メッセージ:2023年1月〜  

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会
「飯守泰次郎のブルックナー」を終えて
〜交響曲第4番(4/24)公演プログラム「ご挨拶」全文〜

−飯守泰次郎−

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2023/4/24 ブルックナー:交響曲第4番 (c)K.Miura 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2023/4/24 ブルックナー:交響曲第4番 (c)K.Miura 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
 


2023/4/24 交響曲第4番 (c)K.Miura 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2023/4/24 ブルックナー:交響曲第4番 (c)K.Miura 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 

交響曲第4番 (c)K.Miura 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2023/4/24 ブルックナー:交響曲第4番 (C)K.Miura 写真提供:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
 


カーテンコール  (c)K.Miura 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
4/24カーテンコールから (C)K.Miura 写真提供:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 

飯守泰次郎です。ご報告がだいぶ日が経ってしまいましたが、4月に開催された東京シティ・フィル特別演奏会2公演を無事終えることができました。サントリーホールにお越しくださって驚くべき集中力と熱い拍手で私たちを励ましてくださったお客様、舞台上あるいは舞台裏で支えてくださる皆様、そしていつもホームページをご覧くださるすべての皆様に、改めまして御礼を申し上げます。

4/24の「ブルックナー:交響曲第4番」の公演プログラムに掲載された私の「ご挨拶」全文を、このコーナーでお読みいただけるよう以下に掲載いたします。 なお、東京シティ・フィルと私の次のコンサートは、第364回定期演奏会(10月4日(水) 東京オペラシティコンサートホール)です。皆様のお越しを心からお待ちしております。

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東京シティ・フィル特別演奏会「飯守泰次郎のブルックナー」
〜交響曲第4番変ホ長調(2023/4/24) 公演プログラム掲載の「ご挨拶」全文:


ご挨拶

桂冠名誉指揮者 飯守泰次郎

本日は東京シティ・フィルのブルックナー特別演奏会〜交響曲第4番〜にお越しくださり、どうもありがとうございます。私たちはつい先日、この特別な演奏会の1回目として、交響曲第8番を演奏したばかりです。風雨の強い荒れ模様の晩でしたが、お集まりくださった素晴らしいお客様の非常に高い集中力を背中にひしひしと感じ、舞台上にいる私たち演奏者と聴衆が一体となってブルックナーの音楽に没頭している、という実感がありました。いつもシティ・フィルを支えてくださるファンの皆様、私とシティ・フィルの組み合わせに新鮮な好奇心をもってご来場くださる聴衆の皆様に、改めて深く御礼申しげます。

私は、ドイツ、オランダというゲルマン系の国で約25年を過ごし、毎夏にバイロイト音楽祭の助手を20年以上務める中で、ブルックナー指揮者との出会いにも恵まれました。ブルックナーは、ワーグナーと同じ後期ロマン派というだけでなく、ワーグナーを深く尊敬し、特にオーケストレーションや転調のしかたなどに強い影響を受けています。私にとって、バイロイトでワーグナーの仕事をした経験が、ブルックナーのサウンドを構築する土台になっていると思います。 敬虔なカトリック教徒で、自然を深く愛したブルックナーの音楽は、ドイツやオーストリアの森を思わせるロマン性、そして深い宗教性と哲学性をそなえています。

彼特有の響きを出すには、オーケストラ全体が一体となって、互いに他の楽器の響きに耳を傾けることが重要です。 シティ・フィルと共に長くブルックナーを演奏してきた中で私たちは、音を出す前からどの楽器と一緒にどういう音を出すか、いわば横のつながりの意識を常に持つことを、大切にしてきました。さらに、音符というのは必ず生きていていて、書いてある音符の間、あるいは裏に、楽譜には書ききれない自由さがある、ということも、私はオーケストラに繰り返し伝えてきました。それらの積み重ねの結果、常に聴きあいながら有機的に音楽を創っていく、その精神的な集中と燃焼こそがお客様に伝わるということを、今のシティ・フィルは本当によく理解し、献身的に演奏してくれて、心から感謝しています。

音楽というのは、生きているものです。私は以前から、人間はどんなに年をとっても、想像もしなかった衝撃的な経験をすることはありうるからこそ、どこかに融通性をもっていたいと考えていました。すっかり高齢になった今も、どこかに決定版というものがあるのではなく、演奏者も聴き手もそれぞれが成長して変化することがすべて含まれていく演奏が自然だと思っています。 今回演奏する第4番「ロマンティック」は、ブルックナーの交響曲の中では演奏機会も多く、人気の高い最高の名曲です。ひととき日常を離れ、時空を超えて息づくブルックナーの音楽にただただ浸っていただけますよう願っております。

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戸澤さんと
東京シティ・フィル特別客演コンサートマスター 荒井英治さんと




 

飯守泰次郎

 

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「飯守泰次郎のブルックナー」〜交響曲第4番〜 (4/24)によせて

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リハーサル
リハーサル
 

リハーサル
リハーサルの1コマ
 

飯守泰次郎です。本日4/24は、東京シティ・フィルと私の特別演奏会「飯守泰次郎のブルックナー」(2公演)の2回目のコンサートで、ブルックナーの交響曲第4番変ホ長調を指揮いたします。

ブルックナーについてはすでに国内外で数多くの名演が残されています。私はブルックナーを指揮するとき、すでに確立されているブルックナーの素晴らしい演奏史に何かを付け加えよう、というつもりはありません。ただ、このような素晴らしい音楽が存在する、ということをお客様に伝え続けていきたい、という一心で取り組んでいます。
このコンサートに向けたリハーサルで、シティ・フィルの皆さんがブルックナーを演奏する喜びと使命感に溢れ、私と一緒に音楽してくださっていることを、とても嬉しく思います。

オーケストラという巨大な楽器でブルックナーが表現した内容は、彼自身が生きた時代はもちろん、私たちの時代にも生きており、そして未来へと繋がっていくのです。サントリーホールで、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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「飯守泰次郎のブルックナー」〜交響曲第8番〜 (4/7)
公演プログラム掲載「ご挨拶」全文

−飯守泰次郎−

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2023/4/7 ブルックナー:交響曲第8番 (c)大窪道治 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2023/4/7 ブルックナー:交響曲第8番 (c)大窪道治 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
 

2023/4/7 カーテンコールより(ブルックナー:交響曲第8番) (c)大窪道治 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2023/4/7 カーテンコールより(ブルックナー:交響曲第8番) (c)大窪道治 写真提供 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
 

飯守泰次郎です。先日4/7に開催されました東京シティ・フィル特別演奏会の1回目(ブルックナー:交響曲第8番)の際、当日の公演プログラムに掲載されました私の「ご挨拶」を、ホームページをご覧くださる皆様にこのコーナーでお読みいただけるよう、以下に掲載いたします。

なお、4/24開催の当特別演奏会の2回目(ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」)の公演プログラムには、お越しくださるお客様へのご挨拶としてこれとは異なる文章を寄せておりますので、ご来場のお客様はお読みいただけましたら幸いです。

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東京シティ・フィル特別演奏会「飯守泰次郎のブルックナー」
〜交響曲第8番ハ短調(2023/4/7) 公演プログラム掲載の「ご挨拶」全文:


ご挨拶

桂冠名誉指揮者 飯守泰次郎

本日は東京シティ・フィルの特別演奏会にお越しくださり、どうもありがとうございます。
私は、1997年に常任指揮者に就任し、2012年に桂冠名誉指揮者になり、四半世紀以上をシティ・フィルと一緒に過ごしてきました。長い時間をかけてお互いに理解と信頼を深め、音楽創りを積み重ねてきた結果、シティ・フィルと私のコンビにしかない特別な個性がある、と多くの方々に認めていただけるようになったことを、誇りに思います。いつも支え、育ててくださっているシティ・フィルのファンの皆様、私たちの演奏に新鮮に耳を傾けてくださる聴衆の皆様に、心から感謝いたします。

シティ・フィルと共に歩んできた中でも、「ベートーヴェン全交響曲ツィクルス」(2000年と2010年の2回)、「オーケストラル・オペラ」と題したワーグナーの楽劇の全曲上演(2000〜2008年/7作品)、そして「ブルックナー交響曲ツィクルス」(2002〜2004年、2012〜2017年の2回)は、私たちの個性を確立する決定的な経験となりました。
そして2021年5月、感染症禍の中で奇跡的に実現できた「『ニーベルングの指環』ハイライト特別演奏会」では、シティ・フィルが、バイロイト音楽祭で活躍する最高のワーグナー歌手を迎えるにふさわしい、本物のワーグナー・オーケストラであることを見事に示しました。
これに続く取り組みとして今回、時代と響きにおいてワーグナーと通ずる点の多い、ブルックナーの交響曲に、みたび集中する機会に恵まれ、サントリーホールで皆様をお迎えできることを、大変嬉しく思います。

ヨーロッパ各地の歌劇場等での体験にもとづいて私は、調性が持つ独自の意味や色合いに好奇心を持って演奏すること、いわゆる「裏拍」がドイツ語の語感にもとづく大変重要な音であること、楽譜に記譜しきれない音楽の「重心(schwerpunkt)」があることなどを、特に重視してオーケストラに伝えてきました。
シティ・フィルではこれらのことがしっかりと根を下ろし、メンバーが入れ替わってもオーケストラの中で引き継がれています。これが、ブルックナーを演奏するうえで特に大切になるのです。

ブルックナーについては、様々な版の相違、不器用であまりに素朴な彼の人柄にまつわるエピソードなど、多すぎるほどの情報があり、私もこれまで色々なことをお話ししてきました。作曲家と作品について知ることは必要ではありますが、しかし、ブルックナーの交響曲に関しては、どんなに情報を集めても、それだけでは本質に近づくことができません。知り得た知識だけでなく様々な矛盾も含め、すべてを考えあわせ、忍耐をもって楽譜と向かい合って内的葛藤を重ね、全体を有機的に構築できるまで作っていく必要があるのです。
教会のオルガニストとして高い名声を集めたブルックナーの生涯、そして彼特有の人格から、「即興」というものが彼の音楽の本質において大きな比重を占めている、と私は感じています。
本日演奏する第8番は、彼が完成した最後の交響曲であるとともに、ワーグナーの影響が最も顕著に表れている作品であり、演奏時間も最長です。ハ短調に始まり、ハ長調の大団円に至るまで、どうぞブルックナーの巨大な響きの宇宙に自由に身をゆだねていただきたいと思います。

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飯守泰次郎

 

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第61回大阪国際フェスティバル2023
「4オケの4大シンフォニー2023」(2023/4/15)によせて

−飯守泰次郎−

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4/14フェスティバルホールでのリハーサル 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
フェスティバルホールでの前日リハーサル
 

飯守泰次郎です。本日4/15は、大阪の4つのオーケストラによるユニークなプロジェクトとして人気を集めている、大阪国際フェスティバル2023「4オケの4大シンフォニー」です。今年はブラームス生誕190年ということで、4つの交響曲を4つのオーケストラが演奏いたします。

   

尾高忠明さんと
尾高忠明さんと

最初に山下一史さん指揮の大阪交響楽団が交響曲第3番ヘ長調、続いて飯森範親さん指揮の日本センチュリー交響楽団が交響曲第4番ホ短調、そして私は交響曲第2番ニ長調を関西フィルハーモニー管弦楽団と共に演奏いたします。最後は、フェスティバルホールを本拠地とする大阪フィルハーモニー交響楽団が尾高忠明さんの指揮で交響曲第1番ハ短調を演奏して締めくくります。

指揮者どうしというのは滅多に会う機会がないのですが、このプロジェクトは指揮者仲間に会える貴重な機会にもなっています。
昨日のリハーサルでは、曲順の関係で山下一史さんにはお目に掛かれませんでしたが、尾高忠明さんと飯森範親さんに大変久し振りにお会いできました。
尾高さんがおっしゃって気づいたのですが、今回の指揮者はみな桐朋学園で齋藤秀雄先生にしごかれた新旧世代の4人、ということで驚きました。

舞台上のオーケストラは1曲ごとに交代しますので、今日は4曲をお聴きになるお客様のほうが大変ではないかと心配になりますが、すでに全席完売ということで大変嬉しく思います。
今日の大阪中之島は雨降りですが、どうぞお気を付けてお越しください。フェスティバルホールで皆様のお越しをお待ちしております。

飯森範親さんと
飯森範親さんと定番の「親子ではありません!」フォト



 

飯守泰次郎

 

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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会
「飯守泰次郎のブルックナー」〜交響曲第8番〜 (4/7)によせて
−飯守泰次郎−

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リハーサル写真(高関健氏撮影)
リハーサルから Photo by Ken Takaseki
 

リハーサルの後も打ち合わせ
リハーサルの後も〜演奏を支えてくださるシティ・フィルのメンバーやアシスタントと 私の右 コンサートマスターの戸澤哲夫さん、隣 首席ティンパニ 目等貴士さん 私の左 アシスタント四野見和敏さん、指揮研究員 山上紘生さん 話し合っているのはチェロ客員首席大友肇さんとヴィオラ首席臼木麻弥さん
 

飯守泰次郎です。今月は東京シティ・フィルと私の特別演奏会として、ブルックナーの交響曲をサントリーホールで2回、演奏いたします(4/7、4/24)。 本日4/7は交響曲第8番ハ短調、この1曲のみのプログラムです。

東京シティ・フィルと私のブルックナーは、常任指揮者として1998年に指揮した交響曲第4番がCDになってご好評をいただいたのが最初で、以来、時間をかけてゆっくりと培ってきました。その歩みは、2021年秋に発売された「ブルックナー交響曲選集」ボックスCD(第3、4、6、7番/リマスタリング盤4枚組)としてひとつのまとまった形になっています。

私も82歳になり、長年信頼する東京シティ・フィルの皆さんと、いま新たに集中してブルックナーに取り組める機会を与えられたのはまさに特別なことである、と感謝しております。

高関健さんと
高関 健さんと


昨日はリハーサルに、東京シティ・フィル常任指揮者の高関健さんがいらしてくださり、愛用のカメラで今回も素晴らしい写真を撮ってくださいました。指揮者が指揮者を撮るだけあって、毎度見事に音楽を写し取ってくださることに驚いております。

第8番は、ブルックナーが完成することのできた、最後にして最大の、交響曲の歴史においても明らかに1つの頂点をなす偉大な作品です。4月に入り、新年度を迎えてお忙しい方も多くいらっしゃると思いますが、今宵はぜひ、現代の私たちの日常からかけ離れた壮大な音楽の時空間へご一緒しましょう。皆様のお越しを、サントリーホールで心よりお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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関西フィルハーモニー管弦楽団第335回定期演奏会 (2023/3/30)を終えて

−飯守泰次郎−

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(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
 

(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
 

(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
 

カーテンコール 写真提供:関西フィル
(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
 

(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
(C)s.yamamoto 写真提供:関西フィルハーモニー管弦楽団
 

飯守泰次郎です。3月最終週は関西フィルの第335回定期演奏会で大阪に滞在しておりました。
関西フィルとは、四半世紀以上の長い関係の中で国民楽派の作品も数多く演奏してきましたが、チャイコフスキー・プログラムはおそらく初めてだったと思います。
特にここ10年ほどは、ブルックナー全交響曲チクルスと、ワー グナー楽劇の演奏会形式上演、あるいはオラトリオに集中して取り組んでおりましたので、今回のチャイコフスキーは関西フィルのお客様にも、楽員の皆さんにも、新鮮に受け止めていただけた手ごたえがありました。

   

戸澤さんと
客演コンサートマスター 戸澤哲夫さんと

前半に演奏した「弦楽セレナーデ ハ長調」は、あまりによく知られた名曲ですが、今回は定期演奏会の曲目としてじっくり時間をかけ、関西フィルの弦全員で音楽創りができました。

交響曲第5番も、圧倒的な演奏効果の影で見失われがちなチャイコフスキーの心の揺れまで深く掘り下げたい、という私の意志を、オーケストラの皆さんが共有して一緒に音楽した実感がありました。

客演コンサートマスターの戸澤哲夫さんと、関西フィルのコンサートマスター木村悦子さんが並んで、オーケストラをまとめてくださって、感謝しております。

関西フィルとは約半月後の4/15にも、「第61回大阪国際フェスティバル2023 4オケの4大シンフォニー2023」でブラームスの交響曲第2番を演奏します(フェスティバルホール)。そしてその次は2024年3月29日の第344回定期演奏会でブルックナーの交響曲第5番を演奏いたします。どうぞご期待ください。

木村悦子さんと
関西フィル コンサートマスター木村悦子さんと



 

飯守泰次郎

 

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仙台フィルハーモニー管弦楽団 第362回定期演奏会(2023/3/17,18)によせて

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『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死
『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

写真提供:仙台フィル
(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

ブルックナー交響曲第7番 写真提供:仙台フィル
ブルックナー 交響曲第7番(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

カーテンコール 写真提供:仙台フィル
マスク越しという条件付きで「ブラヴォー」解禁!(写真提供:仙台フィルハーモニー管弦楽団)
 

飯守泰次郎です。本日3月17日と明日18日は、私が常任指揮者として仙台フィルハーモニー管弦楽団を指揮する最後の定期演奏会です。

2018年の4月に常任指揮者に就任し、ベートーヴェン、ブラームスの全交響曲、ロマン派や民族楽派の交響曲を中心に、仙台フィルとともに歩んできました。
常任指揮者の任期をしめくくるプログラムは、ワーグナーとブルックナーという、私たちの集大成となる組合せを選びました。

コンサートの前半は、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」を演奏します。 『トリスタンとイゾルデ』は、“愛”について、音楽的にも文学的にも史上まれにみる深さで問題提起した作品です。転調と半音を駆使し、音楽が人間の感情に与える作用を最大限に使いこなして、男女の愛の究極のドラマが表現されます。
ワーグナーがこの作品で問いかけた内容は、2023年の今になっても、解決されるどころか、ますます強く私たちに迫っているように思われてなりません。

ブルックナーは、ワーグナーを敬愛し、特に楽器法、和音と調性の扱いなどに強い影響を受けました。 今日演奏する交響曲第7番でも、「ワーグナー・テューバ」という、ワーグナーが開発した特別な金管楽器(ホルン奏者が演奏します)が使われるなど、両者の音楽の響きには驚くほどの共通性があります。しかし、音楽が表現する内容は、全く対照的です。

生涯にわたって深い信仰を持ち続けたブルックナーにとって、作曲という行為は、神と自分の対話そのものだったといえます。彼の音楽の創造の源は、彼自身も意識できないほど深いところにあったのでしょう。ひたすらに自分の内的な欲求のみに従った結果、彼の交響曲は人間のスケールを超越して、純粋に音楽による宇宙の表現に到達した、ともいえます。

交響曲第7番は、哀悼のアダージョである第2楽章、ブルックナーらしいスケルツォの第3楽章、そして第1楽章と第4楽章はともに「愛」の調性であるホ長調、という構成で、ブルックナーの醍醐味に浸っていただける最高の交響曲です。

仙台フィルとは以前、交響曲第4番「ロマンティック」を一緒に演奏しました。長大なブルックナーの交響曲は、オーケストラとしての精神的な結束が特に求められます。創立50周年を迎える仙台フィルは、その歴史において特別なチームワークとアンサンブルを築いてきたオーケストラであり、リハーサルでもブルックナーの素晴らしい響きを出してくれて、大変嬉しく思います。
すでに2日目は全席完売とのことですが、本日はまだ当日券もございます。皆様のお越しを日立システムズホール仙台でお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 

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新国立劇場『タンホイザー』観劇(2023年2月)

−飯守泰次郎−

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ステファン・グールドさんと
ステファン・グールドさんと
 

グールドさん、デイヴィッド・スタウトさん(ヴォルフラム役)と
グールドさん、デイヴィッド・スタウトさん(ヴォルフラム役)と
 

飯守泰次郎です。現在、新国立劇場で公演中の『タンホイザー』にステファン・グールドさんが出演されていて、2/8の公演を私も観劇してまいりました。
このプロダクションは、バイロイトでヴィーラント・ワーグナーおよびヴォルフガング・ワーグナーの助手も務めた、ハンス=ペーター・レーマンさんの演出によるもの(2007年プレミエ)で、美しく品格のある舞台です。

いうまでもなく、ステファン・グールドさんは当代のヘルデン・テノールの最高峰であり、私が新国立劇場オペラ芸術監督として指揮した『ニーベルングの指環』ではローゲ、ジークムント、『ジークフリート』および『神々の黄昏』のジークフリート、と4部作全部に出演するという空前の快挙を成し遂げています。新国立劇場開場20周年記念特別公演『フィデリオ』のフロレスタンも含め、計5演目でご一緒しました。

2021年5月には、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が「飯守泰次郎傘寿記念」として開催した「『ニーベルングの指環』ハイライト」特別演奏会で、ただ1度のこのコンサートのために、パンデミックの中、2週間の隔離期間を経て出演し、ジークフリートの名場面を歌ってくださいました。

今回の『タンホイザー』は、比較的若い世代の海外招聘歌手の皆さんも、日本を代表する邦人歌手の皆さんも、グールドさんという大歌手と舞台を共にすることで歌唱のスケールがより大きくなり、アレホ・ペレス氏指揮の東京交響楽団に支えられて大変素晴らしい舞台になっていました。
ヴェーヌスベルクのシーンでは東京シティ・バレエ団の皆さんが、見事な乱舞で舞台に精彩をもたらし、 新国立劇場合唱団(合唱指揮:三澤洋史さん)も、感染症禍による動きの制約からようやく解放されて圧倒的な歌唱でドラマを盛り上げていました。

私は2018年にオペラ芸術監督を退任してから、ぜひ聴衆の一人としてオペラパレスに通いたいと楽しみにしていましたが、まもなくパンデミックが始まるなどしてなかなか機会がなく、大変久し振りの新国でした。幕間などにお客様や新国のスタッフの方々に再会できたことも、とても嬉しく思いました。
『タンホイザー』は残すところ2/11(土・祝)の1公演のみ、千穐楽はさらに盛り上がることでしょう。もし迷われている方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会を逃さずオペラパレスへどうぞ。なんといってもやはり、オペラは最高!です。

 

飯守泰次郎

 

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第71回ティアラこうとう定期演奏会 (1/21)によせて
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フィンランディア
「フィンランディア」(写真:(C)金子力)
 

ヴァイオリン協奏曲 荒井里桜さんと
ヴァイオリン協奏曲 荒井里桜さんと(写真:(C)金子力)
 

荒井里桜さんと
荒井里桜さんと
 

飯守泰次郎です。2023年の最初のコンサートは本日1/21、東京シティ・フィルのティアラこうとう定期演奏会を指揮いたします。真冬にまさにふさわしいシベリウス・プログラムで、「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲ニ短調、交響曲第2番ニ長調を演奏いたします。

   

指揮する姿
(写真:(C)金子力)

私は、様々な民族に深く根差している国民楽派の作曲家に非常に魅力を感じ、特にシベリウスには格別の愛着があります。フィンランドの自然のスケールの大きさ、北国の暗さや寒さ、そしてそれらを追い払うような熱狂的なフィンランドの人々のエネルギーを満喫していただけるプログラムです。協奏曲では、フレッシュなエネルギーに溢れた優秀なヴァイオリニスト、荒井里桜さんをお迎えします。

東京シティ・フィルの皆さんとは、常任指揮者時代から折々にシベリウスを演奏してきて、今回も非常に高い集中力で、シベリウスならではの響き、民族に根差した歌心を、共に追求してくださっています。


大入り袋をもって
満員のお客様をお迎えできることは最高の喜びです

2005年に始まったティアラこうとう定期演奏会は、第1回から今回の第71回に至るまで、私も十数回指揮してまいりました。今回のコンサートは全席完売とのことで、江東区の地元の皆様はじめ、多くの方々にこのように愛されるシリーズに成長したことを、心から嬉しく思います。ティアラこうとうで、皆様のお越しをお待ちしております。

 

飯守泰次郎

 
 
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