メッセージ:2022年1月〜12月
 

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2022年の年の瀬によせて

−飯守泰次郎−

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12/28 東京文化会館
12/28 東京シティ・フィル 第九特別演奏会(東京文化会館)(Photo: c K.miura)
 


飯守泰次郎です。昨夜、東京シティ・フィルの第九特別演奏会にお越しくださった皆様、共演してくださったソリストの皆様、オーケストラ、東京シティ・フィル・コーアの皆様、どうもありがとうございました。おかげさまで、今年はご依頼いただいたすべてのコンサートを、なんとか無事に予定通り終えることができました。

この私のホームページで、今年の前半に指揮した9回のコンサートについて私のメッセージを掲載できずにおりましたので、時間が経ってしまって恐縮ですがここで簡単にご報告したいと思います。

   

ザ・シンフォニカ リハーサル
ザ・シンフォニカのリハーサル(1/14)



1月30日はザ・シンフォニカの第71回演奏会で、チャイコフスキーの「イタリア奇想曲」、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」、そしてチャイコフスキーの交響曲第5番を演奏しました(すみだトリフォニーホール)。これはもともとは2020年6月に予定されていながら、感染症禍のために開催を見送ったコンサートでした。ザ・シンフォニカの皆様の情熱で、予定された通りの同じ曲目でようやくコンサートを実現でき、私にとっても大変やりがいのあるコンサートでした。

 
ブラームス ヴァイオリン協奏曲 郷古廉さんと
仙台フィル第352回定期演奏会(2/4)から ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 独奏 郷古廉さん
 

    

仙台フィルコンサートマスター西本さんと
いつも支えてくださる仙台フィルのコンサートマスター西本幸弘さんと

2月の4日、5日は仙台フィルの第352回定期演奏会で、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と、交響曲第3番を演奏しました(日立システムズホール仙台)。
仙台フィルと2020年からブラームスに継続して取り組んできた手ごたえを感じたコンサートでした。 前半のヴァイオリン協奏曲では、今をときめく郷古廉さんの若武者のような勢いのある独奏とご一緒でき、とても新鮮な印象を受けました。

郷古廉さんと
ヴァイオリン独奏 郷古廉さんと


 


関西フィルとのリハーサル
関西フィルとのリハーサル(3/22 門真市ルミエールホール)

3月25日は、関西フィルと2011年から続けてきたブルックナー全交響曲ツィクルスを締めくくる最終回で、交響曲第00番と第0番という、おそらく世界的にも稀なプログラムを指揮いたしました(ザ・シンフォニーホール)。

第0番は、作曲された順からいえば第1番の次にあたり、諸事情でブルックナー本人が「第0番」としたわけですが、交響曲として立派に成熟した作品であり、ツィクルスの中でぜひ演奏したいと願っていました。一方、第00番はたしかに若書きではありますが、すでに10年をかけてブルックナーの第1番から第9番までを経験した関西フィルは、若書きの中からも、のちのブルックナーの偉大な交響曲群に至る原型や魅力が至るところにあることをよく読み取り、素晴らしい演奏をしてくれました。

リハーサル風景
この特別なコンサートでアシスタントをお願いした松本宗利音さん、いつも支えてくださる四野見和敏さん、そして海老原光さんも駆け付けてくださいました(門真市ルミエールホール楽屋にて)


 


***

4月29日は新交響楽団の第257回演奏会で、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲、R.シュトラウスの交響詩「死と変容」、ブラームスの交響曲第4番というプログラムでした(東京芸術劇場)。収まらぬ感染症禍で練習回数が制限されるなど、難しい状況がありましたが、長年お付き合いしている新交響楽団の皆さんは私と一緒に音楽することに集中し、重みのあるプログラムによく取り組んでくださいました。

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ブラームス ピアノ協奏曲第1番 菊池洋子さんと
仙台フィル第355回定期演奏会(5/6)から ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 独奏 菊池洋子さん

 


菊池洋子さんと
菊池洋子さんと

5月の6日、7日は仙台フィルの第355回定期演奏会で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番と交響曲第4番という、仙台フィルと私のブラームスへの取り組みの総決算といえるコンサートでした(日立システムズホール仙台)。
ピアノ協奏曲のソリストに菊池洋子さんをお迎えし、大曲を共に楽しんで演奏できたことを嬉しく思いました。交響曲第4番では、仙台フィルの皆さんが私の音楽をよく汲み取り、ブラームスならではの壮大なスケールと晩年の深みを、見事に表現してくださいました。



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久留米市民オーケストラとのリハーサル
久留米市民オーケストラとのリハーサル

5月28日は久留米市民オーケストラの第34回演奏会で、ブラームスの交響曲第3番と第1番を指揮いたしました(久留米シティプラザ ザ・グランドホール)。
当初は2020年に予定されていながら感染症禍でやはり延期され、ようやく実現できたコンサートです。九州のまんなかにある久留米へ何度も往復するには私も高齢になり、従来より少ない練習回数になった一方、ブラームスの音楽固有のintensitaet(内的な強度)を表現するためには、やはり時にかなり厳しい要求もいたしましたが、久留米市民オーケストラの皆さんは素晴らしい本番の集中力で応えてくださって、地元の皆様に喜んでいただけるブラームスになりました。



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東京シティ・フィル第353回定期演奏会(6/11)
東京シティ・フィル第353回定期演奏会(6/11) (Photo: c K.miura)
 


指揮者が6人!
指揮者がなんと6人! 左から:佐々木新平さん、山上紘生さん、四野見和敏さん、私、海老原光さん、北原幸男さん

6月11日は東京シティ・フィルの第353回定期演奏会で、「シューマン交響曲全曲演奏シリーズ2」として第3番「ライン」と第4番を演奏しました(東京オペラシティコンサートホール)。
楽員の皆さんはもとより、お客様の集中力も凄まじいエネルギーを感じました。ドイツ音楽を長年一緒に追求してきた東京シティ・フィルと共にシューマンの世界にどっぷりと浸かり、演奏後はくたくたになりましたが、実に充実した演奏ができ、とても嬉しく思いました。

今年で82歳になり、振り返るとこれだけのコンサートを指揮できたことにただ感謝するばかりです。共に音楽を作る演奏家の皆様をはじめ、さまざまな形で私を支え応援してくださるすべての方々、そしてこのホームページをご覧くださるすべての皆様に、改めて心から御礼を申し上げます。来年は「飯守泰次郎のブルックナー」と題された東京シティ・フィル特別演奏会2公演(4/7、4/24 ともに会場はサントリーホール)もございます。各地のコンサートホールで、皆様にお会いできますことを楽しみにしております。

Bruckner特別演奏会

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第九特別演奏会2022 (12/28)に向けて・その2

−飯守泰次郎−

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第四楽章
12/28「第九」第四楽章 /東京文化会館(Photo: c K.miura)
 

与儀巧さん、田崎尚美さん、私、金子美香さん、加耒 徹さん
素晴らしいソリストの方々と 左から:与儀巧さん、田崎尚美さん、私、金子美香さん、加耒 徹さん
 

佐々木新平さん、海老原光さん、私、四野見和敏さん、山上紘生さんと東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル(12/14)
歴代のシティ・フィル指揮研究員やアシスタントが結集してくださり心強いです〜左から佐々木新平さん、海老原光さん、私、四野見和敏さん、山上紘生さんと
 

飯守泰次郎です。いよいよ本日は、東京シティ・フィルの第九特別演奏会です。昨日も、集中したリハーサルを重ねました。

前半はオーケストラのみのリハーサルでした。私と2回のベートーヴェン全交響曲チクルスを経験している東京シティ・フィルの皆さんは、私の音楽を身体で記憶してくださっている方も多く、若い楽員の方も新鮮な感性でともに演奏してくださっています。

ベートーヴェンを演奏するうえで、まさに彼ならではの激しさ、強靭さはもちろん大変重要です。その一方、ベートーヴェンにしかない静けさ、穏やかな優しさもまた彼の本質であり、そのコントラストの表現を求めて、練習を重ねました。
また、ベートーヴェンの音楽の中に、ごく短いフレーズであっても、「歌う」という要素があることも、特にマルケヴィチ版の経験以来、改めて大変重視しています。私の音楽に、シティ・フィルの皆さんが熱い好奇心をもって献身的に取り組んでくださっています。

リハーサルの後半は、私との共演も多く信頼するヴェテランの田崎尚美さん、金子 美香さん、与儀 巧さん、そしてフレッシュで表情豊かなバリトンの加耒 徹さん、という大変豪華なソリスト陣をお迎えし、東京シティ・フィル、東京シティ・フィル・コーアと全員でリハーサルをいたしました。この第九が実現できることを皆が喜び、全力で献身的に演奏していることが感じられ、大変嬉しく思います。
年末のお忙しい中、上野にお越しくださるお客様への感謝とともに、東京文化会館で、皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第九特別演奏会2022 (12/28)に向けて
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東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル(11/30)
東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル(11/30)
 

東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル(12/14)楽屋にて 佐々木新平さん、海老原光さん、私、四野見和敏さん、山上紘生さんと(12/14)
東京シティ・フィル・コーアとのリハーサル(12/14)
 

東京シティ・フィル・コーアからお花をいただいて
東京シティ・フィル・コーアの皆様から花束をいただきました
 

リハーサル風景
リハーサル(11/30)

飯守泰次郎です。今年の年末は、東京シティ・フィルの第九特別演奏会を指揮いたします。以前は、東京シティ・フィル・コーアと毎年のように共演していましたが、感染禍初期の2020年2月の「ミサ・ソレムニス」を最後に、3年近くもご一緒することがかないませんでした。さらに、年末の第九で私がシティ・フィル・コーアと共演するのは7年ぶりになる、とのことで、私も心待ちにしておりました。

合唱の活動にとって大変辛い時期が続き、ようやく再び共に集まって第九を歌うことができるようになりましたが、いわゆるソーシャル・ディスタンスやマスクなどの制約は続いております。
以前のように終演後に打ち上げなどの席をもつことも難しいことから、久し振りの私との共演に臨むコーアの皆様の気持ちを花に託したい、とのことで、12/14のリハーサルで、とても美しい立派な花束をプレゼントしてくださり、嬉しい驚きでいっぱいになりました。

11月末から2回のリハーサルでは、ドイツ語の発音、コーラス全体としてのマルカート、アーティキュレーションなど、1つ1つ、粘り強く丹念に取り組んできました。例えば「streng geteilt」(きびしく分断されて)の「streng」はドイツ人が特に大事にしている言葉であって、この言葉を歌う瞬間はコーラス全体が一層ビシッと引き締まるような感覚が求められます。さらに、嬉しさが弾けるように歌うべき語や、思い切った内容の歌詞を P (ピアノ)であってもはっきりと歌うべき部分、あるいはコーラス全体があたかも爆発するかのように発語すべき箇所など、ベートーヴェンがこの作品に込めた意志を表現するために、東京シティ・フィル・コーアの皆さんが集中力と底力を発揮してくれています。

いよいよ、ソリスト、オーケストラとのリハーサルです。コンサートは12月28日の夜、上野の東京文化会館で、第九のみの1曲プログラムです。ぜひ皆様のご来場をお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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The Symphony Hall×関西4オケ スぺシャルコンサートvol.2
関西フィルハーモニー管弦楽団(10/20)に向けて
−飯守泰次郎−

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リハーサル風景
リハーサル風景

飯守泰次郎です。今週は、「The Symphony Hall×関西4オケ スぺシャルコンサートvo.2 関西フィルハーモニー管弦楽団」(10/20)に向けて、大阪に滞在しております。

このコンサートは、ザ・シンフォニーホール40周年を記念するシリーズの一環です。まず8月に大阪交響楽団が原田慶太楼さんの指揮でスタートし、今回の10/20が関西フィルと私、次は秋山和慶さんの指揮する日本センチュリー交響楽団(11/3)、そして大阪フィルハーモニー交響楽団が尾高忠明さんの指揮で締めくくる(2023/1/29)という全4回の特別シリーズです。

関西フィルと私は、共に長年積み重ねてきたレパートリーの中から、コンサートの前半にワーグナーの「タンホイザー序曲」、後半にブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」を演奏いたします。

戸澤哲夫さんと楽譜の確認
戸澤哲夫さんと楽譜の確認

関西フィルとは、2011年に開始した11年がかりのブルックナー全交響曲ツィクルスを、今年3月の00番&0番をもって完結したばかりです。私と一緒にブルックナーの全交響曲を演奏した唯一のオーケストラである関西フィルは、ブルックナーの発展の足跡を身をもって知っており、ブルックナーの音楽の特徴、響かせ方、音楽の展開のしかたを深く理解しています。
今回は客演コンサートマスターを戸澤哲夫さん(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団コンサーマスター)が務め、私の音楽を的確に伝えてオーケストラのアンサンブルをリードしてくださっています。 ブルックナーの神秘的な響き、壮大な宇宙的なスケールの表現を求め、ツィクルスでの経験の真価が発揮される集中したリハーサルで、私も今からコンサートが楽しみです。

現在チケットもまだ発売中とのことですので、世界に誇る美しい響きをもつザ・シンフォニーホールで、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団 第358
回定期演奏会(2022/10/7,8)によせて
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佐藤晴真さん、神谷未穂さん、三宅進さん(チェロソロ首席)、吉岡知広さん(チェロ首席)と
左から 仙台フィル 三宅進さん(チェロソロ首席)、佐藤晴真さん、私、コンサートマスター神谷未穂さん、吉岡知広さん(チェロ首席)と
 

写真:仙台フィル
(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

写真:仙台フィル
(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

写真:仙台フィル
(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

佐藤晴真さんと
佐藤晴真さんとリハーサルの日に
 


飯守泰次郎です。ホームページをご覧くださる皆様にご無沙汰が続いてしまい、申し訳ありません。おかげさまで先日82歳の誕生日を迎え、今週は久しぶりに仙台に滞在しております。まだご報告できていないこれまでのコンサートについても、改めてお伝えできればと思っております。

明日10月7日と8日、仙台フィルの第358回定期演奏会を指揮いたします。
今回のコンサートの前半は、佐藤晴真さんをソリストにお迎えして、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲を、コンサートの後半はシューマンの交響曲第3番「ライン」を演奏いたします。

佐藤晴真さんは、確立された技術と、スケールの大きな音楽をあわせもつ、大変素晴らしい才能の持ち主で、感銘を受けております。若いエネルギーがほとばしるドヴォルザークに、どうぞご期待ください。

シューマンの交響曲第3番「ライン」は、ドイツ音楽ならではの構築性をもつ壮大なシンフォニーの中に、シューマン独自の流れる様な歌謡性があります。第4楽章は、ライン川のほとりに壮麗にそびえるケルン大聖堂を思わせる、深い内容を持つ偉大な音楽です。幻想的なコラールが厳粛な聖堂内に響き渡り、ホルンが荘重に鐘の音を奏してしめくくられます。続く第5楽章は一転し、どこか親密さを感じさせる快活な音楽であり、これもまさにシューマンらしさなのです。

仙台フィルとリハーサルを重ねる度に、音楽に対する士気の高さに私も強い刺激を受けます。見事なチームワークと卓越したアンサンブルで、私を支えてくださいます。
今シーズンは、2018年から務めてまいりました常任指揮者の任期をしめくくるシーズンであり、私が指揮する5月、10月、来年3月の3回の定期演奏会は「飯守泰次郎フィナーレ」というサブタイトルが付けられております。仙台フィルとともにベートーヴェンの全交響曲、ロマン派以降の交響曲の歴史を歩んで培ってきた響きを、ぜひお聴きいただきたいと思います。仙台も冷え込んでまいりましたので、皆様どうぞ暖かくしてお越しください。

 

飯守泰次郎

 
 
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