メッセージ:2016年1月〜3月  

タイトル枠上
タイトル枠左

関西フィルハーモニー管弦楽団第272回定期演奏会〜
ブルックナー交響曲全曲ツィクルス第6回(2016/3/5)に向けて

−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

アレクサンドル・タロー氏とのリハーサル
アレクサンドル・タロー氏とのリハーサル

飯守泰次郎です。 明日3/5は、関西フィルとのブルックナー交響曲全曲ツィクルスの第6回です。
このツィクルスは2011年から、1年に1曲のペースで十年がかりで進めており、今年は交響曲第6番イ長調です。

プログラムの前半は、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番ハ長調で、ソリストにアレクサンドル・タローさんをお迎えします。
私は、この協奏曲を何回となく指揮してまいりましたが、今回ほど繊細な演奏は初めてだと思います。カデンツァもタローさんの自作で、もともと協奏曲のカデンツァというのは独奏者が自由に弾くのが本来の姿です。
タローさんの音楽を聴き、一緒に演奏していると、モーツァルトにも限りなくいろいろな可能性があることを、改めて思います。

ブルックナーの交響曲第6番は演奏される機会が意外に少なく、これは私の勝手な想像ですが、冒頭部分に理由があるのではないかと思います。つまり、他の彼の交響曲にみられる、地の底からトレモロが立ちのぼるような神秘的な「ブルックナー開始」で始まらないことが、第6番がどうも敬遠されてしまう理由なのかもしれません。

ブルックナー6番のリハーサル
ブルックナー6番のリハーサル

しかし、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンのオクターヴの澄んだ高音によるリズムで始まる、第6番の冒頭部分は、天真爛漫でとても素晴らしいのです。もっともっと演奏されてよい作品だと思っており、明日はその真価をお伝えする演奏ができるよう力を尽くしたいと思います。

関西フィルとは、ブルックナー・ツィクルスに取り組み始める前にも3番、4番、7番を演奏しており、オーケストラがブルックナーに対して経験豊かになるにつれて、好奇心がより強くなっていることを感じます。
今回も、練習を重ねる中で演奏がどんどん変化し、立派な音になっていくことを実感しています。非常に新鮮な気持ちで第6番に取り組んでいることもとても素晴らしく、明日の本番が楽しみです。
皆様のお越しを、ザ・シンフォニーホールでお待ちしております。

 
飯守泰次郎

 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
新国立劇場2015/16シーズン
新制作『イエヌーファ』(2016/2/28・3/2・5・8・11)によせて

−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

〔左から〕トマーシュ・ドゥプ駐日チェコ大使、指揮者のトマーシュ・ハヌス氏、高嶺エヴァ チェコセンター東京支局長と(2/28)
〔左から〕トマーシュ・ドゥプ駐日チェコ大使、指揮者のトマーシュ・ハヌス氏、高嶺エヴァ チェコセンター東京支局長と
(2/28)(写真提供:新国立劇場)

飯守泰次郎です。 昨日2/28に、新国立劇場の新制作『イエヌーファ』が初日を迎えました。
右の写真は初日の終演後、この公演の指揮者トーマシュ・ハヌス氏の楽屋に、トマーシュ・ドゥプ駐日チェコ大使、高嶺エヴァチェコセンター東京支局長がいらっしゃり、歓談したときのものです。

今回の上演は、クリストフ・ロイ氏演出によるベルリン・ドイツ・オペラのプロダクションで、指揮はヤナーチェクが一生を過ごした町ブルノで学んだハヌス氏、オーケストラは東京交響楽団です。主要歌手陣は、ベルリンのこのプロダクションで歌ったミヒャエラ・カウネ、ヴィル・ハルトマン、ジェニファー・ラーモア、ハンナ・シュヴァルツ、といったオリジナル・キャストの各氏をほぼそのまま招聘することに成功しました。

ヤナーチェク作品を新国立劇場で上演したい、という希望を、私はずっと持っておりました。ヤナーチェクはチェコの作曲家で、世界の主要歌劇場で必ず取り上げられています。
中でも『イエヌーファ』は代表作で、大変素晴らしいオペラでありながら、日本ではなかなか上演を観るチャンスがなく、新国が是非上演すべきだと考えました。
このたび、大変素晴らしいこのベルリン・ドイツ・オペラのプロダクションとの出会いがあり、夢が叶って上演できることを心から嬉しく思います。

白熱する稽古場を激励に訪れて(2/7)トマーシュ・ハヌス氏(指揮)、コステルニチカ役のジェニファー・ラーモア氏、ラツァ役のヴィル・ハルトマン氏、ブリヤ家の女主人役のハンナ・シュヴァルツ氏と
白熱する稽古場を激励に訪れて(2/7撮影) 〔私の右から〕トマーシュ・ハヌス氏、コステルニチカ役のジェニファー・ラーモア氏、ラツァ役のヴィル・ハルトマン氏、ブリヤ家の女主人役のハンナ・シュヴァルツ氏と
( 写真提供:新国立劇場)

ヤナーチェクの音楽は、非常にモダンでありながら民族的です。ヤナーチェクは、ワーグナーと同じように台本を自分で書いた作曲家であり、チェコ語の言葉と音楽が素晴らしく密着しているのです。その特別な音楽の魅力は、チェコ語がわからなくても存分に味わっていただけます。
『イエヌーファ』は、地方の旧社会が舞台で、古いしきたりになじめなかった人たちの悲劇的な物語であり、日本人である私たちも自然に共感できる内容をもった素晴らしいオペラです。

このあと『イエヌーファ』は3/2(水)、5(土)、8(火)、11(金)の計4公演、まだチケットがございます。アカデミックプラン、アカデミック39(26〜39歳対象)、当日学生割引などの割引サーヴィスも用意されております。

オペラ芸術監督2シーズン目の新制作演目として、皆様にぜひご覧いただきたい公演です。新国立劇場へのご来場を心よりお待ちしております。

 
飯守泰次郎

新国立劇場『イエヌーファ』特設ページはこちらから


 

タイトル枠上
タイトル枠左

ホームページをご覧の皆様へ
2016年を迎えて新年のご挨拶
−飯守泰次郎−

タイトル枠右

タイトル枠下
 

冬景色の札幌Kitaraホール遠景
冬景色の札幌Kitaraホール遠景
飯守泰次郎です。ホームページをご覧くださっている皆様、明けましておめでとうございます。

2016年の最初の本番は、大阪のオリックス劇場の「ニューイヤー・オペラ・ガラ」(1/2)でした。
ソプラノの並河寿美さん、佐藤亜希子さん、テノールの藤田卓也さん、バリトンの田中勉さん、そしてバリトンの晴雅彦さんの司会、という華やかな顔ぶれで、新年の飾りつけの見事な舞台でイタリア・オペラとワーグナーを演奏しました。
関西フィルハーモニー合唱団、関西フィルとの共演で新年を祝うことができて嬉しく思います。

本日1/9は、札幌コンサートホールKitaraのニューイヤーコンサートです。

私は冬の雪の札幌が大好きです。満州生まれなので、雪や氷やつららを見るのが好きで、寒さが厳しくなるとかえって元気になります。

Kitaraホールは何度来ても大変美しい響きで、しかも輝かしい華やかな雰囲気のあるホールです。北海道出身の中嶋彰子さんは大変素晴らしいソプラノで、札幌交響楽団もとてもよくやってくださっています。本番がとても楽しみです。

2016 年が皆様にとって素晴らしい年になりますよう、お祈り申し上げます。
また今年も新国立劇場で、各地のコンサートホールで、皆様をお待ちしております。
 

飯守泰次郎

 
 
− 当サイト掲載情報の無断転載を禁じます −
(c) Taijiro Iimori All Rights Reserved.