メッセージ:2013年1月〜3月  

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びわ湖ホール 子どものための管弦楽教室 第9回
オーケストラとあそんでみよう!(2013/3/24)によせて
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。明日3/24は、びわ湖ホールで「子どものための管弦楽教室 第9回〜オーケストラと遊んでみよう」の本番です。

私は、子供たちのために演奏することがとても大事である、と心に銘じています。実際のところ、私自身とても楽しい経験をしており、子供のために演奏するのがとても好きなので、時には厳しいスケジュールであっても、できるだけ子供たちのためのコンサートをしたい、といつも思っています。

このびわ湖ホールの「子供のための管弦楽教室」は、とても自由な雰囲気をもった積極的な企画で、私もこれまでも何度か指揮しました。いつも「ここに来てよかった」と心から思います。
特に、びわ湖ホールで出会う子供たちは、楽しく音楽を聴く、自由な雰囲気に溢れています。しかも、美しい自然に恵まれた環境にあるこのびわ湖ホールで演奏できることは、私にとっても大きな喜びです。

今回のプログラムは、アンダーソンやヨハン・シュトラウス、あるいはピアソン作曲の楽しいリズム遊び「ヒップス・リップスII」、さらにワーグナーの「ローエングリン」第3幕への前奏曲、「ワルキューレの騎行」など、小編成から大編成に至る、とてもバラエティに富んだプログラムです。
きっと明日も楽しいコンサートになると思います。びわ湖ホールでお待ちしています。

 
飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィル オーケストラの日2013 スペシャルコンサート(3/24)に向けて
ティアラこうとうジュニアオーケストラ
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。大変遅くなりましたが、さる2月2日に、ティアラこうとうジュニアオーケストラで練習の指導をした様子について、お伝えします。

「気配を感じて!みんなで呼吸を合わせて!」
「気配を感じて!みんなで呼吸を合わせて!」

ティアラこうとうジュニアオーケストラは、東京シティ・フィルと芸術提携を結んでいる江東区のティアラこうとうで2006年からスタートした、小学生から高校生までのオーケストラです。

東京シティ・フィルのアソシエイト・コンダクターである海老原光さんが指揮・監督を務めています。
私も東京シティ・フィルの常任指揮者時代から、このジュニアオーケストラのスーパーバイザーという立場で、ほぼ年に2回というペースで練習の指導をしてきており、毎回楽しみにしています。

今回は、さる2月2日、J.シュトラウスのポルカ「百発百中」、ビゼー「アルルの女」から“パストラーレ”、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」から“結婚行進曲”の3曲の練習を指揮しました。 これらは、明後日3月24日(日)開催の「東京シティ・フィル オーケストラの日2013 スペシャルコンサート」で、このジュニアオーケストラが演奏する曲目です。

「弓をいっぱい使って!」 「弓をいっぱい使って!」

半年ぶりに一緒に練習ができて、オーケストラ全体の人数が増え、水準もとても高くなっていることに驚きました。

練習した3曲はそれぞれ、全く傾向の違う音楽ですが、ジュニアのみなさんがその違いをよく表現し、しかも緊張せずに楽しそうに演奏していて、とても嬉しく思いました。

これはおそらく、各パートで指導にあたっている東京シティ・フィルのベテラン楽員である先生方が、長年の経験を活かして献身的に子供の演奏家たちを育ててくださっている成果であると思います。
そして、海老原光さんが、とてもうまく子供たちの気持ちを理解して導いていることが感じられます。

明後日の本番を私自身は聴けないことが残念でなりませんが、きっと素晴らしいコンサートになることと期待し、応援しています。

 
飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団 第245回定期(2013/3/15)
〜ブルックナー・ツィクルス第3夜〜によせて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。関西フィルと私は、桂冠名誉指揮者となった一昨年から開始した特別なプロジェクトとして、ブルックナーの9つの交響曲全曲と第0番ニ短調の計10曲を、1年に1曲ずつ順番に演奏しています。

10年がかりの無謀なプロジェクトではありますが、関西フィルとともに重ねてきたドイツ・ロマン派を中心とする音楽の経験と表現力は、ブルックナーの交響曲に取り組むうえで大きく活かせるものであると思います。おかげさまで第1番(2011年)、第2番(2012年)とも、非常に良いコンサートができ、高い評価をいただくことができました。

今年は第3夜として、3/15に第3番を演奏します。この交響曲は、ブルックナーがワーグナーに献呈した作品であり、「ワーグナー」というタイトルで呼ばれています。
ブルックナーはワーグナーに傾倒し、深く敬愛していました。彼はワーグナーの響き、楽器の使い方、オーケストレーションから学び、自分の交響曲で用いています。さらにこの第3番の作曲当時は、ちょうどワーグナー畢生の四部作『ニーベルングの指環』が初演されていた頃でした。ブルックナーは『ワルキューレ』や『トリスタンとイゾルデ』など、自分が聴いて特に印象に残ったワーグナーの楽劇のモティーフを、この交響曲の中で引用しています。

関西フィル練習場オークホールでのリハーサル
関西フィル練習場オークホールでのリハーサル

ブルックナーは、これほど偉大な一連の交響曲を残していながら、大作曲家としては非常に稀なことに、自作に絶対的な自信というものを持っていませんでした。批判を受けるとすぐ書き直してしまいました。
この第3番も、長すぎる、あからさまにワーグナーの引用がある、といった批判を受けて改訂され、結局、コンパクトになり聴きやすくなった第3稿が普及しています。関西フィルで以前に演奏したときも、この第3稿を使いました。

しかし今回私は、あえて第1稿をとりあげます。たしかに長すぎるかもしれません。音楽の内容も、はっきりとまとまっていない、模索のような部分が残っています。しかし、それだけにブルックナーの人柄がよく表れているように思われるのです。正直で、従順で、敬虔で、自信のない彼の性格は、ついに終生変わることがありませんでした。この第3番の第1稿には、そういうブルックナーらしさが色濃く感じられるのです。
めったに聴く機会のないバージョンであるという意味でも、どうぞご期待ください。

 
飯守泰次郎

 

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2013都民芸術フェスティバル オーケストラ・シリーズNo.44
「東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団」(2013/2/21)によせて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。2/21は、「都民芸術フェスティバル オーケストラ・シリーズ」で、東京シティ・フィルと、ベートーヴェンの「運命」、前橋汀子さんをお迎えしてブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、ムソルグスキー「禿山の一夜」を演奏いたします。とても内容豊かなプログラムです。

ベートーヴェンは、東京シティ・フィルと私が長年取り組んできた作曲家です。13年前はベーレンライター版を使った全交響曲ツィクルスを行い、このときの交響曲全集のCDはその後再発売もされました。2年前にはマルケヴィチ版による全交響曲ツィクルスで、こちらも全集CDを出しました。この2度のツィクルスが、オーケストラにとっても私にとっても、非常に重要な、豊かな経験になっています。

これらの経験をふまえて、今回は、どちらかといえばマルケヴィチ版の方向性に近い演奏になると思います。やはり、古典派からロマン派へ大きく流れを変えた改革者たるベートーヴェン像というものを、私は強調したいと考えております。

「運命」のような名曲は、演奏回数が大変多く、楽員もすっかり暗譜で弾けるほどであるだけに、よほど気を付けないと、ただの慣れで演奏することになってしまいます。本当に自分の信じる内容を表現するには、非常に注意深く意識することが必要であり、私もオーケストラも、その点を特に慎重に取り組んでいるところです。

ブルッフのコンチェルトでは、大変久し振りに前橋汀子さんとご一緒できることをとても嬉しく思います。彼女とは桐朋学園時代、お互いにまだ学生だった頃から、試験のピアノ伴奏、あるいはコンサートでもよく伴奏をしてきました。長いお付き合いなので、リハーサルでもとても理解しやすく感じられます。
長年、輝かしいソリストとして活動を積み重ねている前橋さんは、ベテランの極致といえる存在で、しかも新鮮さを全く失っていません。本番も、息が合った演奏ができることを楽しみにしています。

さて、ベートーヴェンの「運命」は古典派、ブルッフはロマン派、そしてコンサートの最初に演奏する「禿山の一夜」は、一時代進んで国民楽派の音楽です。
しかしムソルグスキーの才能は驚くべきもので、「禿山の一夜」におけるオーケストラのサウンドは、もう近代的、あるいはモダンでさえあり、まさに時代を超えた作品であると思います。恐怖や、グロテスクな何か、そして安らぎが同居しています。ムソルグスキーの才能が、たった10分ほどのこの曲に見事に凝縮されているのです。

この都民芸術フェスティバルは、音楽のみならず、幅広く舞台芸術の観客の拡大をはかるために、東京都および東京都歴史文化財団によって昭和43年から毎年行われている催しです。
「オーケストラ・シリーズ」は、名曲をお楽しみいただくプログラムを在京各楽団が演奏するもので、私もこれまで10回以上出演いたしました。
フォンテックから発売されている東京シティ・フィルとのドヴォルジャーク交響曲第8番のCDやシューマンの交響曲第4番も、この都民芸術フェスティバルのコンサートからのライヴ録音です。

東京芸術劇場は昨秋リニューアル・オープンして、ロビーの雰囲気なども一新されています。ぜひ今夜は池袋でお会いしましょう!

 
飯守泰次郎

 

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ホームページをご覧の皆様へ
岡山シンフォニーホール2013ニューイヤーコンサート〜
第41回岡山フィルハーモニック管弦楽団定期演奏会(2013/1/13)によせて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。新年のご挨拶が遅れてしまいましたが、この一年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう願っております。そして、皆様とホールでお目にかかれることを楽しみにしております。

岡山シンフォニーホールでのリハーサル
岡山シンフォニーホールでのリハーサル

さっそくですが本日、今年最初のコンサート「岡山フィルハーモニック管弦楽団設立20周年記念 ニューイヤーコンサート」を指揮いたします。
岡山フィルハーモニック管弦楽団とは、1996年に1度、そして昨年、今年と3回目の共演になります。昨年からこの1年の間に、このオーケストラがまた素晴らしい進歩を遂げていることに驚いています。

プログラムは、ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲 、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、そして休憩後はウィーンのニュー・イヤー・コンサートと同じJ.シュトラウスのワルツ、ポルカなどをお届けする、という大変盛り沢山の内容です。

このようなプログラムは、オーケストラに非常に多方面の実力が必要になります。岡山フィルハーモニックの皆さんが、異なる内容の曲をそれぞれとてもよく表現してくださっていて、大変嬉しく思います。

松本和将さんと 松本和将さんと

ラフマニノフのソリスト、松本和将さんとご一緒するのもやはり3度目です。とても若々しく、力強い演奏を聴かせてくださるので、明日の共演が非常に楽しみです。

岡山シンフォニーホールは、音響的にも、また視覚的にも素晴らしいホールで、毎回ここに来るたびにやりがいを感じます。

経済環境の厳しい中、このように立派にオーケストラ設立20周年を迎えることができるのは、やはりしっかりとした運営によって支えられているからである、ということを実感いたします。これからも、充実した活動を積み重ねていかれることを期待しています。お近くの皆様、ぜひ岡山シンフォニーホールでお会いしましょう。

 
飯守泰次郎

 
 
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