 |
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スイスの自然 オランダでのセミナーの後は、スイスの山奥に滞在しました。ベルナーオーバーラント地方という、ユングフラウをはじめいくつもの山々が連なるところです。
その静けさといったら!大勢の観光客が集まっているのに、じつに静かなのです。騒音や雑音を非常に少なくしてあり、いわゆるアナウンスとか説明とか、あるいは立て札、看板、広告といったものが最小限にとどめられているので、大勢の人々がいても自然の中にいることを純粋に楽しむことができるのです。自然の景観と静けさを保つ徹底した姿勢には、本当に感銘を受けました。
意外に年配者も多く、老若男女、外国人も含めて、すべての人々が楽しめるように非常にうまくできています。ただし高度3000メートルを超えるとやはり頭はもうろうとしてきます。ゆっくり動かなければなりません。 私が泊まったのはスイスの伝統的な様式の木造の家でした。周囲には至るところに高山植物が咲き乱れ、花々の数の多さに圧倒されます。野原に草花が無数に咲き、ちょうど今の季節は放牧が始まるころで、まさにマーラーの交響曲で使われるあのカウベルが聞こえてきます。この高度のあたりでは今がちょうど春の盛り。クロッカス、チューリップと同時にシャクナゲ、そして色とりどりの高山植物が一斉に咲いています。 1日のうちに高度の低いところから高いところまで行けるので、本当にさまざまな気候の変化を味わうことができました。スイスの観光に世界中の人が集まるのは、こういうわけであると私にもよくわかりました。 |
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■ 咲きみだれる花々 |
■ やはりついスコアを・・・ |
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トリープシェンのワーグナーの家
ワーグナーの生涯において、トリープシェンで過ごした時期は一番幸せな頃でした。彼は『ローエングリン』『トリスタンとイゾルデ』の完成後にこの家に移り、落ち着いてひとところにとどまって作曲に集中した素晴らしい時期であり、コジマが何から何まで彼の世話をしてくれました。『ニーベルングの指環』に着手しつつ『マイスタージンガー』をこの地で書き上げたのです。 この丘の上から湖をのぞむ眺め、船が出入りする様子は、まさにワーグナーが眺めていたものです。今でこそ他に建物も建っていますが、あの当時は本当に自然のままだったことだろうと思います。
バイロイトのヴァーンフリート館は私も非常によく知っていますが、ここトリープシェンのワーグナー博物館のほうがワーグナーの人柄をパーソナルに感じさせます。再びこの地を訪ねることができ、改めて深い感銘を受けました。 |
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■ フィーアヴァルトシュテッター湖を望む |
■ 猫と遊ぶ |
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