メッセージ:2019年1月〜  

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日本センチュリー交響楽団第240回定期演奏会(2019/11/14)によせて
−飯守泰次郎−

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ユッセン兄弟と
絶妙に息の合った
ルーカスさん(左・兄)とアルトゥールさん(右・弟)のユッセン兄弟と共に


飯守泰次郎です。11/14は日本センチュリー交響楽団の定期演奏会を指揮いたします。曲目は、 ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲に続いて、モーツァルトの「3台のピアノのための協奏曲」ヘ長調 K.242を2台ピアノ版で、ルーカス・ユッセンさんとアルトゥール・ユッセンさんの兄弟デュオをお迎えして演奏します。
今年はR.シュトラウス没後70年にあたり、大阪の4つのオーケストラが連携してそれぞれ彼の作品をとりあげているとのことで、私たちは楽劇「ばらの騎士」組曲を演奏します。 さらに「ばらの騎士」の前に、ワーグナーの「リエンツィ」序曲、「ローエングリン」第1幕への前奏曲を組み合わせてお届けします。

先日から大阪で連日リハーサルを重ね、若さに溢れる日本センチュリー交響楽団の皆さんが、この盛り沢山のプログラムに非常に一生懸命に取り組んでくださっていますので、ぜひザ・シンフォニーホールにいらしてください。 バラエティ豊かなコンサートをお楽しみいただけると思います。皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第331回定期演奏会 第1夜(2019/10/25)の本番を終えて

−飯守泰次郎−

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細川俊夫さんと
”オーケストラのための「開花II」”のリハーサルを終えて、細川俊夫さんと

本日は大雨の中、コンサートにいらしてくださった皆様、本当にありがとうございました。まだご帰宅途中の方々もいらっしゃるかと思います。どうかくれぐれもお気を付けて、ご無事を祈っております。

度重なる台風と豪雨等で今回の定期演奏会にご来場がかなわない方々にも思いを寄せながら、音楽を通じて皆様と勇気を分かち合いたいと思います。
明日の仙台のお天気は回復する見込みとのことで、どうか皆様のお越しを心からお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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ホームページをご覧の皆様へ
仙台フィルハーモニー管弦楽団
第331回定期演奏会(2019/10/25,26)によせて(下)

−飯守泰次郎−

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〔(上)から続く〕

◆ブルックナーの交響曲の特徴

ブルックナーの交響曲は、00番と呼ばれる習作から、未完成に終わった第9番まで、全11曲あります。それらの作品には共通したいくつかの特徴があります。こうした特徴は、彼が教会の名オルガニストであったことと深く関わっていると思います。

「ブルックナー開始」:
全曲の冒頭が、ごく弱音の弦楽器によるトレモロで始まることが多く、これは「原始霧」とも呼ばれます。交響曲第4番「ロマンティック」もブルックナー開始で始まりますので、最初は特に耳を澄ましていただければと思います。おそらくブルックナーの心の中には巨大なカテドラル(教会堂)があり、その巨大な空間をppの弦楽器のトレモロの響きで満たして、テーマの出現を準備する、という彼独特の着想だと私は思っています。

「ブルックナー・ユニゾン」:
オーケストラの全奏によるユニゾン(すべての楽器で同じ音を演奏すること)がしばしばあります。カテドラルいっぱいに響くオルガンの音をオーケストラで実現しようとするとこうなる、ともいえるかもしれません。

「ブルックナー休止」:
大音量で演奏していたオーケストラが突然止まり、しばらく長い休止が続きます。オルガンを弾き切ったあと、カテドラルにこだまする残響が消えて静かになるまでの時間を思わせる、特徴的な休止です。

「ブルックナー・クレッシェンド」:
ブルックナーでは、長いクレッシェンドに伴って、だんだんテンポを速くすることがしばしば求められます。通常の交響曲ならば基本的には一定のテンポで演奏されます。しかしブルックナーの場合はテンポの設定がかなり自由に揺れ動きます。これは、彼が自分一人でオルガンを即興的に弾いている感覚で作曲しているからではないか、と思います。

「聖なる野人」:
ブルックナーの交響曲のスケルツォ楽章は、しばしば「聖なる野人」という例えで愛されています。若い頃は修道院で農作業にも従事し、大食漢で、晩年になっても若い小娘に夢中になるような、人間ブルックナーの別の面がスケルツォには強烈に出ています。生き生きとした民族的な踊りや狩りの情景など親しみやすい音楽で、他の楽章とはっきりしたコントラストをなしているのもブルックナーの大きな魅力なのです。

◆巨大な響きの宇宙に身を任せて

今回演奏する第4番「ロマンティック」は、ブルックナーの交響曲の中では比較的コンパクトで(70分程度)演奏機会も多く、ブルックナー・ファン以外の方にも人気のある名曲です。
ブルックナーと組み合わせることのできる作品は限られるのですが、今回は私の大好きな細川俊夫さんの”オーケストラのための「開花II」”を演奏できることも大変嬉しく思っております。細川さんの音楽は、いわゆる現代音楽を超えた普遍的な内容を持っており、日本の自然観に立脚して静謐さと恐ろしいほど劇的なエネルギーが見事に表現されています。仙台フィルの誇る高い機能性と幅広い音色のパレットをお楽しみいただける作品、と思い選曲いたしました。

ブルックナーの交響曲を仙台フィルのお客様にお聴きいただくにあたって、なんらかの手がかりにしていただけるならば、と思ったことをお伝えしてまいりました。 ブルックナーの交響曲は、人間的な感情を超えた宇宙的な世界、精神性の世界、いわば「祈り」の世界を表現しており、だからこそ長くスケールも大きい、といえます。

オーケストラという巨大な楽器が奏でる音楽の中には、極端に言えば、この世が創造されて以来のすべての宇宙、自然、人類の歴史が含まれている、と常々私は思っております。このオーケストラの魅力を最大限に堪能いただけるのが、ブルックナーの交響曲なのです。
どうか、ぜひ演奏会にお越しください。そして、私がお伝えしたようなことは演奏が始まったらすべて忘れて、ただただブルックナーの音楽から生まれる巨大な響きの宇宙に身を任せていただければ、と思います。皆様の御来場を心よりお待ち申し上げております。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第331回定期演奏会(2019/10/25,26)によせて(上)

−飯守泰次郎−

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飯守泰次郎です。明日10/25と明後日10/26は、仙台フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会です。ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」を、細川俊夫さんの「開花II」と組み合わせたプログラムでお送りいたします。
この演奏会に寄せる私の思いは、先日トップページでもお知らせいたしました仙台フィルのホームページへの寄稿文に凝縮してお伝えしております。私のこのホームページをご覧くださる方にもすぐお読みいただけるように、(上)(下)の2回に分けて順次掲載いたします。長い文章になりますが、ぜひお読みいただければと思います。

*** 仙台フィルハーモニー管弦楽団ホームページへの寄稿記事

「仙台フィル2019年10月定期に寄せて(上) 〜飯守泰次郎(指揮)」

仙台フィルを応援してくださる皆様、オーケストラがお好きな皆様、音楽を愛するすべての皆様、こんにちは!飯守泰次郎です。
仙台フィルの常任指揮者に就任して、早くも1年半が過ぎました。若々しいパワーと好奇心に溢れ、結束して音楽に心身を投じる仙台フィルとご一緒でき、私も毎回新鮮な刺激と特別な喜びを与えられております。

常任指揮者に就任して以来、ベートーヴェンを柱とするプログラムに継続的に取り組んでいます。クラシック音楽で最も大切なことはやはり、作曲家の意思を聴衆の皆様にお伝えすることです。200年経ってますます輝きを増すベートーヴェンの音楽の価値を、21世紀のここ仙台ならではの取り組みで新たに掘り下げたい、と考え、年間のプログラム全体を見渡して毎回の曲目を組み立てております。

きたる第331回定期演奏会(10/25,26)は、いよいよブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」を演奏いたします。

◆純粋音楽としての交響曲を書いた最後の作曲家・ブルックナー

西洋音楽における交響曲の歴史は、ハイドン、モーツァルトによって古典的な形式が確立されました。そしてベートーヴェンは、古典的な形式から出発し、交響曲第3番「英雄」(昨年6月定期で演奏)以降一気に発展して、後のロマン派、そして劇音楽にもつながる内容を持つようになります。

続くシューベルト、シューマン、ブラームスといった作曲家たちは、ベートーヴェンの交響曲という不倒の高みを乗り越えるために非常に苦しみ、その苦悩は非常に素晴らしいドイツ・ロマン派の交響曲群として実を結びました。今年の2月定期では、こうした交響曲の歴史における最高の頂点の一つであるシューベルトの「ザ・グレート」をお聴きいただきました。

19世紀後半の後期ロマン派以降は、ワーグナー、マーラー、リヒャルト・シュトラウス等、劇的な音楽や文学的な標題にもとづく音楽が主流となっていきます。そのような時代の中で、ハイドン、モーツァルトからシューベルトと続いてきた純粋音楽(ドラマや標題によらず、ただ音楽それのみで成り立つ音楽)としての交響曲を書いた最後の作曲家が、ブルックナーなのです。

◆ブルックナーの人柄と作風

オーストリアの寒村で生まれ、修道院の聖歌隊員であったブルックナーは、生涯を通じて非常に敬虔なカトリック信者でした。やがて教会のオルガニストとなり、特に即興演奏の名手として知られるようになります。

宗教的な合唱曲、ミサ曲などを作曲していた彼は、ウィーンの音楽院で作曲科の教授になった後、40歳を過ぎてから突然、巨大な交響曲を次々と書き始めます。
ブルックナーの交響曲というと、まず「長い」というイメージをお持ちの方は多いと思います。たしかに1時間を超える大掛かりな作品がほとんどで、オーケストラの編成も大きく、それまでの交響曲の規模をはるかに超えています。

一方でブルックナーは、周囲に意見されると曲をすぐ改訂してしまう弱気なところがありました。「長すぎる」と言われて「はい」と改訂するけれども、次の作品はさらに長くなっている…というまことに不思議な作曲家なのです。

そもそも作曲家というと、モーツァルト、ブラームス、リスト、ショパン、あるいはワーグナー…いずれも相応の洗練された服装や整えられた髪形の肖像画で、深い内面性や強い意志が伝わってくる表情で描かれています。
しかし、ブルックナーは無造作で凡庸な坊主頭、修道僧のような質素な服装というだけでなく、そもそも身なりに無関心で、しばしば右足と左足に違う靴を履いていて気づかなかったと言われています。数字に異様にこだわり、作曲家として高名になってからも、水玉模様の服を着た貴婦人を見ると駆け寄って水玉の数を数え始めるなど、洗練された振舞とは程遠い奇妙な性癖がいくつもあり、周囲や弟子たちを悩ませました。

作曲家らしくない、世間や時代から遊離した変った人柄と、巨大で深遠な彼の交響曲は、一見するとまったく結びつきません。しかしこの想像を絶するギャップにこそ、音楽の神秘、創造活動の偉大さがあるように私には思われるのです。

◆ワーグナーとブルックナー

ブルックナーの交響曲の内容を特徴づけるのは、その純粋さと宗教性です。
彼は、同時代の劇音楽の巨匠であるワーグナーを深く尊敬し、強い影響を受けました。ブルックナーの楽器の使い方や、和音と調性の扱いなど、いわば音楽の作り方は、ワーグナーから多くを学んでおり、ハッとするほど響きの共通性があります。それでいて、音楽の内容は劇音楽と純粋音楽、と全く対照的なのです。

たとえばワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』は、転調と半音を多用して、調性が人間の感情に与える作用を最大限に使いこなして男女の内面的なドラマを究極的に表現しました。
一方、ブルックナーの交響曲の緩徐楽章(アダージョなどのゆっくりした楽章)も、同様に転調や半音が多用され、深い宗教性とともに後期ロマン派的な官能性が感じられます。しかしブルックナーの表現は人間のスケールをはるかに超えており、ロマン派的というよりいわばゴチック的に、純粋に音楽による宇宙の表現に到達している、といえます。 彼にとって作曲という行為は神と自分の対話に他ならず、おそらく世の中のことは全く考えずに、ひたすらに自分の内的な欲求のみに従って作曲していたのでしょう。

〔(下)に続く〕

 

飯守泰次郎

 

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フレッシュ名曲コンサート/
オーケストラ with バレエ“アルルの女” (2019/10/6) によせて

−飯守泰次郎−

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「1812年」のリハーサル
「1812年」のリハーサル

飯守泰次郎です。10/6はティアラこうとうで「フレッシュ名曲コンサート/オーケストラ with バレエ“アルルの女”」を指揮いたします。

ティアラこうとうで毎年10月恒例のこの公演は、「フレッシュ名曲コンサート」と題して「身近なホールでオーケストラを楽しむ」「次代を担う音楽家を支援する」「名曲を気軽に楽しむ」という目的で、東京都歴史文化財団(東京文化会館)が各地域の団体との共催で開催しているシリーズです。

まず第1部として、チャイコフスキーの名曲をお送りします。序曲「1812年」、そしてまさにフレッシュなピアニスト西村翔太郎さんをお迎えしてピアノ協奏曲第1番変ロ短調を演奏いたします。

第2部は、すでに約20年近く続いているティアラこうとうのオリジナルで人気の「オーケストラ with バレエ」のシリーズとなります。共にティアラこうとうを拠点とする、東京シティ・フィルと東京シティ・バレエ団が共演し、ビゼーの「アルルの女」第1組曲、第2組曲を、石井清子先生の演出、振付で上演いたします。私にとってもバレエ団と共演できる機会は少ないので、とても楽しみにしているコンサートなのです。ぜひ、皆様のお越しをお待ちしています。

 

飯守泰次郎

 

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第23回京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート
(2019/9/15)に向けて
−飯守泰次郎−

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森麻季さんと
森麻季さんと(終演後に)

飯守泰次郎です。9/15は、「第23回 京都の秋 音楽祭」の幕開けとなる「開会記念コンサート」を指揮いたします。

前半は、ソプラノの森麻季さんをお迎えしてオペラ・アリアの名曲、後半はワーグナーの『ニーベルングの指環』から管弦楽による名場面集、という華やかなプログラムです。

森麻季さんは、これまでも何度か共演しており、いうまでもなく日本を代表する超人気ソプラノでいらっしゃいます。今回も森さんのレパートリーから、モーツァルト、ビゼー、プッチーニの名アリアを歌っていただけるので、とても楽しみです。
後半のワーグナーでは、京都市交響楽団の若々しくパワフルな表現と豪華なサウンドを存分に味わっていただきたいと思います。

このコンサートは、発売とほぼ同時に全席完売とのことで、満員のお客様にお聴きいただけることは演奏家として最高の喜びです。皆様のお越しを、京都コンサートホールでお待ちしております。

 

飯守泰次郎

(この公演は全席完売しております)


 

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「真夏のレクイエムこうとう2019」
ヴェルディ『レクイエム』(8/18)によせて
−飯守泰次郎−

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終演後、ソリストの皆様と
終演後、ソリストの皆様と
 

飯守泰次郎です。ティアラこうとうでは2010年から「真夏の第九」 として、公募の合唱団によって毎夏、第九が演奏されてきました。 2017年からは「真夏のレクイエム」と題し、同様に公募の合唱団でモーツァルト「レクイエム」(2017)、ブラームス「ドイツ・レク イエム」(2018)、そして今年はヴェルディの「レクイエム」に挑戦します。

この「ティアラこうとう真夏のレクイエム合唱団」は、毎年特に発声に重点をおいて活動しており、今回も昨年の秋から丁寧に練習を 積み重ねてきました。先日からソリストの横山恵子さん、金子美香さん、望月哲也さん、大沼徹さんも加わり、東京シティ・フィルとともに、猛暑に負けず集中したリハーサルを連日続けております。
ティアラこうとうでのリハーサル
ティアラこうとうでのリハーサル
ヴェルディの「レクイエム」では、この作品の代名詞のように知られている「ディエス・イレ」(怒りの日)の音楽が、全曲の中で一度ならず何度も再現されるので、これがすべてのように思われてしまいがちですが、決してそうではありません。全曲にわたって内容の豊かな素晴らしい名曲です。

もちろんヴェルディ自身がこの「ディエス・イレ」の音楽にかなり の重心を置いていることは、明らかです。神が天から降りてきて人々が裁かれる“怒りの日”は、キリスト 教の信仰におけるひとつの中心であり、厳格なクリスチャンだったヴェルディの信仰の強さが、大太鼓の打撃が繰り返される強烈な表現となっているのです。まるで聴衆に対して「罪の意識を持て」と訴えるかのようなヴェルディの心情が、ひしひしと伝わってくるように思われてなりません。

ヴェルディはワーグナーと同じ1813年生まれで、イタリアとドイツのオペラの巨匠としてそれぞれ最高の頂点を築きました。 ヴェルディの音楽にはワーグナーとはまた異なる難しさがあり、それは非常な純粋さが求められる、ということです。
合唱の発声の美しさ、ティアラこうとうの美しい響きと空間を活かすことを追求してきた、この「真夏の」シリーズにふさわしい演奏をお聴きかせしたいと思います。皆様のお越しを心からお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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サロン・ド・ティアラ2019 ”ヴェルディ「レクイエム」の世界”(7/27)
〜「真夏のレクイエムこうとう2019」(8/18)に向けて〜
−飯守泰次郎−

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多くのお客様がお越しくださいました
多くのお客様がお越しくださいました

飯守泰次郎です。7/27は、江東区文化コミュニティ財団とティアラこうとう主催の講座「サロン・ド・ティアラ〜舞台芸術をもっと楽しむつどい」というシリーズに登壇し、”ヴェルディ「レクイエム」の世界”と題してレクチャーを行いました。

来月8/18の「真夏のレクイエムこうとう2019〜ヴェルディ『レクイエム』」公演に向けたレクチャーということで、まず東京シティ・フィル楽団長の志田明子さんが作品の構成や成立の背景などを解説してくださいました。
私は、この作品の最大の特徴として、オペラの歴史の頂点ともいえるオペラ作曲家ヴェルディが書いた「レクイエム」である、ということをお話ししました。 レクイエムというと、もう少ししめやかな曲が多い中で、ヴェルディの「レクイエム」はドラマティックでオペラ的で、強烈な表現が多く、オーケストレーションも大変派手なのです。

聴きどころを弾き語りでレクチャー
聴きどころを弾き語りでレクチャー

そして、駆け足ではありますが主要な聴きどころを実際に私が弾き語りしながら、ご説明しました。
台風に伴う大雨の予報にもかかわらずいらしてくださった多くのお客様が、非常に集中して耳を傾けてくださいました。
講義の最後には活発にご質問もいただき、この作品について皆様とご一緒に考えを深めることができました。

「真夏のレクイエム合唱団」とのリハーサルもすでに始めており、8/18の公演がますます楽しみです。8月半ばの暑い時期ではございますが、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団第303回定期演奏会(2019/7/12)
メンデルスゾーン オラトリオ「エリア」によせて

−飯守泰次郎−

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終演後、ソリストの皆様と
終演後、ソリストの皆様と
 


飯守泰次郎です。7/12は関西フィルの定期演奏会で、メンデルスゾーンのオラトリオ「エリア」(エリアス)を指揮いたします。

メンデルスゾーンは非常に愛されている作曲家で、交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」、ヴァイオリン協奏曲、「夏の夜の夢」等の作品はとてもよく演奏されます。こうした名曲以上に彼の作品で最も貴重なのは、宗教音楽の分野の作品である、と私は常々考えています。
特にオラトリオ「聖パウロ」、そしてその10年後に作曲された「エリア」の二つの大作こそ、彼の最高の作品だと思います。

「エリア」は旧約聖書を題材としたオラトリオで、紀元前9世紀に現われた預言者エリアスが主役です。メンデルスゾーンの、ユダヤ人としての血と、キリスト教的な深い信仰と、二つの情熱がほとばしる素晴らしい音楽で、初演当時から大成功を収めました。

当時の政治権力にそそのかされていたイスラエルの民衆を救おうと命懸けで戦う勇敢なエリアス、その一方、軽率な民衆に歓迎されては裏切られて孤独に苦しみ、神に助けを乞う人間的で弱いエリアス、という両面が見事に表現されています。
干ばつに苦しむ民衆を救うために異教の神と対決するエリアスの勇気と祈りの力、ついに雨が降るシーン、あるいは天から火が降ってくるシーンの描写など、メンデルスゾーンの見事なオーケストレーションと音楽に身を任せて堪能していただきたいと思います。

オペラをもしのぐほどの長時間の劇的な歌唱が求められる難役、エリアスを歌うバリトンの与那城 敬さんをはじめ、ソプラノの石橋栄実さん、アルトの福原寿美枝さん、テノールの畑儀文さんという素晴らしいソリストをお迎えしております。関西フィルハーモニー合唱団と、関西フィルも、2015年に「聖パウロ」を演奏した経験をさらに発展させて取り組んでくれています。
この圧倒的な感銘をもたらす作品に皆で身を投じて演奏いたします。 ザ・シンフォニーホールへ皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第68回ティアラ定期演奏会(2019/7/6)に向けて

−飯守泰次郎−

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藤田真央さんと「皇帝」のリハーサル
藤田真央さんと「皇帝」のリハーサル
飯守泰次郎です。7/6は東京シティ・フィルの第68回ティアラこうとう定期演奏会で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と、交響曲第3番「英雄」、というプログラムを指揮いたします。

ソリストには、まさに先週、チャイコフスキー国際コンクール第2位に入賞して帰国されたばかりの若きスター、藤田真央さんをお迎えします。
フレッシュな藤田さんのピアノと、約20年にわたり私とベートーヴェンを共に演奏してきた東京シティ・フィルとの、最良の意味での音楽的な「ぶつかり合い」を、ぜひお楽しみいただければと思います。

シティ・フィルと「英雄」のリハーサル
シティ・フィルと「英雄」のリハーサル

「英雄」は、冒頭の2つの和音でもって、それまでのハイドン、モーツァルトの時代から脱却して全く新しい音楽の時代を切り拓いた作品です。この和音を聴いた初演当時の人々にとっては、おそらくあり得ないほどの衝撃だったに違いありません。この革新的な交響曲の内容を新鮮にお伝えできるよう、リハーサルを重ねております。
東京シティ・フィルは、コンサートマスターの戸澤哲夫さんを筆頭に、献身的な情熱と使命感をもって私の音楽を共に実現してくれるオーケストラです。特に「英雄」は、シティ・フィルと演奏を積み重ねてきた数多くのレパートリーの中でも、中核となる作品のひとつです。

終演後に藤田真央さんと
終演後に藤田真央さんと
慣れ親しんだ美しくなつかしいティアラこうとうの響きの中で、不動の名曲プログラムをお聴かせできることを幸せに思います。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

(※お知らせ:この公演は全席完売しております)


 

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深セン交響楽団とのコンサートを終えて
(「セン」は「土」へんに「川」)
−飯守泰次郎−

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Schenzen Concert Hall 外観
Shenzhen Concert Hall 外観
 

Shenzhen Concert Hallのホワイエ
Shenzhen Concert Hallのホワイエ

飯守泰次郎です。深セン交響楽団との共演(2019/6/28)を終えて帰国いたしました。
ヨーロッパから帰ってくると東京が実に色々な音と色彩に溢れていると感じるのですが、今回、中国の活気ある喧噪と街並みから戻ってみると、東京がとても静かな街のように感じられます。

コンサートの本番は、Yangさんとのブルッフを楽しみ、プログラムの後半ではブルックナーらしい悠久とした息の長いフレーズ感や、音色のコントラストを表現することができました。楽員の皆さんもこの大曲に取り組み一所懸命演奏してくれて、大変嬉しく思いました。

会場のShenzhen Concert Hallは、透明な光に包まれた外観と、まるで巨大なクモの巣のようなモダンなホワイエをもつホールで、周辺の華美な高層ビル街と競い合うかのようで、まさに深センらしい風景です。コンサート後に撮った写真も含め、いくつかご紹介します。

ホール周辺の高層ビルはライトアップされていて、しかも全体がプロジェクション・マッピングの映像のように絵と色がどんどん変化します。ピカピカした夜景が次々と変わっていく様子は、まさしく最先端の町です。

経済の発展でエネルギーに溢れる深センの街で過ごした約一週間は、私にとっても大変新鮮な経験となりました。この後まもなく8月にも、今度は北京で指揮をするために再び中国に行くので、また大変楽しみです。

コンサートでいただいた素敵な花かごと           
            コンサートでいただいた素敵な花かごと
高層ビルのライトアップ          
            ホール前から見た高層ビルのライトアップ(プロジェクション・マッピング)が次々変化します

 

飯守泰次郎

 

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深セン交響楽団Classic Belt Series 17
「《一帯経典》系列十七」(2019/6/28)に寄せて
(「セン」は「土」へんに「川」)
−飯守泰次郎−

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Shenzhen Concert HallでのGP
Shenzhen Concert HallでのGP

飯守泰次郎です。間もなく本日6/28の晩、深セン交響楽団の「Classic Belt Series」と題するコンサート・シリーズを指揮いたします。ステージリハーサルを終えてホテルに戻ってきました。一休みして、開演は当地の20時です。

今夜のプログラムは、前半がブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番ト短調、後半はブルックナーの交響曲第7番ホ長調です。

昨日のゲネプロは、本番会場であるShenzhen Concert Hall(深セン音楽庁)で行われました。写真はブルッフのリハーサルの様子です。
このホールはご覧の通り、ワインヤード形式でパイプオルガンも備えた重厚で豪華なホールです。
ソリストのYang Tianwaさん(私の左)と、深セン交響楽団のメンバーと
ソリストのYang Tianwaさん(私の左)と、深セン交響楽団のメンバーと
ソリストのYangさんは、ドイツでのコンサートを終えて帰国したばかりで、非常に自由でしなやかにブルッフを演奏されており、本番が楽しみです。

深センは、数十年前まで小さな漁村だったそうですが、改革解放政策で経済特区に指定されて以来劇的に発展して2000万人以上の大都市となり、中国を代表する企業も深センに本社を構えています。深セン交響楽団もまさにこの街にふさわしい、若く、パワフルなオーケストラです。

エネルギーに溢れたここ深センの街で、素晴らしいホールで演奏できることを大変嬉しく思います。

深センの日没           
            深センの日没

 

飯守泰次郎

 

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深セン
にて〜2019年6月

(「セン」は「土」へんに「川」)
−飯守泰次郎−

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私の後ろの高いビルは115階建て!
私の後ろの高いビルは115階建て!

飯守泰次郎です。昨夜のNHKEテレ「クラシック音楽館〜伝説の名演奏〜」をご覧くださった皆様、どうもありがとうございました。

私がバイロイト音楽祭の音楽助手を務めていた頃のことについて取材を受ける機会は多いのですが、これまではたまたまピエール・ブーレーズやダニエル・バレンボイムに関して聞かれることが多く、ホルスト・シュタインについて聞かれたことはあまりありませんでした。
今回の取材を受けて、シュタインのリハーサルや演奏について色々改めて考える貴重な機会ともなりました。

シュタインとはバイロイト音楽祭で出会い、『ニーベルングの指環』のアシスタントをして徹底的に鍛えられただけでなく、マンハイムやハンブルクの歌劇場でもご一緒することが多かったので、最も多くの時間を共有し影響を受けた指揮者、といっても過言ではありません。
彼は厳しい指揮者ではありましたが同時にユーモアに溢れた人だったので、「一緒にたくさん仕事をした」というよりも、「一緒にたくさん遊んだ」ような気もします。

今回の番組がきっかけとなって、シュタインの演奏を実際に聴く機会のなかった若い世代の方々にも、彼の素晴らしい音楽を知っていただくことができるのなら、私も嬉しく思います。

ホテルでの勉強風景
ホテルでの勉強風景
さて、6/28に中国の深セン交響楽団の「Classic Belt Series」と題されたコンサートを指揮するために、今週から深センに来ております。 深センは中国南部・広東省の大都市で、中心部は写真のとおり超高層ビルが林立しており、最先端の町並みに圧倒されています。

今回のコンサートのプログラムは、前半がブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番ト短調で、ソリストはYang Tianwaさんです。後半はブルックナーの交響曲第7番ホ長調です。 また後ほど、リハーサルの様子などもお伝えできればと思います。

 

飯守泰次郎

 

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日本フィルハーモニー交響楽団との演奏会に寄せて
〜第113回さいたま定期(5/24)、第347回横浜定期(5/25)、
杉並公会堂シリーズ2019-2020第1回(5/26)〜

−飯守泰次郎−

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日フィル杉並公会堂シリーズ公演の完売御礼ポスター

飯守泰次郎です。本日から3日連続で、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会を指揮します。

日フィルは各地域に根差した地道な活動に特に力を入れているオーケストラで、今回の3公演も、5/24 は「さいたま定期」(さいたま市大宮区のソニックシティ大ホール)、 「横浜定期」(横浜市のみなとみらい大ホール)、「杉並公会堂シリーズ」(東京都杉並区)、という各地で、同じプログラムを演奏いたします。

曲目は、ベートーヴェンの序曲『レオノーレ』第3番に続いて、ピアノ独奏に上原彩子さんをお迎えしてシューマンのピアノ協奏曲、そして後半は「運命」で、まさにドイツ音楽の真髄を満喫していただける作品が並んでおります。

ベートーヴェンが、唯一の歌劇『フィデリオ』のために4曲もの序曲を書いたことは、このホームページでも何度かご説明してまいりました。
苦心の挙句にようやく到達したこの『レオノーレ』第3番は、極めて完成度が高く、歌劇『フィデリオ』の精神と内容を見事に凝縮しています。


素晴らしいシューマンを3日間ご一緒できた上原彩子さんと
素晴らしいシューマンを3日間ご一緒できた上原彩子さんと
シューマンは、ベートーヴェンが確立したドイツの交響曲の伝統を継承しようとして大変苦しんだ作曲家です。残された作品はいずれも彼独特の素晴らしい魅力がありますが、特にこのピアノ協奏曲は、古今のすべてのピアノ協奏曲の中でも特別な名曲です。
日本を代表するピアニストのお一人として大活躍されている上原彩子さんと初共演が叶い、大変楽しみです。

日フィルとはもう長いお付き合いで、ドイツ音楽を中心に定期的にご一緒しています。私の意を汲んでパワフルに演奏してくださるオーケストラで、「運命」もどうぞご期待ください。各地のホールで、皆様のお越しをお待ちしております。


コンサートマスターを務めてくださった千葉清加さんと           
            今回の3公演でコンサートマスターを務めてくださった
千葉清加さんと
 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第328回定期演奏会(2019/5/17,18)によせて

−飯守泰次郎−

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ベートーヴェン「運命」
ベートーヴェン「運命」(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 


飯守泰次郎です。5月17日と18日の仙台フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会に向けて、仙台でリハーサルを重ねております。 今回はコンサートの前半がベートーヴェンの「田園」、後半が「運命」というプログラムです。

この対照的な2つの交響曲が、同じ時期に並行して作曲されたことは、不思議なようでもありますが、ベートーヴェンはむしろ、2つの全く異なる作品に取り組むことで創造のバランスを保っていたのかもしれません。似たようなことは他の作曲家にもあり、ブラームスが「悲劇的序曲」と「大学祝典序曲」を同時に作曲していたこともそのひとつの例です。

交響曲第6番「田園」は、ベートーヴェンの交響曲の中でもひときわ豊かな内容を持つ偉大な作品であり、私もまだ思春期のころから特別な愛着を感じてまいりました。この作品は、1809年に「運命」と同じ演奏会で初演されたことが知られています。

交響曲第5番「運命」は、ハ短調からハ長調へ、苦悩を経て勝利へ、という、まさにベートーヴェンを代表する名曲といえます。彼は天才でありながら、実生活においては、乱暴な父親、経済的困窮、恋愛における挫折、作曲家として致命的な聴覚喪失、などの逆境と闘い続け、壮絶な人生を送りました。逆境を闘い抜いた彼独特の強い精神力と、ゲルマン的な見事な構成力を象徴する交響曲なのです。

仙台フィルの常任指揮者就任以来、ベートーヴェンをひとつの柱としており、昨年は交響曲第2番、第3番というプログラムを演奏しました。今回もまた交響曲2曲という非常に凝縮したプログラムですが、仙台フィルは若々しいエネルギーと新鮮な集中力をもって取り組んでくれています。

2日ある定期演奏会のうち、5/18土曜日のチケットはすでに完売とのことで、多くのお客様がいらしてくださることを大変嬉しく思います。皆様のお越しを、新緑に囲まれた日立システムズホール仙台でお待ちしております。

***

(以下、5月20日追記)
おかげさまで両日とも、お客様の大変熱い拍手をいただいて定期演奏会を終えることができました。どうもありがとうございました。

このたびの演奏につきまして、少し補足させていただきます。上掲の舞台写真の通り、今回もコントラバスを正面横一列に配したセッティングといたしました。この配置は、特に古典派の音楽を、コンパクトで響きの良い日立システムズホールで演奏する場合に最適であり、「仙台フィル・スタイル」として定着させたいと思っております。

今回は、「運命」「田園」ともにベーレンライター版の楽譜を使用し、テンポもいわば「快速」で演奏いたしました。また「運命」の第3楽章は中間部のあとダ・カーポして(冒頭に戻って繰り返して)演奏しましたが、これは「交響曲第4番および第6番の第3楽章にダ・カーポがあるように、第5番もダ・カーポすべき」というベーレンライター版の解釈に基づき判断いたしました。

ベートーヴェンに限らず、特に古典派の演奏スタイルには現在さまざまな潮流があります。いずれにせよ、作曲家の音楽的発想を尊重し、ホールやオーケストラの個性も考慮して最良の判断を追求することは、実際に鳴り響く音を構築する演奏家の務めであると考えております。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルとのCDによせて
〜「新たな『新世界』の発見」〜

−飯守泰次郎−

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仙台フィルとの「新世界」CDジャケット

(4/3の当CD発売に際して寄せた文章を、このホームページをご覧くださる皆様もすぐお読みいただけるように、以下に掲載いたします)

***

このCDに収録された「新世界」の演奏に際し、私は改めて自筆譜に立ち戻って細部まで慎重に検討しました。その結果、今まで一般的に演奏され、聴かれてきた演奏譜に、多くのミスや見落とし等の問題があることがわかりました。

「新世界」の初版がヨーロッパで出版された当時、ドヴォルジャーク本人はアメリカ在住だったことに加え、作曲家自身によると思われる誤りも少なくなかったため、初版の段階から他者によって多数の「修正」が施されました。その後も多くの校訂者が出現し、さまざまな箇所の音程やリズムについて、極端にいえばありがた迷惑とも言える「修正」が施されたまま演奏されてきたのです。

今回、自筆譜に照らして妥当と判断した箇所を訂正して演奏した結果、私自身もいわば“新たな「新世界」”を発見でき、非常に新鮮な気持ちになりました。皆様も是非、従来との違いを聴き比べていただき、私と仙台フィルの新たな発見を共にお楽しみいただければ嬉しく思います。

 

飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団第299回定期演奏会
〜ブルックナー交響曲全曲ツィクルス第9回(2019/3/31)に向けて

−飯守泰次郎−

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ブルックナーのオーケストラ編成は巨大
ブルックナーのオーケストラ編成は巨大
飯守泰次郎です。 関西フィルとのブルックナー全交響曲ツィクルスの第9回(3/31)に向けて、連日リハーサル中です。

このツィクルスは、私が関西フィルの桂冠名誉指揮者に就任した2011年から始まり、1年に1曲ずつ9年間、時間をかけて熟成させながら積み重ねてきました。現代は、あらゆる物事がますます高速で処理される時代になっています。しかし、本当に価値あるものを作り上げるには本来、時間がかかるものです。

交響曲第9番の第1楽章冒頭は、まさに葬送の音楽です。そして、他の交響曲にはないデモーニッシュな響きを経て、第3楽章の終結部では天国に昇るような安らぎに至ります。聖書の「ヨハネの黙示録」を思わせる、劇的で終末的な、特別な音楽です。

ブルックナーは、この交響曲の第3楽章のアダージョを書き終えて亡くなり、永遠に未完のままとなりましたが、私はこの曲がアダージョで終わるのは必然的だと思うようになりました。
関西フィルとのリハーサル
関西フィルとのリハーサル

コンサートの前半には、ヴェロニカ・エーベルレさんをお迎えして、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」を演奏いたします。ブルックナーの偉大な交響曲と組み合わせるプログラムとして、やはりモーツァルトは最もふさわしい作曲家だと思います。

3/31のこのコンサートは、すでにだいぶ前から全席完売となり、私と関西フィルの長い道のりを共に歩んでくださるお客様が回を追うごとに増えてきたことを実感し、大きな励みとなっております。
今回とりあげる交響曲第9番はブルックナーが書いた最後の交響曲なので、私たちのこのツィクルスもこれで完結すると思われる方もあるようですが、来年以降も引き続き、ぜひ第0番、さらに第00番も演奏したいと考えています。
皆様のお越しを、ザ・シンフォニーホールでお待ちしております。

終演後に関西フィル コンサートマスターの岩谷祐之さんと
終演後に  コンサートマスターの岩谷祐之さんと

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルの歓送迎会

−飯守泰次郎−

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仙台フィル指揮者の角田鋼亮さんと
仙台フィル指揮者の角田鋼亮さんと

飯守泰次郎です。先日、仙台市内で行われた仙台フィルハーモニー管弦楽団の歓送迎会にお招きいただきました。

今回は歓送迎会ということで、今年度(去年の4月から)揃って就任した常任指揮者の私、レジデントコンダクダーの高関健さん、指揮者の角田鋼亮さんの三人も新入りとして歓迎していただきました。(高関健さんは今回ご欠席)

角田鋼亮さんは10年ほど前、私が指揮するワーグナーの楽劇の現場で副指揮者として大活躍して演奏を支えてくださいました。こうして仙台フィルで再会し同じオーケストラと仕事ができることがとても嬉しく、また頼もしく思っています。

仙台フィルの草創期から約40年ご活躍されてきたオーボエの鈴木繁さん、チェロの石井忠彦さん、トランペットの持田眞さんがこの3月で退団されるとのことで、団員、事務局の方々総出演、しかもそれぞれご自身の楽器と違う楽器を弾いて、歌って踊って仮装して、という大変な盛り上がりで、思い出話や笑い話が楽しく編集された動画が映写され、事務局も含めた団内の団結力と仲の良さを実感するひとときでした。
仙台フィルの皆さんの持つこのような「表現する喜び」は大変素晴らしいです。こうした日常での表現は、演奏家としての舞台に直結します。私も指揮者として様々なオーケストラとお付き合いしてまいりましたが、ここまで楽しい手作りの出し物が溢れた会は初めてで、大変感激しました。

仙台フィルは、いつも舞台裏も活気が溢れていて団内の結束が固い特別なオーケストラです。今回の歓送迎会にはまさに仙台フィルの素晴らしさが現れていました。これからも、仙台フィルとの共演がますます楽しみです。私が次に指揮する仙台フィルの演奏会は5/17(金)、18(土)の第328回定期で、プログラムは「田園」「運命」です(日立システムズホール仙台)。 仙台〜東京間は新幹線で1時間半しかかかりませんので、仙台近郊以外の方々もぜひ聴きにいらしていただきたいと思います。 まもなく4月3日には、昨年11月定期のライヴCD「新世界」も発売されます。これからも仙台フィルを、どうぞよろしくお願いいたします。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団
第325回定期演奏会(2019/2/8,9)によせて

−飯守泰次郎−

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シューベルト「ザ・グレート」
シューベルト「ザ・グレート」(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 


飯守泰次郎です。2月8日と9日は、仙台フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会です。

ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第1番 独奏:堤剛さん
ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第1番
独奏:堤剛さん(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
今回のプログラムは、前半がショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番変ホ長調で、堤剛さんをお迎えします。 後半はシューベルトの第8番ハ長調「ザ・グレート」(前には第9番とされていた頃もありました)です。

堤剛さんとは桐朋学園時代からなので、もう気付けば50年以上のお付き合いになります。チェリストとしてまさに重鎮そのものであり、精力的に活躍を続ける彼と、ショスタコーヴィチの素晴らしい協奏曲で共演できることを嬉しく思います。

昨春、仙台フィルの常任指揮者に就任して以来、ベートーヴェンを柱として名曲に改めて取り組んでおります。シューベルトの「ザ・グレート」については、もはや申し上げることもない、交響曲の歴史の中でも最も偉大な作品のひとつです。

今回のコンサートでは、仙台フィルの定期演奏会場である日立システムズホールという、美しい響きをもつ中規模のホールでこの曲を演奏するのに適した配置を考え抜いた結果、コントラバスをオーケストラの奥に横一列に配して演奏いたします。リハーサルをしていて、やはりこの配置はこのホールの響きととても相性が良いので、ぜひ皆様、聴きにいらしてください!

皆様のお越しを、日立システムズホールで心よりお待ちしております。

堤夫妻と
            
            終演後、堤ご夫妻と


 

飯守泰次郎

 

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新交響楽団第243回演奏会『トリスタンとイゾルデ』によせて

−飯守泰次郎−

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終演後、ソリストの皆さんと
終演後、ソリストの皆さんと
 

飯守泰次郎です。 1/20は新交響楽団の演奏会でワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』を抜粋・演奏会形式で演奏いたします。

新響 とは以前、『ワルキューレ』第1幕全曲や『ニーベルングの指環』ハイライトに取り組み、2006年には『トリスタンとイゾルデ』の第1、2、3幕から聴きどころを抜粋して演奏しました(いずれも演奏会形式)。
今回は2006年とは異なる抜粋で、第1幕の前奏曲、第2幕全曲、第3幕第3場を演奏します。 特に第2幕は、しばしばカットされる「光の対話」とよばれる部分も含めてノーカットで全曲をお聴きいただきます。

池田香織さんと二塚直紀さんと
池田香織さん(イゾルデ)と二塚直紀さん(トリスタン)と
イゾルデは池田香織さん、トリスタンは二塚直紀さん、マルケ王は佐藤泰弘さん、ブランゲーネに金子美香さん、クルヴェナールに友清崇さん、メロート今尾滋さん、といった、国内のワーグナー上演の中心的存在である素晴らしい歌い手の皆さんと共演できることも楽しみです。
歌手の皆さんと10月から歌稽古を重ね、新響とも11月からリハーサルを積み重ねてきました。

ワーグナーの楽劇では、オーケストラが主体となって登場人物の心理や物語の背景などを表現する部分も多くあります。 しかも『トリスタンとイゾルデ』は、男女の愛そのものを扱う非常に内面的な作品です。愛の局面をさまざまに象徴する示導動機(ライトモティーフ)を、オーケストラの楽員全員が理解し、意思をもって演奏して初めて、物語の状況や登場人物の心情がお客様に伝わるのです。
私も新響も、まさに総力をもって演奏するコンサートになります。皆様のお越しを東京芸術劇場でお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第321回定期演奏会
〜ブラームス交響曲全曲演奏シリーズII(2019/1/11)〜によせて

−飯守泰次郎−

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ティアラこうとうでのリハーサル
ティアラこうとうでのリハーサル

飯守泰次郎です。新年おめでとうございます。皆様どのようにお正月をお過ごしになられたでしょうか。今年も、皆様とコンサートホール等でお目にかかれることを楽しみにしております。

2019年最初のコンサートは、1/11の東京シティ・フィルの定期演奏会です。 昨年1月と今回の2回を「ブラームス交響曲全曲演奏シリーズ」として、ブラームスの交響曲に集中して取り組み、第2回の今回は第3番ヘ長調と第1番ハ短調の2曲を演奏いたします。

プログラムの前半に演奏する交響曲第3番は、ブラームスの中でも特別な魅力のある作品で、古典的な様式を重視した交響曲としての構築性と、室内楽のような繊細さの両面をあわせ持っています。4つの交響曲の中で最も転調が自由で、フランス音楽の印象派を思わせるような響きも特徴的です。

ブラームスが、最初の交響曲であるこの第1番を完成したのは実に43歳のことでした。ベートーヴェンの後継者としての自覚と重圧に苦悩し、20年もの歳月を要したのです。ゲルマン的な強い表現と、聴く者を限りなく優しいロマン的な世界へ連れていくような表現との極端なコントラストは、まさにドイツの交響曲の伝統をベートーヴェンから見事に継承しています。 しかし同時に、特に第2、3楽章の、さまざまな楽器が常に関わり合って次々と音色が変わる絶妙な楽器法は、まさにブラームス独自の天才的な部分です。

私と東京シティ・フィルは、2001年の「ハイドン・ブラームス・チクルス」を始めとしてブラームスの全交響曲、および「ドイツ・レクイエム」などの主要作品を長い時間をかけて共演を重ねてきました。そして今回のシリーズに、改めて非常に新鮮な気持ちで臨んでいます。 コンサートマスターの戸澤哲夫さんをはじめとする楽員の皆さんも、新鮮な好奇心と高い集中力をもって私の音楽を一緒に追求してくれていますので、明日のオペラシティ、どうぞご期待ください。

 

飯守泰次郎

 
 
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