メッセージ:2011年1月〜3月  

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第247回定期演奏会
ベートーヴェン交響曲全曲シリーズ最終回(3/17延期のお知らせ

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。 このたびの地震の被害に遭われたすべての方に、お見舞いを申し上げます。
できることなら今すぐ現地へ向かい、皆様の悲しみ、苦しみを少しでも慰め、力になれたら、と、いてもたってもいられない気持ちです。しかしこの甚大な被害に対して、いま我々音楽家が駆け付けても足手まといになるばかりであることも分かっており、この身が歯がゆくてなりません。
少しでも多くの力が、日本中、世界中から集まり、現地の皆様の苦難と不安が1日も早く軽減され、復興へと向かうことをお祈り致します。

非常に残念ながら、3月17日開催の東京シティ・フィル第247回定期演奏会、マルケヴィチ版によるベートーヴェン交響曲全曲シリーズ最終回(交響曲第2番・第5番)を、延期させていただくことになりました(詳細は東京シティ・フィルのホームページをご覧ください)。

現在の厳しい社会状況にかんがみ、また交通機関の状況により本日から予定されておりましたリハーサルに出演楽員全員が集まれる見込みが立たないことから、延期せざるを得ないとの判断となりましたが、機を改めて必ずチクルスをやり遂げる強い意思を持っております。
皆様に改めてご案内ができる日、そして再びコンサートホールで皆様にお目にかかれる日を、私も待ち望んでおります。

 
飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団
大阪市中央公会堂特別演奏会(
3/13)プレトークにおけるご挨拶

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。 怖ろしい地震の被害が刻々と明らかになる中、沈痛な心持ではございましたが、関西フィルとの特別演奏会(3/13)を何とか無事に終えました。
演奏会当日のプレトークの冒頭にご挨拶した内容のままになりますが、ホームページをご覧の皆様に以下のとおりお伝えいたします。
なお、当日関西フィルから、被災地への募金を呼びかけたことに多数の聴衆の皆様が応じてくださり、終演後かなりの額となりました。聴衆の皆様のご協力に深く感謝しております。

「3月11日の午後、私は大阪市内で関西フィルとリハーサルをしていました。
ビルの6階にあるリハーサル会場は、震災が起きた時間、大阪といってもかなりの揺れで、東京の人間である私もとても怖ろしさを感じました。そしてそのときの関西フィルのメンバーの様子に、関西に暮らす皆様が、15年を経た今もここまで恐怖に駆られるほど、怖ろしく生々しい経験をされたということを、改めて深く痛感いたしました。

本日の演奏会にあたり、今、この信じがたい悲劇が起きているこのとき、のんびりと音楽を演奏している場合ではない、という思いも非常に強くあります。しかし、私たち音楽家にできることは、音楽を通じて皆様と勇気を分かち合うことのみです。

第2次世界大戦末期のドイツのオーケストラは、爆撃が身近に迫っても、ホールが半壊しようとも、ホールそのものが爆撃されるまで演奏会をやめませんでした。イスラエルでも同様のことがあったと聞いております。

そして終戦直後のドイツでは、瓦礫の中、いちはやくベルリン・フィルハーモニーがコンサートを再開しました。チケット代の代わりに、寒いコンサートホールを暖めるための練炭をひとつ(ドイツの練炭はレンガくらいの大きさがあります)、家から持ってくれば、コンサートを聴くことができたそうです。コンサートホールは長蛇の列で、いかに人々が音楽に飢えていたか、そのような危機に芸術の力が人間の支えとなる歴史が、ヨーロッパには脈々と続いているのです。

本日私たちも、演奏家としての務めを果たしていきたいと思います。」

当日の舞台でご挨拶した内容は以上のとおりです。
音楽家である私たちに限られた務め、そして芸術の力についてお話ししましたが、今のような状況下では、無力感に苛まれます。ライフラインが断たれている現状では、現地ではまず食べ物、飲み物であり、そのために私たちができることはやはり募金、献金であると思います。

すでに様々な機関が窓口となって被災地に募金をすることができます。ホームページをご覧の皆様におかれましても、ぜひ身近な機会をとらえて募金、献金に協力し、少しでも現地の助けになるよう共に祈りましょう。

 
飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団
大阪市中央公会堂特別演奏会〜古典の真髄〜(3/13)に向けて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。 3月13日の日曜日に、大阪・中之島にある、赤煉瓦の壁に青銅の屋根が美しい大阪市中央公会堂で、関西フィル特別演奏会「古典の真髄」を指揮します。

大阪市中央公会堂は1918年に建築された由緒あるコンサートホールで、素晴らしい雰囲気を持っています。大阪の音楽文化を象徴するこのホールで演奏でき、とても嬉しく思います。
中央公会堂だからぜひ聴きに来たい、とおっしゃるお客様も多く、ここで関西フィルが定期的に演奏できることを大事にしていきたいと思います。

プログラムは、ロッシーニの歌劇「アルジェのイタリア女」序曲に続いて、ヴュータンのヴァイオリン協奏曲第4番ニ短調を演奏します。独奏は、当初弾いてくださる予定だった小栗まち絵さんの急病で、高木和弘さんに交代になりました。
この曲は、非常に美しくロマンティックで、独奏ヴァイオリンが超絶技巧を駆使し、オーケストラも雄弁で、私はとても好きな曲です。でもなぜか、残念なことにあまり演奏されないのは、この技術的な難しさのためかもしれません。
この曲をレパートリーにしているヴァイオリニストは少なく、また依頼されてもなかなかすぐには弾けない難曲ですが、同じ大阪出身の高木さんが引き受けてくださいました。初めての共演に大きな期待を持っております。

後半はシューマンの交響曲第3番「ライン」です。シューマンの作品の中では、健康な明るさとエネルギーに溢れており“シューマンの英雄交響曲”ともいわれる交響曲です。
最近、シューマンに対する評価がだんだんに上がってきて、演奏される機会も増えているように思います。私たちも、シューマンへの今回の取り組みに力を入れて臨みます。
皆様、早春の日曜日の午後、水のほとり中之島の大阪市中央公会堂へ、ぜひお越しください。お待ちしております!
 
飯守泰次郎

 

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フレッシュ名曲コンサート〜東京シティ・フィル
「80分間で巡る世界一周音楽の旅」(1/30)を終えて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。先日1月30日は、東京都の瑞穂町にある瑞穂ビューパークスカイホールという初めてのホールで演奏致しました。

瑞穂ビューパークスカイホールの丘から
瑞穂ビューパークスカイホールの丘から

瑞穂町に実際に行く前は、都内でありながら都心からのアクセスがかなり遠いと感じられましたが、車で八王子インターを降り、だんだんホールに近づいて、角を曲がって丘を上って、瑞穂ビューパークスカイホールが見えてくると、急に何だか見たことがあるような気がしました。ザルツブルグと似ているのです!
あの地を思い出して、なつかしく、初めてなのに親しみを感じました。

スカイホールはとても良い響きで演奏しやすく、聴衆の皆様も率直に反応してくださって、演奏しがいがあるコンサートでした。

リハーサルの様子
リハーサルの様子

ピアニストの冨永愛子さんはまだ若く、これから経験とキャリアを積んでいく方ですが、その音楽性に、将来が約束された演奏家であることを感じました。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番という大曲を見事に弾き切り、演奏技術はもちろんのこと、音楽性においても、オーケストラと協奏曲を演奏する器を備えた人です。

前半も世界各国の名曲を80分で巡る、という盛りだくさんのプログラムでしたが、とても良いコンサートになりました。

冨永愛子さんと
冨永愛子さんと

今回も、左肩にサポーターをして指揮しましたが、お客様は温かい反応で、東京シティ・フィルの団員も協力してくださって、感謝しております。おかげさまで少しずつ良くなっていますので、あともう少しの辛抱だと思います。ご心配をおかけしますが、回復に努めてまいります。

 
飯守泰次郎

 

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新日本フィルハーモニー交響楽団
「新・クラシックへの扉」(1/21・22)を終えて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。新日フィルの「新・クラシックへの扉」(1/21・22の2回公演)は、多くの皆様のお力に支えられて、おかげさまで無事に終えることができました。皆様にご報告し、改めて御礼を申し上げたいと思います。

ブラームス交響曲第1番のリハーサル
ブラームス交響曲第1番のリハーサル

今回の怪我のことをお伝えしたとき、新日フィルの方々はまず驚いて、そして大変心配をしてくださいました。左肩が固定されていて全く動かせないので、リハーサルの時には事務局の方々が、まるでマネキン人形の着せ替えのように着替えを手伝ってくださるなど、とてもきめ細かく気を配ってくださいました。

右手だけで指揮をするという特別な状況で、オーケストラの皆さんは協力して大変素晴らしい演奏をしてくださいました。
オーケストラが、私の指揮にいつも以上に特別に集中し、助けようとしてくださっていることがひしひしと伝わってきました。 コンサートマスターの崔文洙さんが大変素晴らしい影響力を発揮して、大活躍してくださいました。ブラームスの交響曲第1番第2楽章のソロはもちろんのこと、コンサートマスターとしてオーケストラをごく自然に統率し、私を確実にサポートしてくださいました。
すべて、ただただ、感謝あるのみです。


トリフォニーホールの楽屋にて
トリフォニーホールの楽屋にて

ハイドンの協奏曲のソリスト、稲垣路子さんは、まだまだお若いトランペット奏者ですが、音楽性、技術、音色の美しさ、という3拍子揃っているうえに、安定しているということが本当に素晴らしいと思いました。一緒に演奏していて本当にやりがいがあり、楽しい共演でした。

今回は本番が2回ある公演だったので、さすがに今はちょっと腕が疲れていますが、この様子であれば、おそらく後遺症も残らず、この先も心配はないと思います。皆様、本当にご心配をおかけしました。

 
飯守泰次郎

 

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新日本フィルハーモニー交響楽団 「新・クラシックへの扉」
〜午後2時の名曲コンサート〜第11回(1/21・22)に向けて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。1月21日の金曜日および22日の土曜日は、新日フィルの名曲コンサート・シリーズ「新・クラシックへの扉」(2回公演)を指揮します。

ベートーヴェンの序曲「コリオラン」、ハイドンのトランペット協奏曲変ホ長調、そしてブラームスの交響曲第1番という非常にスタンダードなプログラムで、新日フィルの本拠地であるすみだトリフォニー・ホールで共演できることを、とても嬉しく思います。

このように知られた名曲ばかりを選んだプログラムには、かえって特別な緊張をおぼえますが、新日フィルとはこれまでも長年、定期的に共演させていただいているので、きっと皆様のご期待に添えることができると思います。
ハイドンのトランペット協奏曲では、稲垣路子さんと初めて共演できることも楽しみにしております。

実は、先般、今年2回目のスキーに行った際、不覚にも転倒して左肩脱臼骨折をしてしまいました。ただ、左肩だったのは不幸中の幸いで、右手だけで指揮をすることはできないことはないので、この新日フィルのコンサートは予定通り出演します。関係各位の皆様に大変ご心配をおかけしましたことを、この場を借りておわび申し上げます。 私は今まで多少の捻挫はしたことがありますが、この年になって、しかもスキーで初めて骨折を経験するとは思いませんでした。
今は、日常生活をしている分には痛みもないので、むやみに動きすぎないで指揮をするよい機会を与えられたと考え、頑張りたいと思います。

 
飯守泰次郎

 

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ホームページをご覧の皆様へ
2011年を迎えて〜新年のご挨拶〜

−飯守泰次郎−

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八ヶ岳で初すべり
新春の八ヶ岳で八ヶ岳音楽祭合唱団の仲間と初すべりを楽しむ
 

皆様、明けましておめでとうございます。今年も皆様にとって幸せな年となりますよう、心からお祈り申し上げます。 私も、お正月に八ヶ岳でスキーをして、たまっていた運動不足をいくらか解消いたしました。

終演後の年越しパーティー〜乾杯の歌
終演後の年越しパーティー〜「乾杯の歌」
大みそかには、八ヶ岳の仲間と共に、彼らの演奏する「こうもり」ハイライトを私は聴衆として楽しませていただきました。
R.シュトラウス協会の田辺秀樹氏もご一緒で、彼の演奏するオペレッタのピアノは絶品でした。

科学者でワーグナー協会員でもあられる山崎敏光先生ご夫妻とも久しぶりにお会いできて嬉しく思いました。
ご子息の山崎太郎先生(写真左から3人目)が「こうもり」のアイゼンシュタインを熱唱され、さらにその他のオペレッタも色々と歌われたのには驚きました。太郎先生は学者かつワーグナーの専門家で非の打ちどころのない知的な方だとばかり思っていましたが、 全く別の面を目にして、踊り歌うテンペラメントの持ち主であることを初めて知りました。
お正月の富士山〜高速道路から
お正月の富士山〜高速道路から

やはり両方の面でバランスを取っていらっしゃるのでしょう。
本当に楽しいコンサートで大みそかを過ごし、新年を迎えることができました。

八ヶ岳から東京に戻る日に、素晴らしい富士山が見えて、これはホームページをご覧の皆様へのご挨拶にふさわしい写真が撮れたのではないかと思い、お見せしたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願いします。
 
飯守泰次郎

 
 
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