メッセージ:2018年1月〜  

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東京交響楽団第111回新潟定期演奏会(2018/12/2)によせて

−飯守泰次郎−

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りゅーとぴあの舞台を埋めつくすワーグナーの大編成オーケストラ
りゅーとぴあの舞台を埋めつくすワーグナーの大編成オーケストラ

飯守泰次郎です。12/2は東京交響楽団の新潟定期演奏会です。
プログラムの前半はシューマンのチェロ協奏曲で、ウェンシン・ヤン氏と初めて共演します。フレキシブルで豊かな音楽性と余裕をそなえたチェリストで、オーケストラとのアンサンブルを心から楽しんでいることが感じられ、この名曲をご一緒できることを私も嬉しく思います。

そして後半はワーグナーの後期作品である楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲、中期の楽劇『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と“愛の死”、初期の歌劇『タンホイザー』序曲(ドレスデン版)というプログラムです。
東京交響楽団とは今年の2月にミューザ川崎「名曲全集」でもワーグナーの『ニーベルングの指環』から管弦楽の名曲を取り上げたほか、5〜6月には新国立劇場『フィデリオ』のピットにも一緒に入り、素晴らしい演奏で私を支えてくださいました。 今回は『指環』以外のワーグナーの作品を組み合わせてお届けします。

素晴らしいチェリストのウェンシン・ヤン氏と本番前の楽屋で
素晴らしいチェリストのウェンシン・ヤン氏と本番前の楽屋で

ワーグナーの作品の中でも特に、やはり『トリスタンとイゾルデ』はひときわ特別な作品で、人間の内面そのものを扱っている音楽であり、西洋音楽のみならず文学、絵画など当時のすべての芸術分野に巨大な影響を与えました。ワーグナーの楽劇においては、「示導動機」をオーケストラの奏者が良く理解して演奏することが不可欠です。さまざまな愛の局面を象徴する『トリスタンとイゾルデ』の数々のライトモティーフを、単なるテーマではなく理念として、意志を持って演奏し、お客様に音楽の内容をお伝えしたい、と願ってリハーサルをしております。

今回の会場「りゅーとぴあ」(新潟市民芸術文化会館)で演奏するのは私は初めてで、信濃川のほとりの大変美しいホールです。ご来場を心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団第323回定期演奏会によせて
−飯守泰次郎−

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仙台フィル第323回定期11/23舞台写真
11/23の本番から(コンサートマスター 西本幸弘氏) 写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団
 

飯守泰次郎です。 11/23、24は、仙台フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会です。

プログラムの前半は、常任指揮者として継続的に取り組んでいるベートーヴェンで、今回はピアノ協奏曲第3番ハ短調です。ソリストには、この作品にふさわしい頼もしいヴェテランである田村響さんをお迎えでき、とても嬉しく思います。

後半は、私が特別な愛着を持っている作曲家であるドヴォルジャークの、交響曲第9番「新世界より」です。 「新世界」は名曲中の名曲で、私もこれまで何回指揮したか思い出すこともできないほどですが、それでも毎回何かしら新たに気づかされることがあり、決して全く同じ演奏にはならないのです。今回も私なりに考え抜いた結果、少し新しいチャレンジをいたします。コンサート開演前のプレトークで簡単にご説明いたしますので、お時間の許す方はぜひお聞きいただければと思います。

大入り袋を片手に
大入り袋を片手に
23日、24日の両日とも全席完売とのことで、満員のお客様をお迎えして演奏できるということは、演奏家としてこんなに嬉しいことはありません。指揮者は客席に背中を向けてはいますが、お客様の雰囲気というのはひしひしと伝わってくるものなのです。本番が大変楽しみです。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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コンサート復帰のご報告

−飯守泰次郎−

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東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル
10/14本番復帰の楽屋にて

飯守泰次郎です。このたびは公演降板で皆様に大変ご心配をおかけしました。私自身も、楽しみにしていたコンサートを指揮できなかったことは本当に残念でならず、改めて心からのお詫びとともに、ここで経緯を皆様にご報告したいと思います。

実は昨年、新国立劇場『ニーベルングの指環』の『ジークフリート』あたりから腰の調子を崩し、なんとか頑張ってきましたが、この8月末日をもって第6代オペラ芸術監督の任期を満了して退任し、ほっとする間もなく腰がついに音を上げてしまいました。

新国立劇場では、ちょうど4年前の任期最初の開幕公演『パルジファル』から今年5〜6月の『フィデリオ』まで、ワーグナー作品7演目、ベートーヴェン1演目、合計で全39公演を、中2日または中3日という日程で指揮してまいりました。
特にワーグナーの『ニーベルングの指環』の指揮は、スポーツにたとえるとフルマラソンにも匹敵する過酷なもので、まさにアスリート並みの体力を要求されます。77歳での『リング』4演目24公演完走は、少し体にこたえたようです。

そこへ、任期最後の指揮となった『フィデリオ』が4階建ての巨大な舞台装置で、地下1階のオーケストラピットから最上階で歌っている歌手を見上げながら、高度差や奥行を考えてアンサンブルを作り上げて指揮する、というアクロバット的な公演になりました。スタッフからも「首がむち打ちになるのでは」と心配されましたが、私の場合は腰に来たようです。あとでMRIの写真を比べてみると、腰椎の状況が『フィデリオ』の前後で激変していました。

ご縁に恵まれ、脊椎の権威でいらっしゃる慶應義塾大学病院の松本守雄教授が手術を執刀してくださいました。先生の、柔らかい物腰の中にも確信に満ちた説明を聞き、私も絶対大丈夫と信頼してお任せすることができました。お蔭様で、昨日10/14のティアラこうとう「オーケストラ with バレエ」公演で、コンサートに復帰することができました。 こうして皆様とコンサートホールでお会いできることの喜びを、改めて深くかみしめております。
ご心配くださった皆様、応援しお見舞いくださったすべての皆様、どうもありがとうございました。心より感謝いたします。

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場オペラ芸術監督任期4シーズンを終えて〜音楽スタッフ編
−飯守泰次郎−

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『フィデリオ』千秋楽終演直後の記念写真
音楽スタッフの皆さんと
 


飯守泰次郎です。新国立劇場オペラ芸術監督として最後の『トスカ』全5公演が終了した過日、新国立劇場の音楽スタッフの皆さんが「感謝の会」を開いてくださいました。
どう考えても、感謝するのは私の方なのですが、ともあれ、新国立劇場の誇る音楽スタッフの皆さんと、私が芸術監督として指揮した『フィデリオ』を支えてくださった東京交響楽団事務局の方々も駆けつけてくださり、とても楽しいひとときでした。 この4年間、皆さんと一体になって音楽を作りあげてきたので、このような場を共に過ごすことができて、達成感もひとしお深まりました。

新国立劇場が招聘する世界最高のアーティストたちが皆、異口同音に、音楽スタッフの優秀さを称賛することは、すでによく知られています。私自身も公演指揮者としてピットに入った8演目44公演を乗り切れたのは、音楽スタッフの皆さんが結束して支えてくださったからにほかなりません。

しかも、私が指揮した演目は8つのうち7つがワーグナーでした。上演時間だけみても約5時間またはそれ以上かかる演目が『パルジファル』『ローエングリン』『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』、と5つもあり、音楽稽古、立ち稽古の段階から本公演終了まで、今から振り返るとよくできたものだと思うほどの厳しい日程でしたが、大掛かりで複雑な作品であっても、一人一人の歌手にもよく気を配り、支えてくださいました。まさに音楽スタッフは新国の「宝」、と心から誇りに思います。音楽スタッフの仕事はお客様からは見えませんが、今後も新国が世界の一流歌劇場としてさらに発展していけるよう、思う存分に能力を発揮していただきたいと思います。

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場2017/18シーズン終了
〜芸術監督の任期最後の公演『トスカ』を終えて(2018年7月)

−飯守泰次郎−

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千穐楽終演後、舞台裏のシーズンエンディング乾杯会でスピーチ
千穐楽終演後、舞台裏のシーズンエンディング乾杯会でスピーチ

飯守泰次郎です。おかげさまで、新国立劇場オペラ芸術監督の任期4シーズン目の2017/18シーズンが閉幕しました。これをもちまして、2014年秋から私がオペラ芸術監督を務めてきた四年間のすべての公演が終了いたしました。このホームページをご覧くださっているすべての皆様に、改めて深く御礼を申し上げます。

芸術監督として最後に選んだ『トスカ』は、アントネッロ・マダウ=ディアツ氏演出による2000年9月プルミエのプロダクションで、新国立劇場のレパートリーの中でも最も人気がある舞台のひとつです。同プロダクション、同キャストで、滋賀県のびわ湖ホールで昨日、および本日7/22(日)15時開演の上演がございますので、ぜひ皆様いらしてください!

私はオペラ芸術監督に就任して以来、自分が指揮しないすべての演目を、客席に身を置いて実際に観劇し、幕間にはホワイエに出てお客様とお話しするようにしてきました。

ロレンツォ・ヴィオッティ氏と
ロレンツォ・ヴィオッティ氏と

出来る限り初日の様子を肌で知ることを大切にしてまいりましたので、今回の「トスカ」も7/1の初日をすでに観ておりましたが、任期最後の公演となる7/15の千穐楽も何とかスケジュールの調整ができて、猛暑の中、全席完売で熱気に溢れる本番に駆けつけることができました。

今回の上演で特に注目を集めたのは、指揮者のロレンツォ・ヴィオッティ氏が、親子二代にわたって新国立劇場の『トスカ』の同じプロダクションを指揮した、ということです。
ヴィオッティ氏の父君のマルチェッロ・ヴィオッティ氏はいうまでもなく、ヨーロッパの多くの歌劇場やオーケストラで活躍した名指揮者で、2000年に新国立劇場でこの『トスカ』のプルミエを指揮されました。 ロレンツォ・ヴィオッティ氏は、まだ二十代の若さとは思えない成熟した指揮ぶりで、今後が怖ろしくなるほどの才能であり、強烈な響きから柔らかく微かな響きまでを駆使して『トスカ』の魅力を新鮮に表現してくださいました。
再演演出の田口道子氏と
再演演出の田口道子氏と

このプロダクションがプルミエ以来6回の再演を重ねてなお、こんなにも生き生きとしているのは、演出家のマダウ=ディアツ氏(2015年逝去)のアシスタントでいらした田口道子氏が再演演出を務めてくださり、舞台に新たな命を与えてくださるおかげなのです。

ウィーン、メトロポリタン、スカラなどの欧米の名歌劇場では何十年も人気を保って演出家の没後も再演を続けているプロダクションが当然のように多数あります。
それを支えているのが、田口氏のようにプロダクションの生命をしっかりと守って時代の中で活かしていく、優れた再演演出の力なのです。

美術の川口直次氏と
美術の川口直次氏と

川口直次氏による美術も、圧倒的な豪華さと、細部までとことんこだわり抜いた緻密さで、まさに何度観ても見飽きることがなく、新国立劇場が誇る見事な舞台であり、オペラの喜びを心ゆくまで味わうことができます。

芸術監督の任期中、歌手をはじめとする出演者の交代で気を揉むことは少なくありませんでしたが、任期最後の公演のしかも千穐楽当日に、しかもタイトルロールが交代することになるとは、お客様も大層驚かれたことと思います。オペラとはまさにそういうもので、 オペラに出演するということは、見た目の優雅さとは裏腹にアスリートに匹敵する厳しさがあるのです。

千穐楽のトスカ役を見事に務めた小林厚子氏と
千穐楽のトスカ役を見事に務めた小林厚子氏と

急な交代でトスカ役をお願いすることになった小林厚子さんは、前日も「高校生のためのオペラ鑑賞教室」でトスカを歌ったばかりにもかかわらず、実に見事に演じ切ってくださり、カーテンコールでも招聘歌手と並んで盛大なブラヴォーを集めました。このように、『トスカ』のタイトルロールという大役であっても、カヴァーを務める日本人歌手が十分な実力を備えていることを如実に示せたことは、私としてもとても嬉しいことでした。

カヴァラドッシ役のホルヘ・デ・レオン氏は、2015年の上演に続いてこの役をお願いしました。わずかの間に世界のメジャー劇場を席巻する国際的なトップスターに駆け上がった実力を、思う存分披露してくださいました。 急遽登場した小林さんとも息の合った見事なデュエットぶりで、舞台をいっそう沸かせてくださいました。

新国初登場のクラウディオ・スグーラ氏は、恵まれた体格を生かしたスケールの大きなスカルピアで、このプロダクションの見どころである第1幕幕切れ「テ・デウム」ではオーケストラと合唱に拮抗する存在感を見せる一方、囁くような部分も魅力的な演技で、悪役スカルピアのキャラクターを表現してくださいました。  
カヴァラドッシ役のホルヘ・デ・レオン氏と
カヴァラドッシ役のホルヘ・デ・レオン氏と

長いカーテンコールの最後には私も呼んでいただき、スタッフを代表して再演演出の田口道子さんが花束を贈ってくださいました。
はるか昔、プッチーニの『修道女アンジェリカ』で指揮者デビューしたことを思うと、新国立劇場オペラ芸術監督の仕事のグランドフィナーレとしてお客様にこのような最高に素晴らしい『トスカ』の上演をお届けできて、様々な苦労を重ねてきた甲斐があったと思います。

新国立劇場オペラ芸術監督の任期は8月いっぱいで、9月からは第7代のオペラ芸術監督、大野和士氏の新たな時代が始まります。私は監督の務めを離れ、幕間にはシャンパンなども楽しみながらお客様とお話しするのを楽しみにしております。皆様もどうぞ、これからも新国立劇場に変わらず足をお運びくださいますよう、心からお願い申し上げます。

なお、芸術監督の間は多忙のあまり実現できなかった新国立劇場オペラ研修所の公演での指揮を、9月16・17の両日、オペラパレスで担当いたします。研修所開所20周年を記念する「世界若手オペラ歌手ガラコンサートLE PROMESSE 2018」で、研修所の修了生、現役の研修生だけでなく、ロンドン、ミラノ、ミュンヘンのオペラアカデミーからも若手歌手を迎えて、私の大好きなイタリア・オペラの名アリア等を藝大フィルハーモニア管弦楽団とともに演奏します。こちらもぜひご来場をお待ちしております。

スカルピア役のクラウディオ・スグーラ氏と
スカルピア役のクラウディオ・スグーラ氏と

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィル第317回定期演奏会(2018/7/13)に向けて・3
−飯守泰次郎−

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東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル
合唱とオーケストラのリハーサル

飯守泰次郎です。いよいよ本日7/13は、東京シティ・フィル第317回定期演奏会会です。連日の猛暑の中、リハーサルを積み重ねてまいりました。冷房が効いているはずの舞台の上さえ暑く感じられるのも、リハーサルに集中する全員の熱気によるものでしょう。

今回の、ブラームス「ネーニエ(悲歌)」と、ブルックナーのミサ曲第3番へ短調、というプログラムは、同じ後期ロマン派の時代を生きた二人の交響曲作家の魅力を、声楽作品という側面からそれぞれ存分に堪能していただける組み合わせです。

「ネーニエ」は、ブラームスがシラーの詩に作曲した、短いながらも大変美しい作品です。シラーの詩はギリシャ神話から題材を採っており、「美しい者も滅びなければならない、それこそが人間と神々を支配する掟である」と始まります。

ブラームスの音楽に特に重要なSchwerpunkt(重心)を、私は個人的に「おわん」と呼んでいる独特のマークでオーケストラのパート譜に書き込んで指示しています。それから、ブラームスに限りませんが、あまりに正確に演奏するのではなく、有機的にわずかに音楽が「揺れ」ることもしばしば大切になります。確立された西洋音楽の記譜法でも、音楽のすべてを表しきれるものではありません。このような、音符と音符の間や背後にある、楽譜に書ききれない音楽そのものをお伝えできるように、私たちはリハーサルを重ねております。

ブルックナーのミサ曲第3番へ短調は、約1時間を要する大曲です。敬虔なカトリック信者で教会のオルガニストを長く務め、心の底から神を信じて生涯を送ったブルックナーならではの、確固たる信仰の力が、壮大なスケールで表現されます。

ソプラノの橋爪ゆかさん、メゾソプラノの増田弥生さん、テノールの与儀巧さん、バスの清水那由太さん、という素晴らしいヴェテランをお迎えすることができ、大変嬉しく思います。東京シティ・フィルと私は二度にわたるブルックナーの交響曲のチクルスをともに経験し、ブルックナーの響きを長い時間をかけて培ってきました。様々なレパートリーで共演を重ねてきた東京シティ・フィル・コーアとともに、全員がお互いをいつも聴き合って純粋な一つの響きとなり、ブルックナーならではの崇高で、深く、偉大な音楽を、皆様にお楽しみいただきたいと思います。

東京オペラシティで皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィル第317回定期演奏会(2018/7/13)に向けて・2
〜東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル その2〜

−飯守泰次郎−

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東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル
東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル

飯守泰次郎です。7/13(金)の東京シティ・フィル第317回定期演奏会に向けた、東京シティ・フィル・コーアとの合唱リハーサルについて、先日はブラームス「ネーニエ(悲歌)」を中心にお伝えしました。
今回は、プログラムの後半に演奏するブルックナーのミサ曲第3番へ短調についてお伝えしたいと思います。

ブルックナーの作品の冒頭部分は、いわゆる「ブルックナー開始」といわれる弦のトレモロから、またはそうでない場合は行進曲風に、始まることが多いのですが、ミサ曲、特にこの第3番ミサ曲の場合は、そうではありません。
冒頭、チェロから順に弦楽器で「キリエ」の主題が受け渡されていくところからすでに、いわば”ゆれ”があり、まずこの始まり方からして大変素晴らしいのです。

ミサ曲第3番は、交響曲第1番の初稿を書き上げた後に作曲されました。ブルックナーはオルガンの即興演奏の名手として知られ、非常に篤い信仰心を持って教会オルガニストを務め、宗教曲を多く書きましたが、このミサ曲第3番の後は交響曲第2番に着手し、以降は第9番まで次々と長大な交響曲を書き続けることになります。
この作品では、「キリエ」、「クレド」、「グロリア」、「サンクトゥス」〜「ベネディクトゥス」、そして「アニュス・デイ」と、通常のミサ典礼文通りの構成の中に、後の彼の交響曲の着想につながる響きが次々と現れます。

合唱はほとんど座る間もないほどに活躍し、輝かしく、力強く、あるいは静かに深く内面的に、神を賛美します。「アニュス・ディ」を筆頭に、私自身、この作品に心底惚れ込んでおり、音楽史における宗教合唱曲の最高の作品のひとつだと思います。
合唱は、どの瞬間もラテン語の歌詞を心から、魂を込めて、聴衆に伝えなければなりません。そして、ブルックナーの特徴である深い宗教性を表現するためには、後期ロマン派の複雑な転調を常に感覚的に先取りして、純粋な音程と響きのバランスを実現することが何よりも重要です。2016年の「テ・デウム」でも、私たちは特にこの点で厳しい挑戦をしてきました。その積み重ねが、今回のミサ曲第3番で生きることを願っています。

いよいよ、オーケストラとともに仕上げる段階に入ります。 音楽を演奏することそのものがまさに祈りに近い、という思いは年々強くなっています。ブルックナーの音楽に身を委ねていただけるように、さらに純粋な響きを求めていきたいと思います。

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィル第317回定期演奏会(2018/7/13)に向けて
〜東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル〜

−飯守泰次郎−

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東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル
東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル

飯守泰次郎です。7/13(金)の東京シティ・フィル第317回定期演奏会は、ブラームスの「ネーニエ(悲歌)」とブルックナーのミサ曲第3番へ短調、というプログラムです。

今回は2曲とも合唱が特に重要な作品であり、オーケストラに先駆けて6月から東京シティ・フィル・コーアとのリハーサルを始めています。

ブラームスの「ネーニエ」は、親しい友人の画家の死を悼み、シラーの同名の詩にもとづいて1881年に作曲されました。

ハンブルクの北の寒村で生まれたブラームスは、デュッセルドルフなど各地に住まいを変え、ピアノの名手としてヴァイオリンのヨーゼフ・ヨアヒムとともにハンガリー、スイス、デンマーク、オランダなどへ演奏旅行も繰り返していました。「ドイツ・レクイエム」で名声を不動のものとする前の彼は、作曲家というより合唱指揮者として知られており、ハンブルクや後にはウィーンのジング・アカデミーや楽友協会合唱団も指揮しました。
1862年にウィーンに居を定め、ジング・アカデミーの指揮者として多忙のため日頃は創作意欲を抑制されますが、毎夏に涼しく静かな環境で集中して作曲する、という晩年まで続く習慣をやがて確立し、交響曲第1番、ハイドンの主題による変奏曲、 交響曲第2番、ヴァイオリン協奏曲、大学祝典序曲と悲劇的序曲などが作曲されたのです。
「ネーニエ」は、交響曲第1番と第2番を書き上げた後に作曲されており、この直後には交響曲第3番、第4番の作曲も始まりました。

ブラームスは、後期ロマン派の時代にありながらどちらかというと古典的で伝統を重んじた作曲家であることはいうまでもありません。しかしこの「ネーニエ」は意外にもモダンな方向を向いている作品で、特に、ブラームスの作品とはちょっと想像できないような、信じられないほど激しい転調がとても素晴らしいのです。とはいってもやはり後期ロマン派の傾向も強く、“歌う”という表現が非常に前面に出ていることを感じます。

東京シティ・フィル・コーアは発足17年目を迎え、私と数々のレパートリーを共演してきました。
そもそもブラームスの「ドイツ・レクイエム」で発足し、結成十年記念でも「ドイツ・レクイエム」に再度、私とともに取り組んだほか「運命の歌」も共演しています。2016年にはブルックナー交響曲ツィクルスを締めくくる「テ・デウム」も歌っており、今回は2曲とも非常に合唱団が活躍するプログラムを中心となって担う力量を備えるまでに成長してきました。
とはいえいずれも難曲であり、長い時間をかけて取り組んできた練習の最後の段階にあります。今週までで合唱団のみのリハーサルを仕上げ、来週からはオーケストラとともにリハーサルをいたします。長年の共演で培ってきた響きに、どうぞご期待ください。

 

飯守泰次郎

 

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「イオネル・ペルレア 1969年ステレオ・ライヴ」CDによせて
忘れ得ぬ瞬間〜イオネル・ペルレア先生のレッスン

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。もう50年以上前のことになりますがニューヨークのマンハッタン音楽院留学当時に師事していたイオネル・ペルレア先生のライヴCDが、このたび新発売されるとのことで、文章を寄稿いたしました。こちらのHPをご覧いただける方にもお読みいただけるように、以下に掲載いたします。

***

忘れ得ぬ瞬間〜イオネル・ペルレア先生のレッスン

飯守泰次郎

私は学生の頃、桐朋学園の齋藤秀雄門下で指揮を学んでいたが、藤原歌劇団でピアニストを務めていたときに藤原義江さんに認められ、プッチーニの「修道女アンジェリカ」で指揮者デビューすることになった。そして、当時盛んだった労音の「椿姫」公演を私ひとりで約1年間に51回も指揮したことが決定的な体験となって、「指揮者として大事なのはオペラだ」と確信し、オペラ発祥の地であるヨーロッパのオペラハウスで仕事をしよう、と心に決めた。

とはいえ、すぐにはヨーロッパに渡らなかった。いきなりロンドン、パリ、ローマ、ウィーン…といった大都市に行くと、その国の圧倒的なアイデンティティーに呑み込まれてしまう。若いうちは、一国の文化に偏らず、できるだけいろいろな価値観に触れて全体的な視野をもちたい、と考えて、まずは人種のるつぼであるニューヨークに留学した。
ジュリアード音楽院ではなく、オペラに力を入れているマンハッタン音楽院を選んだところ、幸運にもイオネル・ペルレア先生が教えていらっしゃる時期で、師事することとなった。1965年のことである。

ペルレア先生は、晩年のトスカニーニを支えた方で、ミラノ・スカラ座を始め世界的な歌劇場やオーケストラで活躍し、数多くの録音を残した巨匠として知られていた。
メトロポリタン・オペラでも 『トリスタンとイゾルデ』『リゴレット』『椿姫』『カルメン』等を指揮されたようだが、私が留学当時はすでにご高齢だったうえに半身不随で、椅子に座ったまま左手で指揮をされていた。顔半分は表情も動かず、目元もドラキュラのようで怖いくらいの容貌だが、その動くほうの顔半分でニタッと笑って、棒も持っていない左手をちょっと動かすだけで、オーケストラの音が途端に素晴らしい響きになるのだった。

ペルレア先生の授業はすべて出席し、それ以外の授業は全部さぼって、メトロポリタン・オペラ、ミュンシュ指揮のニューヨーク・フィルハーモニック、ラインスドルフ指揮のボストン交響楽団、オーマンディー指揮のフィラデルフィア管弦楽団などを聴きまくった。
ペルレア先生が、マンハッタン音楽院のオーケストラでマーラーの交響曲第5番を指揮された際は、私もアシスタントを務めた。その時のスコアは、まだ大切に持っている。

『トリスタンとイゾルデ』“前奏曲と愛の死”のレッスンは、今も忘れることができない。
前奏曲がほぼ終わって、チェロとコントラバスの響きだけがppで残り、もはや死に絶えるような、音楽も時間もすべてが止まるかのような瞬間、“愛の死”のバス・クラリネットが静かに入ってくる場面。その時、ペルレア先生は、ごくわずかな身振りのみで私に、「動くな。何もするな」ということを伝えたのだ。
その頃、先生はすでに言葉も明確ではないような状態だったが、「動くな」という彼の指示は、言葉を超えた音楽的な表情として、電撃的に私を圧倒した。それは極言するなら「指揮するな」という“命令”だった。そのペルレア先生の表情、左手がほんのわずか、私を牽制するような動き……それだけで私は彼の言いたいことをはっきりと理解した。両手をちゃんばらのように振り回している自分が、あれほど恥ずかしく感じられたことはない。  

翌1966年、私はミトロプーロス国際指揮者コンクールに入賞し、その場に偶然来ていたリヒャルト・ワーグナーの孫のフリーデリンド・ワーグナーに誘われて、彼女の主宰するバイロイト音楽祭のマスタークラスに参加するためにドイツに行くことになった。以来50年、ワーグナーの作品は私の指揮者としての仕事の最大の柱のひとつである。そして今も、ペルレア先生の『トリスタンとイゾルデ』のレッスンのあの瞬間は、ありありと私の中に残っている。

***

 

飯守泰次郎

 

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札幌交響楽団
第610回定期演奏会(6/22、23)に向けて

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Kitaraホールでの本番から
Kitaraホールでの本番から

飯守泰次郎です。今週6/22、23の両日は札幌交響楽団の定期演奏会を指揮いたします。
今回のプログラムは、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲と、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」という、ともにスラヴ系の作曲家による名曲中の名曲を組み合わせたプログラムです。チェロ協奏曲のソリストには、石坂団十郎さんをお迎えします。

今回のチェロ協奏曲と『悲愴』は、2曲ともロ短調という、特別な調性の作品です。シャープが2つ付く調性という意味ではニ長調の関係調なのですが、調性としての色合いは神秘性、非現実性を帯びています。

ドヴォルジャークは、私が特別な愛着をもっている作曲家の一人です。特にこのチェロ協奏曲は、古今のチェロ協奏曲の中でも最も華やかで素晴らしい作品のひとつです。人気と実力を兼ね備えたヴェテランである石坂団十郎さんと札響のアンサンブルを、お楽しみいただければと思います。

石坂団十郎さんとのリハーサル
石坂団十郎さんとのリハーサル

チャイコフスキーも、私のレパートリーの中でとても重要な作曲家です。チャイコフスキーの作品は、魅力的なメロディーや見事なオーケストレーションが素晴らしく、表現を誇張すれば圧倒的な演奏効果を上げられるため、とても人気があります。しかし私は常々、いわゆる「名曲」というよりも、ロシアの苛酷な自然と歴史と結びついたチャイコフスキーの音楽の本当の価値に迫りたい、と考えて取り組んでいます。チャイコフスキーに限らず、演奏家は常に作曲家の心に向かっていくべきであり、自分がどこからどう入り込んでも作品から何かが与えられる、と信じています。

札響との共演は、もう二十年以上になり、ワーグナーやベートーヴェンはもちろん、スクリャービンなども含めた幅広いプログラムで共演しています。最近では、2年ほど前にワーグナーの『指環』の管弦楽による名場面集での大変に熱のこもった素晴らしい演奏が、強く印象に残っています。
日本で最も美しい響きを持つホールのひとつであるKitaraホールで、皆様のお越しをお待ちしております。
北海道名物の「カツゲン」が元気の素!
北海道名物の「カツゲン」が元気の素!
(オランダ在住時、似た飲料を愛飲していました)

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第319回定期演奏会(2018/6/15、16)によせて

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仙台フィルとのリハーサル
仙台フィルとのリハーサル
(写真提供=仙台フィルハーモニー管弦楽団)

飯守泰次郎です。仙台におります。いよいよ本日6/15と明日6/16は、仙台フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会です。

仙台フィルとはすでに長年にわたり、ドイツ、オーストリア音楽を中心に度々共演してきました。そのいずれも大変心に残るコンサートであり、特に、オーケストラの若々しいパワーと新鮮な好奇心、音楽に取り組む姿勢に、私も毎回強い刺激を受けています。
今日は、4月に私が常任指揮者に就任してから指揮する最初のコンサートでもあり、この日を大変楽しみにしてまいりました。

常任指揮者をお引き受けするにあたり、ベートーヴェンを中心としたレパートリーに改めて取り組むことをひとつの柱としており、今回のコンサートもベートーヴェンの交響曲第2番ニ長調、交響曲第3番「英雄」変ホ長調の2曲のみ、という非常に内容の濃い、集中したプログラムです。

いずれの交響曲も、もはや私が何か言葉でご説明する必要もありません。しかも、この2曲のみを続けて演奏できるのは非常に稀なことです。
「英雄」が交響曲の新しい時代を創造した作品であることは言を俟ちませんが、交響曲第2番にもすでに、後年の「第九」につながる発想が随所に見られます。真の改革者であったベートーヴェンが、それまでの音楽史を乗り越え、自身の作品をも次々と創造的に破壊して新しい時代に踏み込む姿を、ありありと感じていただける演奏会にしたいと思います。

仙台フィルの定期演奏会場 日立システムズホール仙台
定期演奏会場  日立システムズホール仙台 コンサートホール (写真提供=仙台フィルハーモニー管弦楽団)

仙台フィルでは、定期演奏会の本番会場である日立システムズホール仙台・コンサートホールでリハーサルができるので、本番の響きを時間をかけて作っていくことができます。定員約800人で親密な響きをもったこのホールの特性と、ベートーヴェンの当時の弦楽器の配置などの歴史もふまえて、今回も「対抗配置」で演奏いたします。

地元の皆様に愛され、最近は国内各地の音楽愛好家にもよく知られる存在となりつつある、この将来豊かなオーケストラと共に、新たな歴史を歩んでいけることを、心から幸せに思います。
皆様のお越しを、日立システムズホールで心よりお待ちしております。


2日目(6/16)の本番から
2日目(6/16)の本番から
(写真提供=仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場『フィデリオ』を終えて(2018年6月)
−飯守泰次郎−

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『フィデリオ』千秋楽終演直後の記念写真
新国立劇場『フィデリオ』楽日終演後(2018年6月2日)〜歌手、音楽スタッフの皆さんと
 

カタリーナ・ワーグナー氏と
初日開演前にカタリーナ・ワーグナー氏と

飯守泰次郎です。 新国立劇場開場20周年記念特別公演『フィデリオ』全5公演が終了いたしました。 このたびの『フィデリオ』は、次世代の世界のオペラ界をリードする立場にあるカタリーナ・ワーグナー氏に演出を依頼しました。 非常に刺激的な演出で、終幕に向けて毎回、 お客様が固唾を飲んで舞台に集中していらっしゃる緊迫感がオペラパレスの客席全体に充満し、ピットにもひしひしと伝わってきました。

終演直後のカーテンコールでも毎回活気に溢れた反応をいただき、今も実に多様なご感想が寄せられております。開場20年を迎え、新国立劇場の発展にふさわしく成熟されている現在のお客様に、これまでの新国立劇場のプロダクションから一歩踏み込んで敢えて問題提起する斬新な演出をご覧いただくべき時、と考えて今回の公演を実現し、いま非常に大きな手ごたえを感じております。

新国立劇場の舞台空間と機構を最大限に駆使し、演劇的な要素を強調した非常にダイナミックな舞台で、歌手同士も、オーケストラ、合唱とも、それぞれ大変距離があり、音楽の面でも高度な集中を要求されましたが、 皆さん頑張って一体となったアンサンブルをしてくれました。

リカルダ・メルベート氏(レオノーレ役)と
リカルダ・メルベート氏(レオノーレ役)と

リカルダ・メルベート氏は、巨大なセットの中を縦横に動き回り、難しいパントマイムを含む高い演劇的要求に応えながら、レオノーレというこの困難な役を素晴らしく気高く歌ってくださいました。

彼女とは『さまよえるオランダ人』(2015年)のゼンタ、『ジークフリート』(2017年)のブリュンヒルデでも共演したほか、私が指揮した公演ではありませんが昨冬の『ばらの騎士』の元帥夫人でも見事な歌唱を聴かせてくださり、新国立劇場にとって欠かせない大切な歌手のお一人です。

フロレスタン役のステファン・グールド氏は、本来なら出番のない第1幕から出ずっぱりにもかかわらず、古今東西のオペラの諸役の中でも最も重要ともいえる第一声から、英雄にふさわしい輝かしい圧倒的な響きでオペラパレスを満たしてくださいました。

ステファン・グールド氏(フロレスタン)と
ステファン・グールド氏(フロレスタン)と

『指環』四部作のすべてで大活躍してくださった彼の浴衣姿は、楽屋ではもはやすっかりおなじみです。今夏のバイロイト音楽祭では、トリスタン役に加え、新国立劇場でロールデビューされたジークムント役でも出演されるとのことです。

千秋楽の6/2終演後、舞台裏で、出演歌手の皆さん、そしてこの公演を一緒に作り上げた音楽スタッフの皆さんとともに写真を撮りました。 私が持っている大きな花束は、カーテンコールの際、東京交響楽団の楽員の方がピットから舞台上に身を乗り出して贈ってくださったものです。いきなりピットから花束が出てきてとても驚き、皆さんのお心遣いを大変嬉しく思いました。
この写真に写っていない新国立劇場合唱団や東京交響楽団の皆さん、助演の方々は勿論、このプロダクションの挑戦を支えてくださったすべての皆様に、心からの感謝をささげたいと思います。

この『フィデリオ』をもちまして、新国立劇場オペラ芸術監督として私が指揮するすべての公演を、おかげさまで終えることができました。応援してくださった皆様、支えてくださった皆様、このホームページをご覧くださっているすべての皆様に、改めて深く御礼を申し上げます。

来月の『トスカ』(ロレンツォ・ヴィオッティ氏指揮/アントネッロ・マダウ=ディアツ氏演出の人気の舞台。7/1・4・8・12・15)をもって、2014年秋から四年間、私がオペラ芸術監督を務めてきたすべての公演が終了いたします。私の指揮者としてのデビューはプッチーニ作品であり、『トスカ』も大好きな作品です。新国立劇場でオペラ芸術監督として皆様をお迎えするのは『トスカ』が最後となりますので、皆さまのお越しを心からお待ちしています。

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場『フィデリオ』
演出家カタリーナ・ワーグナー記者懇談会(2018/5/16)

−飯守泰次郎−

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『フィデリオ』演出家カタリーナ・ワーグナー氏
『フィデリオ』演出家カタリーナ・ワーグナー氏

飯守泰次郎です。新国立劇場開場20周年記念特別公演『フィデリオ』のリハーサルが大詰めを迎えております。

5/20(日)の初日を前に、報道関係者の方々を対象にした「演出家カタリーナ・ワーグナー記者懇談会」(通訳:蔵原順子氏)が5/16に開催されました。私はこの懇談会には同席しませんでしたが、連日の稽古の合間を縫ってカタリーナ氏と、ドラマツルグを務めるダニエル・ウェーバー氏を囲んで多くの記者の方々がお集まりくださり、短い時間ではありましたが活発な質疑がかわされましたので、その一部の要旨を以下にお伝えしたいと思います。

カタリーナ氏らしい非常に斬新な問題提起を含んだ舞台なので、驚かれる方も多いと思いますが、どうかご自身の感覚で自由に、まさに今から生まれる新たな『フィデリオ』の姿をご覧いただきたいと思います。オペラパレスで皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(飯守泰次郎)

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新国立劇場「カタリーナ・ワーグナー記者懇談会」(5/16)より、質疑応答の一部(要旨)ご紹介〜

Q:ワーグナー以外の作曲家の作品にも親和性を感じるか。ベートーヴェンの音楽のどういうところに最もインスパイアされるか?

A:基本的に演出家として、その音楽に何かしら感じるものがある作品を演出するべきだと考えている。ただワーグナーの音楽は私にとっては特殊で、子供のときからあまりにも当たり前な存在でうまく言葉で説明できない。私の人生の一部であり、特になじみ深い。 他の作曲家の作品も音楽的内容に惹かれるものを演出している。そういう意味でベートーヴェンの音楽にも惹かれる。

Q.『フィデリオ』の音楽の特にどういうところに惹かれるか?

A:特に合唱の場面に心打たれるが、それが今回さらに親近感が増しているのは、新国立劇場の合唱団が大変素晴らしいから!ますます合唱の場面が好きになった。もちろんレオノーレのアリアもフロレスタンのアリアもそれぞれ素晴らしい。
カタリーナ氏とドラマツルクのダニエル・ウェーバー氏
カタリーナ氏とドラマツルクのダニエル・ウェーバー氏
Q:演出をするにあたり、特に譲れない、あるいは大切にしたいと考えていることは?

A:個人的に情熱を感じる作品を演出することだ。1つのコンセプトだけでは作品は埋めつくせない。作品全体を満たすだけのアイディアを持てる作品を演出し、常に、お客様の想像と思 考を引き出せるように考えている。バイロイト音楽祭に招く演出家についても同じ考え方で、作品に対して炎のような情熱を持っている人を招いている。
そして、劇場の姿勢も重要。「このプロダクションを世に送り出したい」という強い気持ちを劇場が持つことが大切。新国立劇場はすべてのスタッフが優れていてフレンドリーで、最高の環境で仕事ができている。このプロダクションを新国立劇場でできるのは私にとって大きな喜び。あまりにも新国立劇場が完璧なので、「腹を立てる」という感情を忘れてしまったほどだ(笑)。

Q:この作品に多くあると思われる「余白」をどう埋めるか、あるいは埋めずに観客の想像の余地を残すか?

A:我々はぜひ、皆様に考えてほしいと思って演出しており、その意味で「余白」は残している。考えていただくために「こういう方向の考えもある」という示唆となることも、多く盛り込んでいる。ベートーヴェンの音楽は、決して何かを断言しているわけではない、と思っている。 我々の見解も押し付けるのではなく、「?」付きで提示したい。特に結末については、ご覧になる方々に考えていただく、オープンな結末にしている。

Q.今回、新国立劇場で演出する作品が『フィデリオ』ということはずっと前から決まっていたか?

A:2年前に飯守芸術監督からオファーをいただいた。私も以前から考えていた作品なので、オファーをいただいて短い時間で引き受ける判断ができた。 飯守マエストロとの仕事をとても楽しんでいる。マエストロは立ち稽古のかなり初めの段階からほぼすべてのリハーサルに付き合ってくださって、これは決して普通のことではない。演出稽古の段階から一緒に作りあげてきた、という手ごたえがある。

Q:飯守芸術監督はインタビュー(「ジ・アトレ誌2018年1月号掲載)で「長い間閉じ込められても変わらないフロレスタンの高潔な人物像をカタリーナさんがどう描くが楽しみ」と述べていた。このことについてのお考えは?

A:私たちは今回の演出でフロレスタンを、常に希望を抱いている人、として描いている。彼は、希望につながる要素が見えている間は、理想を失わない。一方で、フロレスタンという人はリアリストだと思う。希望を与えてくれる要素が無くなるとわかったら、自分の境遇に対してリアルな反応をする人。賢明なリアリストだからこそ、ある段階で自分の境遇を受け入れられる、現実的な見解を持つ人。風車に闘いを挑むことはしない人だと考える。

Q.21世紀のオペラの可能性についてどう考えるか。

A:オペラにはこの先もチャンスがあると思う。それはオペラが人間の感情に訴えるからであり、音楽は素晴らしいものだから。人々はライヴの体験の価値を理解している。どの公演も1回1回違うかけがえのないもので、お客様もそこに参加して一部を担っている。オペラには視覚的な要素があり、技術も進化しているので、これまで以上にチャンスがあると思う。

***
 

飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団第290回定期演奏会〜
ブルックナー交響曲全曲ツィクルス第8回(2018/3/31)に向けて

−飯守泰次郎−

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弁天町オークホールでのリハーサル
弁天町オークホールでのリハーサル

飯守泰次郎です。2011年から1年に1曲というペースで続けている関西フィルとのブルックナー全交響曲ツィクルスも、いよいよ、規模においても最大、演奏時間も最長の大曲、第8番です。

この交響曲は、ベートーヴェンの「運命」や、ブラームスの交響曲第1番と同様に、ハ短調で始まりハ長調で終わります。「闘いから勝利へ」というこの構成は、ドイツ系の交響曲の1つの典型です。

しかしブルックナーの場合、彼が意味したものは「闘いから勝利へ」という典型とはどこか異なるように感じられます。 全曲を締めくくる第4楽章のコーダで、第1楽章のテーマが戻ってきます。そして最後に向けてどんどん幕が開いていくようで、これはいったい天国に向かうのか地獄に向かうのか…最後はハ長調で、くずおれるような下行形で終わるのです。ベートーヴェンやブラームスのような絶対的な「勝利」に至るのではなく、いわば「精神的な気高さ」に到達する、とでもいうべきでしょう。
後期ロマン派の巨大なオーケストラ
後期ロマン派の巨大なオーケストラ
この偉大な交響曲がもつ特別な精神性を表現するには、指揮者もよほどの経験が必要で、いくら勉強しても、私のような年齢になってもまだまだ足りない、という気がしてくるほどです。

関西フィルとは、ワーグナーの楽劇をはじめとする演奏会形式のドイツ・オペラを含め、様々なレパートリーを共に積み重ねたうえでブルックナー・ツィクルスに取り組んでいるので、演奏が成熟してきている手ごたえを感じています。
年に1度のこのツィクルスに向けて、楽員の皆さんが精進を重ね、新鮮な好奇心をもって演奏に臨んでいることを感じ、私も大変やりがいがあります。皆様のお越しをザ・シンフォニーホールでお待ちしております。

関西フィル コンサートマスターの岩谷祐之さんと終演直後に
関西フィル コンサートマスターの岩谷祐之さんと
終演直後に

 

飯守泰次郎

 

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ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第134回
“飯守による、珠玉のベートーヴェン&ワーグナー”(2018/2/25)に向けて

−飯守泰次郎−

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ミューザ川崎シンフォニーホールでのリハーサル
ミューザ川崎シンフォニーホールでのリハーサル

飯守泰次郎です。ミューザ川崎シンフォニーホールで、東京交響楽団との「名曲全集 第134回」に向けてリハーサルが始まりました。
プログラムの前半はベートーヴェンで、歌劇『フィデリオ』の序曲と、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」で、ソリストは津田裕也さんです。そして後半はワーグナーの楽劇『神々の黄昏』から、”夜明けとジークフリートのラインへの旅”、”ジークフリートの葬送行進曲”、そして“ブリュンヒルデの自己犠牲”を演奏いたします。

『フィデリオ』は、ベートーヴェンが作曲した唯一のオペラです。このオペラは様々な要因でなかなか成功せず、ベートーヴェンは何度も改訂を重ねました。結局、彼はこのオペラのために、序曲『レオノーレ』第1、2、3番、そして『フィデリオ』序曲、という4つもの序曲を書いたのです。
このうち序曲『レオノーレ』第1〜第3番はいずれも、オペラの中で歌われるアリアを用いて作品の精神を見事に凝縮した、大変素晴らしい音楽なのですが、なぜかオペラとしての成功にはつながりませんでした。4番目に作曲された『フィデリオ』序曲は、それまでの3曲とは雰囲気も調性も全く異なり、オペラ本編には出てこないテーマで作られているのですが、この序曲によって上演が成功を収めたのです。お客様に、オペラ本編も聴きたい、と期待を高めていただけるような演奏をしたいと思います。

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」は、まさに「名曲全集」に最もふさわしい作品です。津田裕也さんとはもう何度も共演しており、いつも若々しい素晴らしい演奏をしてくださる、私の信頼しているピアニストなので、とても楽しみにしています。
示導動機を確認しながら
示導動機を確認しながら
東京交響楽団は、ここ数年とくに共演する機会が増えているオーケストラで、昨年も新国立劇場『ジークフリート』のピットで長くご一緒して素晴らしい経験を共有することができました。今回は同じ『ニーベルングの指環』から、『神々の黄昏』の3つの名場面を演奏します。

ワーグナーを演奏する上で一番重要なことは、やはり示導動機です。
ジークフリート、ブリュンヒルデ、ラインの乙女たち…といった登場人物や、指環、ワルハラ城、炎、剣、槍(または「契約」)といった事物、「英雄ヴェルズング族の苦難」、「ジークフリートとブリュンヒルデの夫婦としての愛」、さらには「運命」「苦痛」などの示導動機を楽員が理解し、明確な意志をもって演奏しなければなりません。示導動機は、単なるメロディやテーマではなく、いわば音楽的な“理念”であり、そのように演奏されて初めて、それを聴いた聴衆が物語のドラマを瞬時に直感し理解することができるのです。

特に“葬送”は、巨大な『ニーベルングの指環』四部作という合計15時間超のドラマを締めくくる第1のフィナーレ(“自己犠牲”が第2のフィナーレ)ともいえる場面であり、多数の示導動機が極めて複雑かつ壮大に見事に組み合わされています。殺されたジークフリートの生涯が回顧され、彼が生まれるきっかけとなった『ワルキューレ』第1幕のジークムントとジークリンデの出会いが、「ヴェルズンクの苦難」「ヴェルズンクの愛」「ジークリンデ」などの示導動機によって聴衆の脳裏に(意識してもしなくても)蘇り、偉大な英雄が犠牲となった痛ましさがいっそうありありと表現されるのです。

この「名曲全集」のシリーズは、本番と同じミューザ川崎シンフォニーホールの舞台でリハーサルができて、響きを作っていく上で最高の環境であり、幸せに思います。本番は2/25の日曜日です。ミューザ川崎で皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場 新制作『松風』の千秋楽(2018/2/18)によせて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。新国立劇場の新制作『松風』(2/16,17,18)は、早くも本日2/18千秋楽を迎えます。
これほど素晴らしい作品の上演が、6年越しの念願がついにかなって実現でき、しかも3公演とも全席完売、というお客様の極めて熱狂的な反応に接し、大変嬉しく思っております。千秋楽にあたって、もう一度この作品の魅力をお伝えせずにはいられません。

いわゆる「現代音楽」は、熱く幅広い反応には結びつきにくい難しいジャンル、と思われがちです。にもかかわらず、新国立劇場のお客様が『松風』をこれほど明確に力強く受け容れてくださったのは、どれだけこの作品の国内上演が待望されていたかを如実に示しており、それもやはりただただ、細川さんの作品が現代音楽を超える内容を持っているからだと思います。

かねてから細川さんのヨーロッパでの活動を注視し、新国立劇場オペラ芸術監督として日本人作品の新制作に携わる立場になるからにはどうしても細川さんの作品を新国立劇場で上演したい、と強い意思を抱いた2012年から、彼と様々な議論をしてきました。

細川さんが能の本質を「浄化」させる劇、とおっしゃるのは、言い換えれば、この世の思いに囚われてあの世に行けない妄執からの「救済」を扱っている、と私は理解しています。 「救済されたい」という気持ちは誰にでもあり、洋の東西を問わず人間の根源にあるものです。

その一方、細川さんの音楽は日本人独特の自然観に基づいており、風の音、水の音など、静かな音楽で表現され、誇張がありません。彼の自然な音の受け止め方が、ヨーロッパの人々からは日本人ならでは、と感じられ、日本人にはまさに自分の中にあるものとして共感されるのだと思います。

結局、『松風』という作品の素晴らしさは、能の本質でありなおかつ文化の違いを超えて人間共通に理解される「救済」という普遍的な要素と、日本人固有の自然に対する感覚を併せ持っていることにあります。だからこそ、欧米で幅広く共感を集め、日本でもここまで熱狂的かつ新鮮に受け入れられるのだと思います。

そしてサシャ・ヴァルツ氏による今回のプロダクションは、その両者がこれ以上考えられないほど見事に一体化して実現されています。「コレオグラフィック・オペラ」という新しい形態によるこのプロダクションを日本で上演するには、作品を深く理解し高い能力を持つ音楽家、サシャ・ヴァルツ&ゲスツのダンサー、ユニークな舞台美術を実現するスタッフなどの専門的な集団を一体として招聘することが不可欠であり、まさに新国立劇場でなければなしえない、困難で価値のある仕事です。 上演にかかわってくださる、国内外すべての皆様に深く感謝しています。

細川俊夫さんの音楽の持つ静かさと、劇的な激しさのコントラストについては、先日のMessageでも触れました。 静かなところは怖くなるくらいに静か、しかし内面が劇的に噴出するところはまた怖くなるほど激しく、あそこまで豹変する表現が、物静かな細川さんのお人柄の一体どこから生まれるのだろう、と思います。
細川さんは「私は自分の音楽が、自然の響き、宇宙の響きの一部分でありえるような音楽を生み出したいと願い続けてきた」とおっしゃっています。音楽が宇宙の響きの一部分、ということは、私が常々リハーサルでオーケストラに伝えていることとまさに同じで、作曲家としての彼の態度の根底にあるものがどこか、演奏家としての私の根底にあるものと相通ずるようにも感じられます。どうしても細川さんの作品を新国立劇場で、という初志を揺らぐことなく貫けたのも、やはり音楽そのものの力に支えられたのでしょう。

間もなく最終公演が始まりますが、これを機に、これからも新国立劇場で細川俊夫さんの作品はもちろんのこと、日本人による優れたオペラ作品が一層力強く上演されていくことを強く願っています。

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場2017/18シーズン
新制作『松風』(2018/2/16・17・18)によせて

−飯守泰次郎−

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細川俊夫氏と
細川俊夫氏と

飯守泰次郎です。新国立劇場の新制作『松風』(2/16,17,18の全3公演)が2/16に初日を迎え、大きな成功のうちに終演いたしました。

私は2012年にオペラ芸術参与に就任した当初から、ぜひとも細川俊夫氏の作品を新国立劇場で上演したい、と強く望み、細川氏とも色々と相談を重ねた結果、『松風』を新国立劇場で日本初演することになりました。

この作品は能の「松風」を題材に、世阿弥の原作からハンナ・デュブゲン氏が書き下ろしたドイツ語台本によってオペラ化されたもので、1幕物(上演時間約1時間半)です。

2011年にベルギーで初演されて以来、欧米を中心に50回も上演されるなど、すでに非常に高い評価を受けている邦人作品であり、ついに新国立劇場で取り上げることができて、大変嬉しく思います。日本人作曲家によるオペラ作品の上演が新国立劇場の大変重要な使命であることは、もはやいうまでもありません。
振付家のサシャ・ヴァルツ氏と
振付家のサシャ・ヴァルツ氏と

今回は、現代を代表する振付家サシャ・ヴァルツ氏の振付・演出による「コレオグラフィック・オペラ」という形態での上演で、細川氏が最も信頼するプロダクションです。

ソリストも、新国立劇場合唱団も、現代舞踊のダンサーの方々と一緒に踊りながら歌う、という非常に難易度の高い歌唱が実に見事です。
ピア・マイヤー=シュリーヴァー氏と、ベルリンで活躍する塩田千春氏の美術によるインスタレーションの舞台も大変美しく、効果的です。

細川俊夫氏の音楽はとても静かで、響きが自然で、このような大きな舞台作品であってもどこか室内楽的な要素が感じられます。その一方で全く違う別の面を見せるのです。彼の音楽の持つ静かで自然なキャラクターと正反対の恐ろしいほど劇的で激しい音楽が噴出するのです。
デヴィッド・ロバート・コールマン氏指揮の東京交響楽団は、変則的な編成にもかかわらず、集中度の高い素晴らしい演奏です。

初日から客席は大変賑わっていて、オペラ・ファンだけでなくダンスや美術のファンも多くいらしているためか、いつもとはまた異なる活気が溢れています。
公演はあと本日2/17(満席とのこと、キャンセル待ち等のお問い合わせは新国立劇場03-5352-9999へ)、および明日18(残席僅少とのこと)の2回ございます。皆様のお越しを心からお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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九州交響楽団第365回定期演奏会(2018/2/9)によせて
−飯守泰次郎−

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アクロス福岡シンフォニーホールでの本番
アクロス福岡シンフォニーホールでの本番
(写真提供:九州交響楽団)

飯守泰次郎です。九州交響楽団の定期演奏会に向けたリハーサル中で、久し振りに九州に来ております。

今回のプログラムの前半は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番ト長調で、ソリストは松山冴花さんです。松山さんとはこれまでも、ブラームス、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、とドイツ音楽を代表するヴァイオリン協奏曲の大曲・名曲で共演してきたので、今回のモーツァルトもとても楽しみにしています。

プログラムの後半は、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』を約1時間に凝縮してお届けします。これは、オランダ放送フィルの打楽器奏者であるヘンク・デ・フリーヘル氏による「オーケストラル・アドヴェンチャー」という編曲版です。

私も今まで、シンフォニー・コンサートで『指環』の抜粋を演奏したことは数えきれないほどありますが、この編曲版は初めて指揮いたします。本来なら全部で約15時間、上演に4日かかる巨大な作品である『指環』の名場面が見事に1時間の作品として凝縮されていて、驚くばかりです。『ラインの黄金』冒頭のEs(変ホ)の音から、『神々の黄昏』の最後の和音まで、14のシーンに見事にまとめてあり、明日演奏するのがとても楽しみです。
四管編成の巨大なオーケストラ

四管編成の巨大なオーケストラ
(写真提供:九州交響楽団)

このたび、九響と12年ぶりの共演が叶い、大変嬉しく思います。以前、1999年の定期でもワーグナー・プログラムを演奏し、その後も数回ご一緒して、ブルックナーの交響曲第9番などで共演しました。楽員の皆さんが非常に積極的で、今回はさらにワーグナーの深みに到達できそうです。

それでは明日2/9、アクロス福岡シンフォニーホールで、皆さまのお越しをお待ちしております!

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第52回ティアラこうとう定期演奏会 (2018/2/3) によせて

−飯守泰次郎−

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ティアラこうとうでのリハーサル
ティアラこうとうでのリハーサル

飯守泰次郎です。2/3は、東京シティ・フィルの第52回ティアラこうとう定期演奏会です。モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』序曲、次に青木尚佳さんをソリストにお迎えしてベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、そしてチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」というプログラムです。

歌劇『ドン・ジョヴァンニ』は、人間性の深いところまで踏み込む内容をもっており、モーツァルトの中でも私が最も敬愛するオペラです。この序曲の冒頭はニ短調で、オペラの第3幕で騎士長が現れてドン・ジョヴァンニに反省を迫る場面の音楽で始まります。この部分は、もはやベートーヴェン的といえるほどシリアスで力強く、シンプルでありながら劫罰の恐ろしさを見事に表現しています。最初の和音で低音が残るように書かれていることも斬新です。このような劇性と音楽の深いエネルギーを持つ『ドン・ジョヴァンニ』は、まさに傑出した作品なのです。
しかもモーツァルトは、深く劇的な内容を持つこの序曲を、他の人々と食べ物をつまんだり、かなり下品な冗談を言いながら、食卓で書いたという話があります。しかし、『 ドン・ジョヴァンニ』に限らず、彼のト短調の楽曲や、晩年の39、40、41番の交響曲などは、何かの経験が凝縮して本人も気付かないままに非常な深み、あるいは高みに到達しているようなところがあります。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、いうまでもなく古今のヴァイオリン協奏曲の中でも特別な大曲です。ソリストの青木尚佳さんとは、以前も共演したことがあり、ベートーヴェンは初めてですが、とても若々しく、しかもベートーヴェンの力強さを良く表現しています。

「悲愴」の第3楽章
「悲愴」の第3楽章

チャイコフスキーというと、旋律の魅力や見事なオーケストレーションの力で圧倒的な演奏効果を得やすいのですが、私と東京シティ・フィルは、もっと深く彼の創造の根底にあるロシア的な本質に肉迫したい、と強く願って2011〜2012年にかけてチャイコフスキーの全交響曲ツィクルスを行いました。その演奏は交響曲全集のCDにもなり、ご好評いただいております。
今回、ティアラこうとう (定員1228名)の空間で「悲愴」をお聴きいただくことは新しい挑戦になりますが、やはり以前に1年間にわたりチャイコフスキーに集中した経験がオーケストラの中に豊かに蓄積されている、と実感しながら、ティアラこうとうの響きを活かした演奏をともに創っているところです。

週末にかけて、都内も積雪が予想されておりますが、今回の3曲は厳寒の季節にふさわしいプログラムともいえます。暖かくして足元にお気を付けて、ぜひティアラこうとうへお越しください。皆様のお越しを、心よりお待ちしております!

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場2017/18シーズン半ばによせて

−飯守泰次郎−

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個人賛助会員の皆様をお迎えしてご挨拶
個人賛助会員の皆様をお迎えしてご挨拶

飯守泰次郎です。新国立劇場オペラ芸術監督として4シーズン目となる2017/18シーズンも、昨秋より『神々の黄昏』、『椿姫』、『ばらの騎士』、『こうもり』を上演し、間もなく2/16には細川俊夫氏の『松風』(日本初演)のプルミエを迎えます。

先日、『こうもり』千秋楽の終演後には、個人賛助会員の方々との懇親会が開催されました。

バレエ芸術監督の大原永子氏、演劇芸術監督の宮田慶子氏、『こうもり』に出演した歌手の皆さん、そして新国立劇場バレエ団のダンサーとともに、お客様とひとときの交流を持つことができました。

『こうもり』の物語の筋は他愛無い内容ですが、大人が気軽に余裕をもって楽しめる、実に楽しいオペレッタです。まさに、最高の娯楽のひとつとしてのオペラの醍醐味を味わっていただける作品だと思います。千秋楽ということで、ひときわ高揚感のある、華やかなパーティーとなりました。

『こうもり』出演者の皆さん
アドリアン・エレート(アイゼンシュタイン)、エリーザベト・フレヒル(ロザリンデ)、ハンス・ペーター・カンマーラー(フランク)、ステファニー・アタナソフ(オルロフスキー公爵)、村上公太(アルフレード)、クレメンス・ザンダー(ファルケ博士)、ジェニファー・オローリン(アデーレ)、フランツ・スラーダ(フロッシュ)の各氏

私からは皆様に、この20年間のご支援への感謝と、今後の新国立劇場の発展への期待をお伝えし、私が芸術監督として最後に新国立劇場で指揮する『フィデリオ』に、ぜひ全ての皆様にいらしていただきたい!とお話ししました。
2017/18シーズンは、『松風』プルミエの後、『ホフマン物語』『愛の妙薬』『アイーダ』、と特に人気のあるプロダクションが続々と再演されます。カタリーナ・ワーグナーによる新演出『フィデリオ』は5/20プルミエ、そして任期最後の上演演目は、私の特に愛するプッチーニの『トスカ』です。
ホームページをご覧の皆様、ぜひオペラパレスでお会いしましょう!


アドリアン・エレート氏と
アドリアン・エレート氏と
 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場20周年記念特別公演
『フィデリオ』(2018/5/20,24,27,30,6/2)に向けて

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。新国立劇場開場20周年記念特別公演ベートーヴェン『フィデリオ』は、私が新国立劇場オペラ芸術監督として指揮する最後の演目となります。これまで新国立劇場でワーグナー作品を7演目指揮してまいりましたが、任期の締めくくりに、指揮者として私が特に集中して掘り下げ続けてきたベートーヴェンの、唯一のオペラに取り組めることを、心から嬉しく思います。
本日1/26よりオープンした新国立劇場『フィデリオ』特設サイトのトップページに、以下のとおり私からのメッセージが掲載されております。ホームページをご覧の皆様にもぜひお読みいただきたいと思います。

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『フィデリオ』の奥深さに徹底的に迫る

『フィデリオ』は、ベートーヴェンが作曲した唯一のオペラです。ベートーヴェンは、『英雄』『運命』『第九』等の交響曲に代表されるように、「音楽によって人々をより崇高な世界へと導きたい」という熱狂的な欲求を持っていた、特別な作曲家です。

当時のオペラは、恋のもつれや嫉妬、裏切りなど、生の人間の姿を等身大で楽しみ、美しい声と歌唱の技巧を堪能するものでした。ベートーヴェンはそのような娯楽性を受け入れることができず、自分の理想に合致する台本を探し求めて苦労しました。そして、フランス革命の時代を背景に流行した「救出劇」と呼ばれる題材の中に、「より良く、より高貴な人間像」を描くにふさわしい、権力闘争に勝利する気高い夫婦愛、という崇高なテーマを見出したのです。

第1幕は世俗的で小市民的な場面から始まりますが、監獄所長ドン・ピツァロが登場すると、物語は一気に絶望と闘争に焦点が絞られていきます。歌とセリフで物語が進行するジングシュピール(歌芝居)と、最終場面のオラトリオのような合唱を、ひとつのオペラとして成り立たせているのは、やはりベートーヴェンの音楽の圧倒的な力です。

男装してフィデリオという偽名を使い、夫を救うために命を賭けて監獄に乗り込むレオノーレが、内心から沸きあがる決意と希望を歌い上げるアリアは、女性に対するベートーヴェンの高い理想像が凝縮されています。「囚人の合唱」では、「闇から光へ」というベートーヴェンの一生を貫くテーマが、感動的な響きで歌われます。第2幕で、長く地下牢に幽閉されているフロレスタンが初めて登場するアリアも、高潔な人格が見事に表現されています。 そして、フィナーレの合唱「素晴らしい妻を得た者はこの歓呼に参加せよ」は、その後もベートーヴェンの中で一生かけて温められ、20年後に作曲する『第九』で交響曲史上初めて用いられた声楽によって、同じ内容が再び高らかに歌われることになるのです。

『フィデリオ』、および交響曲を中心とするベートーヴェンの作品が、音楽史の流れを革命的に変えたことは、もはや言うまでもありません。しかし現代の社会は、「偉大なベートーヴェン」に慣れてしまい、私たちに語りかけるベートーヴェンの力強い本質にはいまだ到達できていないように思われます。『フィデリオ』が作曲されたのは、ヨーロッパにおける時代の大きな転換期でした。私たちも今、同じような転換期に生きています。新国立劇場20周年という節目こそ、彼の唯一のオペラの内容に改めて深く切り込むべき時、と考え、世界のオペラの次世代を担う特別な演出家であるカタリーナ・ワーグナーに演出を依頼しました。皆さまとともに『フィデリオ』の真の奥深さに徹底的に迫り、私の新国立劇場オペラ芸術監督としての4年間を締めくくりたいと思います。

新国立劇場オペラ芸術監督 飯守泰次郎

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飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第312回定期演奏会
〜ブラームス交響曲全曲演奏シリーズI(2018/1/20)〜
によせて
−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。1/20は、東京シティ・フィルの定期演奏会です。 東京シティ・フィルとはこれまで、ベートーヴェン全交響曲ツィクルス(2回)をはじめ、ハイドン、メンデルスゾーン、シューベルト、シューマン、ブルックナー等の交響曲に長い時間をかけて共に取り組んできました。ブラームスも、かつて2001年に「ハイドン・ブラームス・シリーズ」 として1年をかけて全交響曲を演奏しました。
このたび、今年と来年の2年がかりで「ブラームス交響曲全曲演奏シリーズ」として、改めてブラームスの交響曲に集中して取り組むことといたしました。その第1回として1/20は、第2番ニ長調と第4番ホ短調の2曲を組み合わせて演奏いたします。 なお、音楽的判断にもとづき、やはりブラームスの創作の順に従い、コンサートの前半に交響曲第2番、後半に第4番の順で演奏することといたしました。創作の深まりをより一層感じていただける、と思います。

東京シティ・フィルは、コンサートマスターの戸澤哲夫さんを筆頭に、私が常任指揮者を務めていた頃から蓄積してきた豊かな経験を土台に、今も変わらず私の音楽をとても良く理解してくださいます。近年の若々しい新たな楽員の方々のパワーもあいまって、非常に集中したリハーサルが進んでいます。

交響曲第2番は、後期ロマン派の交響曲ではあるのですが、 一方で作品のすべてがいわば自然現象ともいえる、特別な魅力を持っています。中でも第2楽章は、この楽章ならではの音のキャラクターというべきものがあり、特にロマンティックで深く厚い響きが求められる、難しい楽章です。

交響曲第4番は、ウィーン古典派の伝統を受け継いで生涯にわたり古典的な作風を重んじたブラームスの円熟の極みであり、彼の最後の交響曲です。第4楽章ではバロック時代の「パッサカリア」という形式が厳格に用いられて、ブラームスの作曲技法の粋が多彩な変奏に注ぎ尽くされます。全曲を通じて、充実した低音とひときわ分厚い響きが必要です。

ブラームスに限らずどんな作曲家でも大切なことは、弾く(吹く)前に、自分の出す音を想像し、心からその音を求めることです。
そもそも、何もないところに音楽を生み出す作曲家は、心の中でその音を想像して作曲しています。そして演奏家も、まだ存在していない音を生み出す、という意味でやはり作曲家と同じように、これから生まれる音を、演奏する前に想像することは全く当然なことなのです。
そしてもうひとつ大切なのは、後期ロマン派の大きなオーケストラであっても、お互いに聴き合うことです。

このようなことを大切にして培ってきた、私とシティ・フィルならではの響きにさらに磨きをかけて、ブラームスの交響曲をお楽しみいただきたいと思います。オペラシティで、皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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2018年を迎えて〜新年のご挨拶〜
−飯守泰次郎−

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新国立劇場メインエントランスにて
〜草月流家元 勅使河原茜氏によるウェルカムフラワーとともに
新国立劇場メインエントランスにて
〜草月流家元  勅使河原茜氏によるウェルカムフラワーとともに

飯守泰次郎です。ホームページをご覧くださっている皆様、明けましておめでとうございます。どのように新年をお迎えになられたでしょうか。

新年最初のコンサートは、大阪の豊中市立文化芸術センター開館1周年を記念する、オペラ・ガラ・コンサート(1/7)です。日本を代表するオペラ歌手の方々と共に、バラエティ豊かなオペラの名曲をお贈りします。オーケストラは、ここ数年でご一緒する機会が続いている日本センチュリー交響楽団です。

今年は、2014年秋から務めてきた新国立劇場オペラ芸術監督としての任期を締めくくる年になります。4月からは新たに、仙台フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任することも大変楽しみです。

新国立劇場で芸術監督として指揮する最後のプロダクションとなる「フィデリオ」(カタリーナ・ワーグナーによる新演出/5〜6月)をはじめ、仙台フィルの定期演奏会(6月、11月)東京シティ・フィルとのブラームス交響曲ツィクルス(1/20)関西フィルと続けているブルックナー全交響曲ツィクルス(3/31)、そして各地での様々なコンサートで、皆様をお迎えできることを心から楽しみにしております。
今年は戌年、でもやはりネコ年?
今年は戌年、でもやはりネコ年?

 

飯守泰次郎

 
 
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