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飯守泰次郎です。きょう9/16はいよいよ「ワーグナー生誕200年記念コンサート」(日本ワーグナー協会主催)です。台風に直撃を受けておりますが、開演時間までには何とかお客様がサントリーホールにいらしていただける状況になることを願うばかりです。 このコンサートでは、“『ニーベルングの指環』名場面集”と題し、前半に『神々の黄昏』から“ジークフリートの葬送”と“ブリュンヒルデの自己犠牲”、後半は『ワルキューレ』第1幕全曲を演奏会形式で上演いたします。 きょうの本番に向けて、私は、歌手とは5月から、オーケストラとは先月からリハーサルをしてまいりました。 若手の実力者を揃えた4人の歌手の方々とは、それぞれの役柄が背負っているこれまでのいきさつや立場もふまえ、場面ごとに、どのような歌い方あるいはドイツ語の発音が求められているか、ともに考え、稽古を重ねてきました。 本番では、自分の意思で自分の役柄を存分に歌い、なおかつ、支えてくれるオーケストラの響きをよく聴き、オーケストラに対して歌手からも発信し、ともにドラマを創ることを期待しています。 「ワーグナー祝祭オーケストラ」は、私とお付き合いの長いアマチュアの3団体、新交響楽団、ザ・シンフォニカ、東京アカデミッシェカペレのメンバーで構成されています。 楽譜を単に音にする、という技術的な面は、すでに十分にできている皆さんなので、この『ニーベルングの指環』という作品のなかにどれだけ自分自身を投入できるか、自分の感覚をつねに総動員して、いまどういう音が求められているかを音を出す前に察知できるか、何よりもこの大作を演奏するという覚悟をもっているか、というような精神的な面が問われる段階です。 物語がどういう展開をしているのか、登場人物がいまどんな心理状態なのか、といった好奇心こそが求められているのです。 これまでのリハーサルでは、示導動機の重要性について、おそらく皆さんが辟易しているのではないかと思うくらい強調し、繰り返し練習してきました。 示導動機こそは、ワーグナーがこの楽劇に込めた観念的、精神的な内容を集約したものです。例えば「剣の動機」を例にとればわかりやすいのですが、この動機がたとえ短調で提示されるときも、たとえPPであっても、つねに聴衆に対して精神的に高らかに宣言する、という要素があるのです。演奏者は、これが示導動機であるということをよくよくわかって、その最初の音から聴衆に届けるという強い意志を持っていることが必要です。 3つの団体が一体となって、「ワーグナー祝祭」の名にふさわしい1つのオーケストラとなることを期待しています。 台風によるさまざまな影響が心配されますが、一人でも多くのお客様がサントリーホールにお越しになれますことを、心から願っています。当日券の販売もあるとのことです。どうか、お気をつけてお越しください。サントリーホールでお待ちしております。 |
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東京シティ・フィルと東京都江東区は、1994年から芸術提携を結んでいます。「ティアラこうとう定期」は、よく知られている名曲を、ティアラこうとうの素晴らしい響きでお楽しみいただくシリーズです。同時に、できるだけ日本人作品を組み入れたプログラムで、ということも当初から柱となっていました。 今回は、佐藤眞さんのカンタータ「土の歌」(管弦楽版)と、ベートーヴェンの「英雄」という、大変ユニークなプログラムです。 今回のティアラこうとう定期では、私とシティ・フィル・コーアがぜひ共演したい、ということと、日本人による日本語の作品を演奏したい、ということで、非常に親しまれている名曲で合唱とオーケストラが一緒に演奏でき、深く考えさせられる哲学的な内容をもつ、この「土の歌」を選びました。
プログラムの後半は、西洋の作品の名曲ということで、「英雄」を演奏いたします。大変意外に思われる組み合わせですが、これらの2つの作品は、表現する内容の濃さ、激しさ、重さ、あるいは哲学性という点で、意外に共通性があるのです。 |
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先日私が指導したのは、明日9月1日に本番を迎える「ティアラこうとうジュニアオーケストラ第8回定期演奏会」のためのプログラムの一部です。 |
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今回のテーマは「アツアツクラシック」でした。今日の東京は、またひときわ厳しい残暑が戻ってきているというのに、この中でさらに“熱い”曲を聴こうというのですから、始まる前は、いったいどんなリクエスト曲が集まるのだろうと思いました。 番組の前半では、ボロディンの交響曲第2番の第4楽章や、メンデルスゾーン:交響曲第4番の第1楽章など、北の作曲家が南のイタリアやスペインのさんさんたる太陽に憧れ、インスピレーションを得て書かれた作品が多く寄せられたことが印象的でした。 番組の進行をしてくださったアナウンサーの岩槻里子さんが、私にも1曲リクエスト曲を出すようにとおっしゃって、ワーグナーの歌劇「さまよえるオランダ人」序曲を選びました。ワーグナーは北のドイツの作曲家で、この歌劇の舞台も北国です。でもこの物語のヒロイン、ゼンタが、嵐と運命と闘い続ける“さまよえるオランダ人”に寄せる愛情は、非常に“熱い”のです。序曲は、打ち寄せる荒波、帆船が帆を膨らませて斜めになって走っていく様子など、自然描写の素晴らしい曲です。そして美しい”救済の動機”によって終わります。 リクエストされた“熱い”曲の多くが、作曲家の生まれた祖国や民族のアイデンティティに立脚した、誇りに満ちた作品でした。 全国からはがき、FAX、インターネットでたくさんの“熱い”リクエスト曲をいただき、私にとっても大変興味深い4時間となりました。リクエストを送ってくださった皆様、一緒に聴いてくださった皆様、どうもありがとうございました。 |
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飯守泰次郎です。 明日は、ティアラこうとうでの「真夏の第九」です。 この「真夏の第九」も、今年で4回目になります。毎年、真夏のいちばん暑い時期にということは覚悟ができているつもりでしたが、さすがに体にこたえるこの今年の暑さです。団員一同、負けずに頑張っております。 この「ティアラこうとう真夏の第九合唱団」では、特に発声に重点をおいています。第九の合唱は非常に難しいので、力任せに歌って声を荒らしてしまいがちですが、この合唱団では、「歓喜の歌」にふさわしい、喜びに満ちた声を出すこと、良い発声で楽しく歌うことを目指しています。 ティアラこうとうの美しい響きと空間、そして合唱団の規模に合った表現ということを考えて、「真夏の第九」ではベーレンライター版の楽譜を使用しています。二十世紀の巨匠たちのような重々しい第九ではなく、作曲当時の表現を考慮した古楽器的な奏法をとりいれた方向で演奏します。 第九については、終楽章の「歓喜」ということが非常に強調されています。たしかに交響曲の終楽章に独唱と合唱を加えたことは、ベートーヴェンの時代には前代未聞のことであり、その内容も、また規模の大きさも、かつてないものでした。しかし、第1〜3楽章それぞれの内容も、もう少し注目されてもよいのではないかと思います。 日本で第九を年末に演奏することが定着していることは素晴らしいことです。ただ、年中行事のようなかたちとは離れて、あえてこの真夏に取り組むことで、純粋にベートーヴェンのこの偉大な作品を追及することに新鮮な気持ちで集中することができます。お客様にも、新鮮な気持ちで第九を聴くことができる、と大変好評をいただいています。明日は第九、1曲のみのプログラムです。ティアラこうとうでお待ちしています。 |
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このフェスティバルは、「おおた芸術学校」が中心となり、数多くのボランティアに支えられて運営されています。 Bオーケストラでは、どちらかといえばヴェルディの「運命の力」序曲のほうが、このオーケストラに集まっているみなさんの気質に合っているのか、ヴェルディらしい感じが出てきました。
それは、ここに、音楽の魂のようなものが立ち込めているからだと思います。 そして、芸術というのは、とてもお金がかかる、時間がかかる、忍耐力のいるものです。それがいかに大変なことであるか、清水市長はとてもよくわかってくださって、市が非常に大きな力を注いでくださっています。日本で、これほど情熱的に芸術を支えてくださる政治家は、非常に稀であると私は思います。太田のこの充実ぶりを見て、他の自治体でも、太田のような町づくりをしたいというところが出てきているときいています。私もみなさんと活動できることを非常にうれしく思っています。 一人でよくさらって、一緒に練習して、そして競争もあるでしょう。ただし、競争一辺倒ではありません。うまい人もいる、そうでない人もいる。言われたことがすぐできる人もいるし、なかなかできない人もいる。どの人にも良さがあります。芸術においても、かけがえのないその人なりの良さというものがあります。一番大事なことは、楽しい、ということです。そのためにも、時間をかけて、練習しましょう。そうすれば必ず、芸術が助けてくれます。このお盆の時期に、ここ太田に来ることを私も楽しみにしていて、毎年こうして来ています。それでは、一緒に頑張りましょう!
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昨日、今年の新制作の『ニーベルングの指環』四部作が、『神々の黄昏』をもって終了しました。 *** 飯守泰次郎 バイロイト音楽祭参加記録 1966 1967 1968〜70※ 1971〜音楽助手に正式に就任 1972 1973 1974 1975※ 1976〜1980 1981〜82 1983 1984〜88※ 1989 1990〜※ ※1968〜70、75、84〜88、90年以降については調査中(音楽助手、不定期のアシスタントなどを務める)
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素晴らしいお天気と暑さのなか、オープニングの『さまよえるオランダ人』を聴きました。聴衆として初めて聴くバイロイトでした。ピットに蓋があることは既知のとおりですが、思いのほかミュートがかかるような感じを受けました。座席の場所などにもよるのでしょう。
祝祭劇場の前の芝生で、私と一緒に写っている、小ぶりでカラフルなワーグナーのオブジェは、生誕200年の音楽祭に合わせてバイロイトの町中に合計で500体くらい展示されているようで、ドイツのアーティスト、オットマー・へール氏の作品だそうです。 8月の初めまで、生誕200年を記念する新演出の『ニーベルングの指環』四部作を含め、合計7公演を聴きます。 |
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今回のオーケストラは「ワーグナー祝祭オーケストラ」という名前で、私が長くお付き合いしているアマチュアの3団体、新交響楽団、ザ・シンフォニカ、東京アカデミッシェカペレのメンバーによる、特別編成です。
それでも、この暑い中を、オーケストラのメンバーの大半、そしてこの記念コンサートを主催する日本ワーグナー協会のたくさんの協会員の方々がいらしてくださって、とてもびっくりしました。会場を埋め尽くす皆さんの熱意に押されて、私のほうも熱が入ってしまいましたが、内容を絞りに絞った結果、何とか時間内に終えることができました。 内外の第一級の立派なオーケストラであっても、演奏するメンバーが示導動機をよく知らないでいると、演奏技術という点においては素晴らしいのに、何か物足りない演奏になることがあります。いっぽう、メンバーが一つ一つの示導動機を理解しているオーケストラでは、表現はまったく違ったものになり、聴衆に対する説得力も各段に増すのです。 聴く側も、示導動機に目を通しておけば、物語の進行がより理解でき、長時間の演奏もガマン比べではなくなって、より深くワーグナーの音楽を楽しむことができます。もちろん、聴衆がすべての示導動機を聴き取ろうとする必要はありません。それぞれに心に伝わってくるものを聴いていただければと思います。 今回のレクチャーを聴いたメンバーによるオーケストラも、いよいよ本格的にリハーサルが始まっています。皆様、ぜひ9/16の本番にご期待ください。 |
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飯守泰次郎です。 7/12は東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期で「シベリウスの祭典」というタイトルのコンサートです。 東フィルとは昔から長いおつきあいで、とても信頼できるオーケストラです。シベリウスの交響曲第2番、ヴァイオリン協奏曲、そして「フィンランディア」という素晴らしいプログラムで共演できることを、大変嬉しく思います。 久しぶりに堀米ゆず子さんと共演できることも、非常に楽しみです。 「フィンランディア」の合唱付はとても面白く、きわめて優秀な合唱団である新国立劇場合唱団は、最初の言葉をひとこと聞いただけでハッとするほどの素晴らしさです。 今回のプログラムについての私の思いは、すでに東京フィルのホームページ「【7月定期演奏会】次期新国立劇場音楽監督 飯守が語るシベリウス」に詳しく掲載されておりますので、ぜひご覧ください。 オペラシティで、皆様にお会いできることを願っております。 |
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改めて、このような賞をいただくことは想像だにしていませんでした。とにかく身に余る光栄であり、ただただ、ここまで、いつも協力してくださった共演者の皆様方に感謝するのみです。 授賞式の後、宮中で開催された、行き届いたお茶の会にも、大変晴れやかな印象を受け、深く感謝しております。
授賞式当日配布された冊子に、下記のとおり記載がされておりましたことを、ホームページをご覧の皆様にご報告いたします。 「日本芸術院賞
この「平成二十四年度恩賜賞・日本芸術院賞受賞作品展」(日本芸術院会館展示室)は、7月15日(月)まで、毎日午前10時から午後5時、公開されておりますので、もしご興味があればぜひご覧いただければと思います。 |
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授賞理由は「永年にわたる指揮活動の功績に対し」と伺い、ここまで数えきれない多くの方々に支えていただいてきたことを実感し、音楽の力の素晴らしさを思うばかりです。指揮者というものは一人では音が出せません。オーケストラ、ソリスト、コーラス、スタッフ、そして、ご支援くださる皆様、応援してくださる皆様、すべての皆様に心から感謝を申し上げます。 今年はこのあと、東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期(7/12、シベリウス・プログラム)、東京シティ・フィルのティアラこうとう定期(9/6、佐藤眞:「土の歌」とベートーヴェン:「英雄」)、ワーグナー協会主催のワーグナー生誕200年記念コンサート(9/16、サントリーホール)、佼成ウィンドオーケストラ定期(10/18、東京芸術劇場、ワーグナー・プログラム)、日本フィルハーモニー交響楽団の杉並公会堂シリーズ(11/10、ワーグナー・プログラム)、日生劇場開場50周年記念公演「フィデリオ」(11/23、24)などが続きます。同時に、来年(2014年)秋の、新国立劇場オペラ芸術監督としての新シーズン幕開けに向けた準備にもすでに忙殺されております。 西洋音楽が人間に与える豊かさを日本の文化の中で生かしていくことこそ、私の変わらぬ務めであり喜びです。これからもひたすらに、これまでのお返しをしていく所存です。
1.『飯守泰次郎 2009.3.8』 2. サントリー音楽賞受賞記念コンサート(2002年3月/サントリーホール) 3. ワーグナー:歌劇『ローエングリン』(2004年9月/東京文化会館) 4. ワーグナー:舞台神聖祝典劇『パルジファル』(2012年9月/東京文化会館) 5. ワーグナー歌劇『さまよえるオランダ人』(1972年2月/バルセロナ リセウ大劇場〔スペイン〕) 6. 指揮者用総譜〜 7. ウィーン音楽祭「ウィーン交響楽団演奏会」 8. ハンブルク国立歌劇場〔ドイツ〕1974/75 シーズン・プログラム 9. バイロイト音楽祭〔ドイツ〕1987プログラム 10. ワーグナー:楽劇『ワルキューレ』 11. ワーグナー:楽劇『ワルキューレ』 12. ワーグナー:舞台神聖祝典劇『パルジファル』 13. ワーグナー:舞台神聖祝典劇『パルジファル』 14. 飯守泰次郎指揮/東京シティ・フィル「ベートーヴェン:交響曲全集」 16. 飯守泰次郎指揮/関西フィル「ブラームス:交響曲全集」 17. 飯守泰次郎指揮/東京シティ・フィル「チャイコフスキー:交響曲全集」 18. 飯守泰次郎指揮/東京都交響楽団「ワーグナーの森へ」 19. 飯守泰次郎指揮/東京都交響楽団「ワーグナーの森へ」2 20. 指揮棒 |
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