メッセージ:2010年10月〜12月  

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2010ベートーヴェン第九〜浜松〜
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。ベートーヴェンの第九交響曲は、大変特別で、祭典的で、しかも深い内容を持つ作品ですが、日本では年末に数多く演奏されています。
私も、今年も第九公演を何回か指揮しています。すでに終わった公演についても、これから順次ご報告してまいりますが、ここでは、本日まもなく本番を迎える浜松の第九公演についてお伝えします。

浜松フロイデ合唱団とは、以前にも東京シティ・フィルとともに共演したことがあります。今回さらに人数が増えて熱気が増していることに、最初の練習に来て驚きました。すでに2回、浜松で合唱団と練習をしています。
本番がとても楽しみです。浜松のお近くの皆様、ぜひアクトシティへお越しください。

 
飯守泰次郎

 

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「受章を祝う会」のご報告
−飯守泰次郎−

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花束を手に
宮本文昭さん(指揮者・オーボエ奏者)から贈られた花束を手に

飯守泰次郎です。先日の東京シティ・フィル第243回定期演奏会(ベートーヴェン交響曲シリーズ第3回、11/11)の終演後に、東京シティ・フィルが私の先の旭日小綬章受章を祝うパーティーを催してくださいました。

パーティーには、近藤誠一文化庁長官ご夫妻をはじめ、江東区副区長宍戸孝氏および江東区文化コミュニティ財団の方々、ご支援くださる各財団の方々、二期会、マスコミおよび批評家の方々、そしてもちろん東京シティ・フィル、東京シティ・フィル・コーアの皆さんもいらしてくださって、温かいお祝いの言葉を頂戴し、感激致しました。

パーティーの席上でも申し上げたことですが、私がこのような章をいただいたことも、そもそも演奏活動ができるのも、共演してくださる方々、支えてくださる皆様のおかげなのです。
改めて、皆様に心からの感謝を申し上げます。

 
飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィル ベートーヴェン全交響曲シリーズ
第3回(11/11)〜交響曲第1番/第3番〜を終えて
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。東京シティ・フィルのベートーヴェン全交響曲シリーズ第3回(11/11)は、交響曲第1番と第3番という、ベートーヴェンの最も野心的な交響曲を組み合わせて演奏いたしました。

当シリーズ(全5回)の中でも特に内容の濃いプログラムでしたが、音楽評論家の東条碩夫氏がご自身のブログに、重みのある素晴らしい批評を書いてくださいました。このホームページにも掲載させていただきましたので、ご覧いただけますと幸いです。

マルケヴィッチ版に取り組めば取り組むほど、ベートーヴェンに対する彼の思いの深さに圧倒されています。当シリーズの次回は12月26日の「第九」(東京芸術劇場)で、もう間もなく練習も始まります。私もいっそう、楽しみにしております。

 
飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィル創立35周年記念
ベートーヴェン全交響曲シリーズ第3回(11/11)を迎えるにあたって
マルケヴィチ版の特徴について
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。本日11月11日、東京シティ・フィル創立35周年記念ベートーヴェン交響曲全曲シリーズの第3回(「レオノーレ」序曲第3番/交響曲第1番/第3番「英雄」)を迎えます。
今回もプログラム冊子に、これまでお伝えしきれていないマルケヴィチ版の特徴について、文章を執筆しましたので、ホームページをご覧くださる皆様にもお届けしたいと思います。

***

「マルケヴィチ版の特徴について」
(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第243回定期演奏会〜2010/11/11開催公演プログラムに掲載)

当シリーズのこれまで2回(5月〜交響曲第4・7番、7月〜第8・6番)を聴いてくださった皆様から伺ったご感想やご意見によれば、マルケヴィチ版を使用する意義やその魅力が非常に肯定的に受け止められている、と感じており、大変嬉しく思います。 
この版の特徴と背景について、これまでもお伝えしてまいりましたが、まだお伝えし足りていない点をさらにご説明したいと思います。

マルケヴィチ版が一番目指しているのは、改革者としてのベートーヴェンの本質に立脚して、当時の楽器や演奏上の制約をふまえて作曲者の意図をくみ取り、真に表現したかった内容に迫る、ということです。
このため、マルケヴィチ版の特徴のひとつとして、音の一つ一つに特にこだわり、それが独特の弓づかい(ボウイング)や、音の長さに対する種々の指定となって表れています。その結果として音楽の歌う要素がより大切にされています。

今回はその一例として、スタッカート(音を「切り離す」指定)についてご説明をします。マルケヴィチは、スタッカートはただ音を短くする、というのでなく、音の長さをかなり細かく区別して演奏するよう要求しています。
具体的には、この版におけるスタッカートは4種類あります。

1. 指定なし:特に点の指定がない音符が並んでいる場合、音符の間に隙間がないように奏します。フルトヴェングラーに代表される20世紀半ばまでの主流で、カラヤン=ベルリン・フィル、最近ではアーノンクールの演奏でもみられます。

2. 音符の上に点とスラー:やや長めのスタッカート。音と音の間の隙間は、あくまでひとつの目安ですが、音価(音の記譜上の長さ)の4分の1くらいです。

3. 音符の上に点のみ:いわゆるスタッカート。実際の音の長さは、やはりひとつの目安ですが、だいたい音価の半分くらいです。

4. 音符の上にクサビ:スタッカートよりもっと短く奏します。

これとは別に、弦楽器でいえばスピッカート(弦の弾力を利用して弓を跳ねさせる、いわゆる“とばし”)という奏法が指定されている場合もあり、私が見るかぎりマルケヴィチ版の音の長さの指定は少なくとも5パターンあることになります。

以上はもちろん一般的な説明で、実際は音楽の流れや目指す音楽のキャラクターによって変わり、一概に決めつけることは意味がありません。
重要なことは、マルケヴィチが、個々の奏法を要求しているのではなく、ベートーヴェン当時の歴史的文化的背景から作曲の経緯までの情報をすべて網羅し、さらに9曲を徹底的に分析した結果として、具体的な演奏上の提案をしている、ということなのです。

マルケヴィチの徹底した研究と考察の成果は、9曲の校訂版スコアとは別の「ベートーヴェンの交響曲〜歴史的アナリーゼと、実際の演奏に関する考察〜」と題された分厚い別冊にまとめられています。
この別冊で彼は、まず9曲全体を見通して、その特徴を他の作曲家と比較しながら記述しています。そして、ベートーヴェンの交響曲のさまざまな特徴――拍のエネルギー、リズム、スタッカート、楽器の使用法、弓づかいの技術、ダイナミクス、メトロノームのテンポ設定、長調と短調、等々――について詳細に解説しています。

それから各交響曲ごとに、作曲された前後の歴史的・政治的状況、文化・哲学・絵画・彫刻・建築・音楽・科学技術などの時代背景、自筆譜の状態や出版の経緯、初演およびその後の主な演奏記録などの総合的な情報を示します。
そして、その交響曲が持つ特徴的なキャラクターについて述べ、動機を徹底的に分析して動機相互の関連を解説し、さらに各小節を追いながら演奏における具体的な提案(テンポの取り方、音の長さ、弓使い、ダイナミクス等々)をしています。

ここまで徹底しながら、しかもマルケヴィチは、情報の集積だけで音楽の正確な表現に到達することはできないこともわきまえているのです。彼はあくまで、膨大な情報に基づく徹底した考察を経て自分が到達した理解として、これらの演奏上の提案をしているのです。

マルケヴィチの個々の提案は、9曲すべてを徹底的に考察したからこそ到達できた有機的な関連性をそなえており、前提となる理由もすべて明らかにされています。さらには往年の巨匠の演奏をもふまえているマルケヴィチ版は、情報の網羅性、考察の徹底性、有機性および客観性において、ワインガルトナーの「ある指揮者の提言」を凌駕しているといえます。
世界的な指揮者として多忙なマルケヴィチがこうした校訂版を完成し得たこと自体、全く驚愕するほかありません。

マルケヴィチ版という偉業は、ベートーヴェンの交響曲に肉迫したい、納得できる演奏をしたい、というマルケヴィチの洞察力と凄まじい執念、さらには使命感の結晶なのです。
この楽譜に向き合っていると、マルケヴィチの音楽的良心に深く打たれ、彼のように私もベートーヴェンに忠実でありたい、という思いを新たにするのです。

 
飯守泰次郎
 

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2010「かがわ第九」演奏会(11/7)によせて
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。11月7日の日曜日に、これまでも毎年のようにご一緒している、恒例の「かがわ第九」を指揮します。

「かがわ第九」は、地元の香川の人たちと、全国から集まった多数の参加者が、ともに第九を歌うという非常に活気のあるプロダクションで、合唱団の人数は300人以上に及びます。
にもかかわらず、いつも素晴らしいまとまりを見せるのは、実行委員長の中西久米子さんの存在が大変大きいと思います。委員長としてすべての責任を負われているにもかかわらず、私やソリストたちを大変温かく迎えて気を配ってくださり、私は彼女のことを「第九の母親」と呼んでいます。この合唱団は温かい雰囲気と一体感に溢れており、私も特にやりがいを感じて、これまでも多く客演しております。

今回も、合唱指揮の植田浩史さんのご指導による大規模な合唱団、そして佐々木典子さん、大林智子さん、井ノ上了吏さん、佐野正一さんという優秀なソリスト陣、そしてオーケストラは関西フィル、という最高の皆さんと共演で、私も大変楽しみにしているのです。

 
飯守泰次郎

 

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関西フィルとの楽旅にて〜2010年秋〜
−飯守泰次郎−

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「Happy Birthday」のサプライズ演奏にびっくり
「Happy Birthday」のサプライズ演奏にびっくり!

飯守泰次郎です。だいぶ遅くなりましたが、先々月、文化庁の「本物の舞台芸術体験事業」で関西フィルと中国地方の小中学校を巡演中に、たまたま私の誕生日当日に本番が重なった日がありました。

ゲネプロのとき、突然、練習予定の曲目とは全く違う、調性も異なる音楽が鳴り始め、大変びっくりしました。
関西フィルのみなさんが、こっそりと Happy Birthdayの曲を準備してくださったのです。そして、サンタクロースが来たかと思うくらい、たくさんのプレゼントをいただき、大変感激しました。

この写真でもお分かりの通り、私はリハーサル中にとてもたくさんの汗をかくので、贈り物はまずタオル。そして素晴らしい模様のネクタイ、靴下でした。
ふだん私は東京に住んでいて、関西フィルの楽員の皆さんとゆっくりご一緒する時間が少ないのですが、この演奏旅行では移動の道中など長い時間を共に過ごして色々な話ができました。その意味でも、大変貴重な機会となりました。

タオルはリハーサルの必需品
タオルはリハーサルの必需品

 

 
飯守泰次郎

 

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平成22年秋の叙勲・旭日小綬章を受章して
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。このたびの平成22年秋の叙勲で、旭日小綬章をいただきました。

思ってもみないことで、本当に驚いております。でも、もし理由があるとしたら、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団をはじめ、共演してくださる各オーケストラ、オペラ団体、合唱団の皆様のご理解とご協力があってのことです。そしてまた、ご支援くださる各方面の方々にも、ただただ感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

まだ道半ばですが、コンサートホールの中でステージと聴衆が一体となる幸せな瞬間のために、これからも力を尽くしていきたいと思います。どうか皆様、よろしくお見守りくださいますようお願いします。

 
飯守泰次郎

 

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東京フィルハーモニー交響楽団「午後のコンサート」第46回
“2人のシュトラウス”(10/31)によせて

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飯守泰次郎です。10/31は東京フィルハーモニー交響楽団の「午後のコンサート」で、“2人のシュトラウス”というタイトルのコンサートを指揮します。

今回は、ワルツ王ヨハン・シュトラウスII世と、楽劇と交響詩の王者R.シュトラウスを組み合わせるという、変わった趣向ですが、全く違うシュトラウスである双方が互いに引き立て合うプログラムとなる気が致します。
この2人の作曲家の表現する世界は全く異なりますが、聴衆の理解を非常にうまく得て見事に納得させるという音楽の性質においては、何か名前だけでない共通性を感じるのです。

東京フィルハーモニー交響楽団とは、今年の5月にも軽井沢大賀ホールで共演しました。昔からコンサートだけでなくオペラや楽劇の演奏でも長年共演を重ねている、私にとって特に親しみ深いオーケストラです。今回はこのように特にユニークなプログラムでご一緒できることを大変嬉しく思います。初台で、皆様にお会いできますよう願っております。

 
飯守泰次郎

 

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読売日本交響楽団 第176回東京芸術劇場名曲シリーズ(10/22)によせて
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。10/22に読売日本交響楽団の「第176回東京芸術劇場名曲シリーズ」で、モーツァルトとワーグナーを組み合わせたプログラムを指揮します。

読売日本交響楽団は、私が駆け出しの指揮者だった時から関係の深いオーケストラです。1960年代半ばから副指揮者を務め、1970年代に正指揮者となり、以降も折々に客演を繰り返しており、私にとってとても大切な共演者の一つです。

近年もブラームス、ワーグナー、マーラーの交響曲第1番「巨人」、あるいは読響の真夏の恒例「三大交響曲」(『未完成』『運命』『新世界』)などで共演しており、そのたびにこのオーケストラの底力を感じ、本当に素晴らしいオーケストラだと改めて思います。

今回は、プログラムの前半にモーツァルトの交響曲第38番『プラハ』、そして後半は『ニーベルングの指環』から名場面を抜粋で演奏致します。
ぜひ東京芸術劇場へ、皆様のお越しをお待ちしております。

 
飯守泰次郎

 

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千住真理子 with 飯守泰次郎 & 関西フィル in 呉(10/24)によせて
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。このたび関西フィルとともに、広島県の呉市文化ホールからお招きを受け、千住真理子さんと共演致します。

千住真理子さんとは10年以上前に共演して以来で、久しぶりにご一緒します。先日のリハーサルでは、前回もたしかチャイコフスキーだったような気が……と、お互いに確信があるわけではないながら、懐かしくお話ししました。
呉市は、千住真理子さんのファンが特に多いと伺っております。今年でデビュー35周年を迎えられる、そうそうたるベテランの千住真理子さんと、他ならぬ呉市の文化ホールで共演できることを、大変楽しみにしております。

千住真理子さんとのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と組み合わせて、今回は特に「飯守&関西フィルのワーグナーを」という嬉しいご要望をいただき、関西フィルと演奏を重ねてきたワーグナーのレパートリーをお楽しみいただけるようなプログラムに致しました。

この演奏会のチラシには“指揮者とオーケストラとソリスト〜ステージで繰り広げられるのはまさに……幸福な三角関係?”という見出しが付けられています! 私も、この共演を心から楽しみにしております。ぜひ呉でお会いしましょう。

 
飯守泰次郎

 
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