メッセージ:2019年1月〜  

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深セン
にて〜2019年6月

(「セン」は「土」へんに「川」)
−飯守泰次郎−

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私の後ろの高いビルは115階建て!
私の後ろの高いビルは115階建て!

飯守泰次郎です。昨夜のNHKEテレ「クラシック音楽館〜伝説の名演奏〜」をご覧くださった皆様、どうもありがとうございました。

私がバイロイト音楽祭の音楽助手を務めていた頃のことについて取材を受ける機会は多いのですが、これまではたまたまピエール・ブーレーズやダニエル・バレンボイムに関して聞かれることが多く、ホルスト・シュタインについて聞かれたことはあまりありませんでした。
今回の取材を受けて、シュタインのリハーサルや演奏について色々改めて考える貴重な機会ともなりました。

シュタインとはバイロイト音楽祭で出会い、『ニーベルングの指環』のアシスタントをして徹底的に鍛えられただけでなく、マンハイムやハンブルクの歌劇場でもご一緒することが多かったので、最も多くの時間を共有し影響を受けた指揮者、といっても過言ではありません。
彼は厳しい指揮者ではありましたが同時にユーモアに溢れた人だったので、「一緒にたくさん仕事をした」というよりも、「一緒にたくさん遊んだ」ような気もします。

今回の番組がきっかけとなって、シュタインの演奏を実際に聴く機会のなかった若い世代の方々にも、彼の素晴らしい音楽を知っていただくことができるのなら、私も嬉しく思います。

ホテルでの勉強風景
ホテルでの勉強風景
さて、6/28に中国の深セン交響楽団の「Classic Belt Series」と題されたコンサートを指揮するために、今週から深センに来ております。 深センは中国南部・広東省の大都市で、中心部は写真のとおり超高層ビルが林立しており、最先端の町並みに圧倒されています。

今回のコンサートのプログラムは、前半がブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番ト短調で、ソリストはYang Tianwaさんです。後半はブルックナーの交響曲第7番ホ長調です。 また後ほど、リハーサルの様子などもお伝えできればと思います。

 

飯守泰次郎

 

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日本フィルハーモニー交響楽団との演奏会に寄せて
〜第113回さいたま定期(5/24)、第347回横浜定期(5/25)、
杉並公会堂シリーズ2019-2020第1回(5/26)〜

−飯守泰次郎−

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日フィル杉並公会堂シリーズ公演の完売御礼ポスター

飯守泰次郎です。本日から3日連続で、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会を指揮します。

日フィルは各地域に根差した地道な活動に特に力を入れているオーケストラで、今回の3公演も、5/24 は「さいたま定期」(さいたま市大宮区のソニックシティ大ホール)、 「横浜定期」(横浜市のみなとみらい大ホール)、「杉並公会堂シリーズ」(東京都杉並区)、という各地で、同じプログラムを演奏いたします。

曲目は、ベートーヴェンの序曲『レオノーレ』第3番に続いて、ピアノ独奏に上原彩子さんをお迎えしてシューマンのピアノ協奏曲、そして後半は「運命」で、まさにドイツ音楽の真髄を満喫していただける作品が並んでおります。

ベートーヴェンが、唯一の歌劇『フィデリオ』のために4曲もの序曲を書いたことは、このホームページでも何度かご説明してまいりました。
苦心の挙句にようやく到達したこの『レオノーレ』第3番は、極めて完成度が高く、歌劇『フィデリオ』の精神と内容を見事に凝縮しています。


素晴らしいシューマンを3日間ご一緒できた上原彩子さんと
素晴らしいシューマンを3日間ご一緒できた上原彩子さんと
シューマンは、ベートーヴェンが確立したドイツの交響曲の伝統を継承しようとして大変苦しんだ作曲家です。残された作品はいずれも彼独特の素晴らしい魅力がありますが、特にこのピアノ協奏曲は、古今のすべてのピアノ協奏曲の中でも特別な名曲です。
日本を代表するピアニストのお一人として大活躍されている上原彩子さんと初共演が叶い、大変楽しみです。

日フィルとはもう長いお付き合いで、ドイツ音楽を中心に定期的にご一緒しています。私の意を汲んでパワフルに演奏してくださるオーケストラで、「運命」もどうぞご期待ください。各地のホールで、皆様のお越しをお待ちしております。


コンサートマスターを務めてくださった千葉清加さんと           
            今回の3公演でコンサートマスターを務めてくださった
千葉清加さんと
 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第328回定期演奏会(2019/5/17,18)によせて

−飯守泰次郎−

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ベートーヴェン「運命」
ベートーヴェン「運命」(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 


飯守泰次郎です。5月17日と18日の仙台フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会に向けて、仙台でリハーサルを重ねております。 今回はコンサートの前半がベートーヴェンの「田園」、後半が「運命」というプログラムです。

この対照的な2つの交響曲が、同じ時期に並行して作曲されたことは、不思議なようでもありますが、ベートーヴェンはむしろ、2つの全く異なる作品に取り組むことで創造のバランスを保っていたのかもしれません。似たようなことは他の作曲家にもあり、ブラームスが「悲劇的序曲」と「大学祝典序曲」を同時に作曲していたこともそのひとつの例です。

交響曲第6番「田園」は、ベートーヴェンの交響曲の中でもひときわ豊かな内容を持つ偉大な作品であり、私もまだ思春期のころから特別な愛着を感じてまいりました。この作品は、1809年に「運命」と同じ演奏会で初演されたことが知られています。

交響曲第5番「運命」は、ハ短調からハ長調へ、苦悩を経て勝利へ、という、まさにベートーヴェンを代表する名曲といえます。彼は天才でありながら、実生活においては、乱暴な父親、経済的困窮、恋愛における挫折、作曲家として致命的な聴覚喪失、などの逆境と闘い続け、壮絶な人生を送りました。逆境を闘い抜いた彼独特の強い精神力と、ゲルマン的な見事な構成力を象徴する交響曲なのです。

仙台フィルの常任指揮者就任以来、ベートーヴェンをひとつの柱としており、昨年は交響曲第2番、第3番というプログラムを演奏しました。今回もまた交響曲2曲という非常に凝縮したプログラムですが、仙台フィルは若々しいエネルギーと新鮮な集中力をもって取り組んでくれています。

2日ある定期演奏会のうち、5/18土曜日のチケットはすでに完売とのことで、多くのお客様がいらしてくださることを大変嬉しく思います。皆様のお越しを、新緑に囲まれた日立システムズホール仙台でお待ちしております。

***

(以下、5月20日追記)
おかげさまで両日とも、お客様の大変熱い拍手をいただいて定期演奏会を終えることができました。どうもありがとうございました。

このたびの演奏につきまして、少し補足させていただきます。上掲の舞台写真の通り、今回もコントラバスを正面横一列に配したセッティングといたしました。この配置は、特に古典派の音楽を、コンパクトで響きの良い日立システムズホールで演奏する場合に最適であり、「仙台フィル・スタイル」として定着させたいと思っております。

今回は、「運命」「田園」ともにベーレンライター版の楽譜を使用し、テンポもいわば「快速」で演奏いたしました。また「運命」の第3楽章は中間部のあとダ・カーポして(冒頭に戻って繰り返して)演奏しましたが、これは「交響曲第4番および第6番の第3楽章にダ・カーポがあるように、第5番もダ・カーポすべき」というベーレンライター版の解釈に基づき判断いたしました。

ベートーヴェンに限らず、特に古典派の演奏スタイルには現在さまざまな潮流があります。いずれにせよ、作曲家の音楽的発想を尊重し、ホールやオーケストラの個性も考慮して最良の判断を追求することは、実際に鳴り響く音を構築する演奏家の務めであると考えております。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルとのCDによせて
〜「新たな『新世界』の発見」〜

−飯守泰次郎−

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仙台フィルとの「新世界」CDジャケット

(4/3の当CD発売に際して寄せた文章を、このホームページをご覧くださる皆様もすぐお読みいただけるように、以下に掲載いたします)

***

このCDに収録された「新世界」の演奏に際し、私は改めて自筆譜に立ち戻って細部まで慎重に検討しました。その結果、今まで一般的に演奏され、聴かれてきた演奏譜に、多くのミスや見落とし等の問題があることがわかりました。

「新世界」の初版がヨーロッパで出版された当時、ドヴォルジャーク本人はアメリカ在住だったことに加え、作曲家自身によると思われる誤りも少なくなかったため、初版の段階から他者によって多数の「修正」が施されました。その後も多くの校訂者が出現し、さまざまな箇所の音程やリズムについて、極端にいえばありがた迷惑とも言える「修正」が施されたまま演奏されてきたのです。

今回、自筆譜に照らして妥当と判断した箇所を訂正して演奏した結果、私自身もいわば“新たな「新世界」”を発見でき、非常に新鮮な気持ちになりました。皆様も是非、従来との違いを聴き比べていただき、私と仙台フィルの新たな発見を共にお楽しみいただければ嬉しく思います。

 

飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団第299回定期演奏会
〜ブルックナー交響曲全曲ツィクルス第9回(2019/3/31)に向けて

−飯守泰次郎−

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ブルックナーのオーケストラ編成は巨大
ブルックナーのオーケストラ編成は巨大
飯守泰次郎です。 関西フィルとのブルックナー全交響曲ツィクルスの第9回(3/31)に向けて、連日リハーサル中です。

このツィクルスは、私が関西フィルの桂冠名誉指揮者に就任した2011年から始まり、1年に1曲ずつ9年間、時間をかけて熟成させながら積み重ねてきました。現代は、あらゆる物事がますます高速で処理される時代になっています。しかし、本当に価値あるものを作り上げるには本来、時間がかかるものです。

交響曲第9番の第1楽章冒頭は、まさに葬送の音楽です。そして、他の交響曲にはないデモーニッシュな響きを経て、第3楽章の終結部では天国に昇るような安らぎに至ります。聖書の「ヨハネの黙示録」を思わせる、劇的で終末的な、特別な音楽です。

ブルックナーは、この交響曲の第3楽章のアダージョを書き終えて亡くなり、永遠に未完のままとなりましたが、私はこの曲がアダージョで終わるのは必然的だと思うようになりました。
関西フィルとのリハーサル
関西フィルとのリハーサル

コンサートの前半には、ヴェロニカ・エーベルレさんをお迎えして、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」を演奏いたします。ブルックナーの偉大な交響曲と組み合わせるプログラムとして、やはりモーツァルトは最もふさわしい作曲家だと思います。

3/31のこのコンサートは、すでにだいぶ前から全席完売となり、私と関西フィルの長い道のりを共に歩んでくださるお客様が回を追うごとに増えてきたことを実感し、大きな励みとなっております。
今回とりあげる交響曲第9番はブルックナーが書いた最後の交響曲なので、私たちのこのツィクルスもこれで完結すると思われる方もあるようですが、来年以降も引き続き、ぜひ第0番、さらに第00番も演奏したいと考えています。
皆様のお越しを、ザ・シンフォニーホールでお待ちしております。

終演後に関西フィル コンサートマスターの岩谷祐之さんと
終演後に  コンサートマスターの岩谷祐之さんと

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルの歓送迎会

−飯守泰次郎−

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仙台フィル指揮者の角田鋼亮さんと
仙台フィル指揮者の角田鋼亮さんと

飯守泰次郎です。先日、仙台市内で行われた仙台フィルハーモニー管弦楽団の歓送迎会にお招きいただきました。

今回は歓送迎会ということで、今年度(去年の4月から)揃って就任した常任指揮者の私、レジデントコンダクダーの高関健さん、指揮者の角田鋼亮さんの三人も新入りとして歓迎していただきました。(高関健さんは今回ご欠席)

角田鋼亮さんは10年ほど前、私が指揮するワーグナーの楽劇の現場で副指揮者として大活躍して演奏を支えてくださいました。こうして仙台フィルで再会し同じオーケストラと仕事ができることがとても嬉しく、また頼もしく思っています。

仙台フィルの草創期から約40年ご活躍されてきたオーボエの鈴木繁さん、チェロの石井忠彦さん、トランペットの持田眞さんがこの3月で退団されるとのことで、団員、事務局の方々総出演、しかもそれぞれご自身の楽器と違う楽器を弾いて、歌って踊って仮装して、という大変な盛り上がりで、思い出話や笑い話が楽しく編集された動画が映写され、事務局も含めた団内の団結力と仲の良さを実感するひとときでした。
仙台フィルの皆さんの持つこのような「表現する喜び」は大変素晴らしいです。こうした日常での表現は、演奏家としての舞台に直結します。私も指揮者として様々なオーケストラとお付き合いしてまいりましたが、ここまで楽しい手作りの出し物が溢れた会は初めてで、大変感激しました。

仙台フィルは、いつも舞台裏も活気が溢れていて団内の結束が固い特別なオーケストラです。今回の歓送迎会にはまさに仙台フィルの素晴らしさが現れていました。これからも、仙台フィルとの共演がますます楽しみです。私が次に指揮する仙台フィルの演奏会は5/17(金)、18(土)の第328回定期で、プログラムは「田園」「運命」です(日立システムズホール仙台)。 仙台〜東京間は新幹線で1時間半しかかかりませんので、仙台近郊以外の方々もぜひ聴きにいらしていただきたいと思います。 まもなく4月3日には、昨年11月定期のライヴCD「新世界」も発売されます。これからも仙台フィルを、どうぞよろしくお願いいたします。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第325回定期演奏会(2019/2/8,9)によせて

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シューベルト「ザ・グレート」
シューベルト「ザ・グレート」(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 


飯守泰次郎です。2月8日と9日は、仙台フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会です。

ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第1番 独奏:堤剛さん
ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第1番
独奏:堤剛さん(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
今回のプログラムは、前半がショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番変ホ長調で、堤剛さんをお迎えします。 後半はシューベルトの第8番ハ長調「ザ・グレート」(前には第9番とされていた頃もありました)です。

堤剛さんとは桐朋学園時代からなので、もう気付けば50年以上のお付き合いになります。チェリストとしてまさに重鎮そのものであり、精力的に活躍を続ける彼と、ショスタコーヴィチの素晴らしい協奏曲で共演できることを嬉しく思います。

昨春、仙台フィルの常任指揮者に就任して以来、ベートーヴェンを柱として名曲に改めて取り組んでおります。シューベルトの「ザ・グレート」については、もはや申し上げることもない、交響曲の歴史の中でも最も偉大な作品のひとつです。

今回のコンサートでは、仙台フィルの定期演奏会場である日立システムズホールという、美しい響きをもつ中規模のホールでこの曲を演奏するのに適した配置を考え抜いた結果、コントラバスをオーケストラの奥に横一列に配して演奏いたします。リハーサルをしていて、やはりこの配置はこのホールの響きととても相性が良いので、ぜひ皆様、聴きにいらしてください!

皆様のお越しを、日立システムズホールで心よりお待ちしております。

堤夫妻と
            
            終演後、堤ご夫妻と


 

飯守泰次郎

 

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新交響楽団第243回演奏会『トリスタンとイゾルデ』によせて

−飯守泰次郎−

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終演後、ソリストの皆さんと
終演後、ソリストの皆さんと
 

飯守泰次郎です。 1/20は新交響楽団の演奏会でワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』を抜粋・演奏会形式で演奏いたします。

新響 とは以前、『ワルキューレ』第1幕全曲や『ニーベルングの指環』ハイライトに取り組み、2006年には『トリスタンとイゾルデ』の第1、2、3幕から聴きどころを抜粋して演奏しました(いずれも演奏会形式)。
今回は2006年とは異なる抜粋で、第1幕の前奏曲、第2幕全曲、第3幕第3場を演奏します。 特に第2幕は、しばしばカットされる「光の対話」とよばれる部分も含めてノーカットで全曲をお聴きいただきます。

池田香織さんと二塚直紀さんと
池田香織さん(イゾルデ)と二塚直紀さん(トリスタン)と
イゾルデは池田香織さん、トリスタンは二塚直紀さん、マルケ王は佐藤泰弘さん、ブランゲーネに金子美香さん、クルヴェナールに友清崇さん、メロート今尾滋さん、といった、国内のワーグナー上演の中心的存在である素晴らしい歌い手の皆さんと共演できることも楽しみです。
歌手の皆さんと10月から歌稽古を重ね、新響とも11月からリハーサルを積み重ねてきました。

ワーグナーの楽劇では、オーケストラが主体となって登場人物の心理や物語の背景などを表現する部分も多くあります。 しかも『トリスタンとイゾルデ』は、男女の愛そのものを扱う非常に内面的な作品です。愛の局面をさまざまに象徴する示導動機(ライトモティーフ)を、オーケストラの楽員全員が理解し、意思をもって演奏して初めて、物語の状況や登場人物の心情がお客様に伝わるのです。
私も新響も、まさに総力をもって演奏するコンサートになります。皆様のお越しを東京芸術劇場でお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第321回定期演奏会
〜ブラームス交響曲全曲演奏シリーズII(2019/1/11)〜によせて

−飯守泰次郎−

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ティアラこうとうでのリハーサル
ティアラこうとうでのリハーサル

飯守泰次郎です。新年おめでとうございます。皆様どのようにお正月をお過ごしになられたでしょうか。今年も、皆様とコンサートホール等でお目にかかれることを楽しみにしております。

2019年最初のコンサートは、1/11の東京シティ・フィルの定期演奏会です。 昨年1月と今回の2回を「ブラームス交響曲全曲演奏シリーズ」として、ブラームスの交響曲に集中して取り組み、第2回の今回は第3番ヘ長調と第1番ハ短調の2曲を演奏いたします。

プログラムの前半に演奏する交響曲第3番は、ブラームスの中でも特別な魅力のある作品で、古典的な様式を重視した交響曲としての構築性と、室内楽のような繊細さの両面をあわせ持っています。4つの交響曲の中で最も転調が自由で、フランス音楽の印象派を思わせるような響きも特徴的です。

ブラームスが、最初の交響曲であるこの第1番を完成したのは実に43歳のことでした。ベートーヴェンの後継者としての自覚と重圧に苦悩し、20年もの歳月を要したのです。ゲルマン的な強い表現と、聴く者を限りなく優しいロマン的な世界へ連れていくような表現との極端なコントラストは、まさにドイツの交響曲の伝統をベートーヴェンから見事に継承しています。 しかし同時に、特に第2、3楽章の、さまざまな楽器が常に関わり合って次々と音色が変わる絶妙な楽器法は、まさにブラームス独自の天才的な部分です。

私と東京シティ・フィルは、2001年の「ハイドン・ブラームス・チクルス」を始めとしてブラームスの全交響曲、および「ドイツ・レクイエム」などの主要作品を長い時間をかけて共演を重ねてきました。そして今回のシリーズに、改めて非常に新鮮な気持ちで臨んでいます。 コンサートマスターの戸澤哲夫さんをはじめとする楽員の皆さんも、新鮮な好奇心と高い集中力をもって私の音楽を一緒に追求してくれていますので、明日のオペラシティ、どうぞご期待ください。

 

飯守泰次郎

 
 
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