メッセージ:2020年4月〜6日  

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東京交響楽団第681回定期および川崎定期第76回を終えて

−飯守泰次郎−

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田部京子さんと
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番を終えて 田部京子さんと〜ソーシャル・ディスタンシング!
 

コンマス 水谷晃さんと
東京交響楽団コンサートマスター 水谷晃さんと
 

飯守泰次郎です。 おかげさまで東京交響楽団の定期演奏会2公演(6/26サントリーホール、6/28ミューザ川崎シンフォニーホール)を無事に終えることができました。
ご来場くださった皆様、また ニコニコチャンネル「ニコニコ東京交響楽団(ニコ響)」による配信を通じてご視聴くださった14,000人以上の皆様、どうもありがとうございました。ニコ響による配信は7/5まで視聴可能とのことですので、遠方および様々なご事情やご懸念でご来場いただけなかった皆様にもぜひご覧いただければと思います。

約4ヶ月ぶりのコンサート、しかもマスクをして出演するというのは私も初めてのことでしたが、東京交響楽団の楽員の皆さんが本当に頑張ってくださいました。1席ずつ空席をはさんで市松模様に客席を埋めてくださったお客さまも、本当に集中して聴いてくださっていることが舞台にもひしひしと伝わってきました。

誰も経験したことのない状況で、非常に特別な雰囲気の中でのコンサートでした。ホワイエ、客席から楽屋に至るまで、ソーシャルディスタンシングを始めとしてオーケストラの事務局の方々もホールの方々も細心の注意を払われていて、私も演奏に集中することができ、深く感謝しております。

これから日本全国のオーケストラも、それぞれの検討と熟慮を重ねた上で順次演奏活動を再開していく段階に入っております。皆様もぜひコンサートホールにお運びいただければと願っております。

飯守泰次郎

 

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東京交響楽団第681回定期(6/26サントリーホール) および
川崎定期第76回(6/28ミューザ川崎シンフォニーホール)に向けて

−飯守泰次郎−

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ミューザ川崎シンフォニーホールでのリハーサル
ミューザ川崎シンフォニーホールでのリハーサル

飯守泰次郎です。 先日このホームページのNEWSでお知らせの通り、東京交響楽団の今月の定期演奏会(6/26サントリーホール、および6/28ミューザ川崎シンフォニーホールの計2公演) を指揮することになりました。

このたびのコロナ禍により、私たちの想像もしなかった事が次々に起こり、世界中のオーケストラが長い活動休止を余儀なくされてまいりましたが、 ようやく新たなリハーサルの日を迎えることができました。 舞台のセッティングを始め、楽屋から客席に至るまで徹底した準備と対策をしてこの日に臨んでくださっている 東京交響楽団とミューザ川崎シンフォニーホールの皆様に深く感謝しております。

今回のプログラムは前半2曲がベートーヴェンの作品で「プロメテウスの創造物」序曲とピアノ協奏曲第3番ハ短調、後半はメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」という、古典派〜初期ロマン派の王道ともいえる素晴らしいプログラムです。 協奏曲のソリストには、これまでもベートーヴェンを始めとして数多く共演している田部京子さんをお迎えでき、とても嬉しく思います。

舞台の上のオーケストラの配置は、周到な検討と考慮を重ねた結果、もちろん従来よりは奏者間の空間を少し広く取ってはいますが、 リハーサルをしている上で音楽的な支障は特に感じられません。 これまでもそうであったように、オーケストラの編成とホールの響きの中で良いバランスを作り、作品の内容を掘り下げてお伝えできるように力を尽くしております。
東京交響楽団の楽員の皆さんも、待ち望んだリハーサル再開を迎えて実に生き生きと演奏してくださっています。

6/26はサントリーホールで、そして6/28はミューザ川崎シンフォニーホールで、皆様にお目に掛かれることを心より楽しみにしております。遠方の方やホールにいらっしゃることに懸念がおありの方も、6/28の公演はニコニコチャンネル「ニコニコ東京交響楽団(ニコ響)」開設記念として無料ライブ配信される予定ですので、ぜひご視聴いただければと思います。

周到にセッティングされた舞台でリハーサル
周到にセッティングされた舞台でリハーサル
 

飯守泰次郎

※当2公演のチケット販売は終了しました。当日券の販売はございません。

 


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追悼
期待のワーグナー・テノール 二塚直紀さんの急逝を悼んで

−飯守泰次郎−

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Skypeでオランダとディスカッション
二塚直紀さん〜2016年7月 関西フィル「トリスタンとイゾルデ」第3幕 トリスタン役
 

飯守泰次郎です。コロナ禍でコンサートが軒並み中止になる直前の今年2/22、私が指揮した東京シティ・フィルの定期演奏会「ミサ・ソレムニス」で素晴らしいテノール・ソロを歌ってくださったばかりの二塚直紀さんが、4月23日に急逝されました。あまりにも突然の訃報であり、言葉を失うほかありませんでした。

二塚さんの存在が最初に強く印象に残ったのは、関西フィルのドイツ・オペラ・シリーズ『ナクソス島のアリアドネ』(2005年)の舞踏教師役です。2007年の関西二期会公演でも同じ舞台教師役で共演、美しく恵まれた声質を活かしつつ、歌いながら動き回る舞踏教師役としての身のこなしも見事でした。

2011年に関西フィルで『ジークフリート』第1幕を上演することになったとき、難役ミーメを、舞踏教師をあれだけ見事に演じてくれた二塚さんにぜひお願いしたい、と思い切って彼を抜擢しました。 ミーメ役は言葉の数が非常に多く動きも激しく、しかも第1幕はほとんど出ずっぱりの大役であり、無謀ともいえる挑戦でしたが、彼は1年間かけてミーメ役に全力を注ぎ、本当に頑張ってくれました。 そして、初役にもかかわらず驚くほど立派なミーメを本番で表現してくれました。

このミーメ役での大成功が、彼が日本を代表するワーグナー歌手への道を確実に歩み始める大きなきっかけのひとつだったかと思います。
そして2016年の関西フィル『トリスタンとイゾルデ』第3幕、2019年にも新交響楽団で『トリスタンとイゾルデ』(抜粋・演奏会形式)で見事なトリスタンを歌ってくれました。 今年も2月のシティ・フィルに続いて9月には仙台フィルでも「ミサ・ソレムニス」を歌ってもらう予定でしたし、 中止になってしまいましたが5/30の大阪国際フェスティバルではジークフリート役の招聘歌手ミカエル・ヴェイニウスさんのカヴァーを依頼していました。

日本でこれだけワーグナーが歌えるテノール歌手はごく少数で、私だけでなく音楽界のすべても聴衆も、彼にどれほど期待していたことでしょう。 いよいよ、これからはカヴァーでなく本役でジークフリートを歌っていこう、という時期が熟した時に、その道が突然閉ざされた彼の無念は計り知れません。これから日本全国で彼に重要な役をたくさん歌ってもらえる、と思っていた矢先の突然のご逝去で、私も本当に悲しく残念でなりません。

「びわ湖ホール四大テノール」としても活躍し、ファンのみならず同僚からも深く愛された彼の姿を、6/1までの限定公開でびわ湖ホールのYouTubeからご覧いただけるとのことです。 また、彼と一緒に歌ってきたびわ湖ホール声楽アンサンブルの皆さんが彼に捧げる歌(ピアノ伴奏は沼尻竜典さん)も公開され、動画の後半では彼の様々な舞台姿がご覧いただけます。
彼の歌唱をご存じのかたも、まだご存じでなかったかたも、ぜひご覧いただきたいと思います。

 

飯守泰次郎

 

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〜2020年4月 新型コロナ危機の中で〜

−飯守泰次郎−

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Skypeでオランダとディスカッション
Skypeでオランダとディスカッション
 

飯守泰次郎です。猛威をふるう新型コロナウィルスに苦しむすべての方に、お見舞いを申し上げます。医療の最前線で闘ってくださる皆様、様々な現場で私たちの生活を支えてくださっている皆様が守られ、日常が失われて不安あるいは絶望の中におられる方々に1日でも早く希望がもたらされることをお祈り致します。

予定されていたコンサートやリハーサルが次々にキャンセルになっていますが、私たち音楽家もこの試練を乗り越え、芸術の世界がより深いものになることを願ってやみません。

私自身、今年で80歳という高齢になり、今はとにかく養生に努めておりますが、それと同時に、オペラや交響曲について旧知の音楽学者のMaarten Zweers氏との研究を再開しております。
この仕事は、私がコンサートで忙しくて長らく中断していたのですが、いまは日本とオランダをSkype動画でつなぐことができるので、このところ連日のようにブラームスの交響曲について彼と議論しています。

Zweers氏の研究は大変徹底したもので、すでに4日間議論していますが、いまだにブラームスの交響曲第1番の第1楽章が終わりません。交響曲4曲を終わる頃にはこの世界的なコロナ危機もきっと収束している、と思えるほどです。彼との研究は尽きることがなく、私の音楽をさらに深く、熟成させてくれます。コンサートが再開できた暁には、より深化した音楽をお聴かせできると確信しています。

偉大な芸術作品は、人類と地球の未来に対する叡智を示してくれます。そして、変えられないと思っていたことを今こそ思いきって変えていくことが、この危機を乗り越えて新しい時代を切り拓くことにつながる、と私は思っています。
皆様とコンサートホールで再びお会いできる日を、心から待ち望んでおります。

 

飯守泰次郎

 
 
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